見出し画像

【受験生向け】本番での「この問題やったことあるぞ!」が危険な理由

テキストの例題、答練、過去問等を反復し、それらは完ぺきに頭に入っているのに、模試・本番では結果がでないという状態は、機械学習の用語である「過学習」という概念からその原因を説明することができます。また、「過学習」という概念を通して見ることで、その対応策が見えてきます。

以下の記載は、結城浩『再発見の発想法』(2021、SBクリエイティブ)の189頁以下の記載を参照しています。

「過学習」とは、機械学習においてプログラムが「教師データに過剰適応してしまったために、教師データ以外での成績が悪くなった状態」を指します。

機械学習においては、教師データ(プログラムの学習に用いるデータ)とテストデータ(汎化能力を持っているかを検査するために用いるデータ)を用います。

プログラムが教師データの細かい偏りに囚われた結果、テストデータで正しい答えを導けなくなった状態が汎化能力(応用力)のない「過学習」の状態です。

プログラムを我々の脳に、教師データを日々の勉強に用いる教材(テキストの例題、答練、過去問)、テストデータを模試・試験本番と捉えると、受験勉強における留意点が見えてきます。

すなわち、テキストの例題・答練・過去問をしっかりやり込んだが模試・試験本番で結果がでない状態は「過学習」に相当する状態といえます。

本番での応用がきかないということは汎化能力(応用力)が低く、 テキストの例題、答練、過去問から学ぶべき概念や思考過程ではなく、テキストの例題・答練・過去問をパターンとして学習してしまっている可能性があるのです。

また、例題・答練・過去問が頭に入り過ぎているがゆえに、目の前の問題を教師データに引き付けてしまい、目の前の問題に正面から答えることができていない可能性があります。

「あ、これ答練でやったやつだ!」という思い込みが本番において極めて危険なことは、合格者・予備校講師が口を揃えて注意を促すはずです。

「過学習」状態を抜け出すためには、 テキストの例題、答練、過去問の問題と解答を暗記するのではなく、それらの背後にある基礎的な概念、思考過程を獲得することに意識を向ける必要があります。

また、試験本番において、類似する教師データを持ってくるのではなく、汎化能力(応用力)をきかせて、目の前の問題に答えるという姿勢を貫く必要があるといえます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?