今週のシロクマ文芸部〜詩と暮らす

「ロジック」

詩と暮らす。

奈美はそう決めた。

小学生の頃、奈美は作文が上手く書けなかった。

原稿用紙に一行書くのに1時間。
宿題で出されても三行しか書かなかった。

それでも国語の教科書にある著名な詩には、
心躍らせていた。

メモ帳に書いたりもした。

ある日、奈美は悩んだ。

感性というものは、如何にして成り立つのか・・。

疑問は宇宙のように広がった。

そういえば、自分には自信がない。
そして、物事に対してやる気を出したことがない。

学校では人気者にはなれず、
得意な教科もなかった。

そんな時。

よく空を見上げた。

何も言わず、ただ青い空。

奈美はふと心が軽くなるのを感じた。

(そうだ。
自信がないなら、そのままを書けばいい。
やる気がないなら、それでいいじゃない)

透明な風が身体を通り抜けていく感じがした。

そして、奈美はメモ帳を取り出して、
一遍の詩を書いた。

<生きていくのだろう
この空を見ながら

生きていくのだろう
例え小さな存在だとしても

ただそこに

咲く花のように>

奈美は何だか嬉しくなった。
愛おしい存在がいつも見守ってくれている気がしたからだ。