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虹色ドリーミング(第26回)

#創作大賞2024
#お仕事小説部門 

【紫色 ユリポン】

「おはようございます」
「おはよう、ゆりちゃん今日も元気だね」
「はい!今週もよろしくお願いします」
「こちらこそよろしくね」
「本番1分前。いつも通りでお願いします」
 もう慣れたけど、生放送だから失敗は許されない。程よい緊張が大事。
「本番いきます。5、4……」
『ワイドワイドサタデー!』
「はい、おはようございます。今週も旬の情報をお伝えしていきますワイドワイドサタデー、司会は私、山田花太郎です。コメンテーターはいつものこの方々です。どうぞよろしくお願いいたします。では最初はいつものこのコーナーから」
『香月ゆりのほっぺた落ちまくりグルメレ米ン道』
「おはようございます。大好物はご飯、香月ゆりです」
「ゆりちゃん今週もよろしくお願いしますね」
「はい、今週もこれからバズるの間違いなしのお店を二軒ご紹介します」
「では一軒目からお願いします」
「はい、一軒目は高円寺のビストロユキタカさんです、ではどうぞ」
『高円寺のビストロユキタカ、レンガ造りのシックな雰囲気で、厳選された食材の洋食が味わえるお店です』
「では、店長さん一押しのメニューをお願いします」
「はい、こちらポークピカタです。鉄板が熱くなっておりますので、気をつけてお召し上がりください」
「いただきます。ん……豚肉の味が濃いですね、特別なお肉ですか?」
「はい、静岡朝霧高原の三元豚を使っています」
「んー、柔らかいし美味しいです。他にも豚肉のお料理はありますか?」
「はい、こちらポークチャップとボークジンジャーになります」
「あれ?ポークチャップとポークチョップは何が違うんですか?」
「全く違う料理になります、チョップが骨付き肉を使う料理になります」
「なるほど、うわ、ポークチャップの豚肉柔らかいですね、これは何か秘密がありますね?」
「はい、自家製のパイナップルジュースに漬け込んでいます」
「ポークジンジャーは味が濃厚でご飯がすすみます、こちらは?」
「はい、こちらは生姜と特製ダレに一日漬け込んでいます」
「なるほど、お料理によって仕込みを変えているですね。豚肉以外だとおすすめはありますか?」
「はい、旬のカキフライです」
「あれ?カキの旬ってRのつく月、4月までじゃなかったですか」
「当店で使用しているカキは、山の雪解け水で育っているので、この時期が旬なんです」
「なるほどですね、うわでっかい!いただきます、んー……口いっぱいに海の味が広がります、あとは何か限定メニューがあるとお聞きしていますけど」
「はい、一日20食限定のタンシチューです」
「んーー。タンがとろけるようで、味もものすごく濃いです、美味しーーい」
「豚と同じく朝霧高原の牛を使っているのですが、生で食べられるほどのものを、じっくり48時間かけて煮込んでいます」
「なるほど、ごちそうさまでしたー」
『限定のタンシチューは予約が必要です、電話かメールでご予約お願いします』
「朝から飯テロくらった」
「むっちゃ美味しそうやーん」
「わし今晩行こかな」
「ご予約忘れないでくださいね、では二軒目。二軒目は新宿の沖縄料理店『ヌチグスイ』です。こちらは那覇に本店があって、新宿のお店は支店なんですが、本店と同じ材料、同じレシピになっています、ではどうぞ」
『新宿の『ヌチグスイ』。お店の作りも本店と同じになっています。店内に入ると……
「ハイサーイ!いらっしゃいませー!」
三線が奏でる沖縄民謡が流れる店内で、沖縄でしか味わえない料理が新宿で味わえます』
「では、店長さん一押しのメニューをお願いします」
「はい、アンマー手作りジーマーミー豆腐と、もずくの天ぷらです」
「まるで沖縄に来たみたいですね」
「ゴーヤチャンプルーです、ごいっしょにオリオンビールはいかがですか」
「いただきます」
(ワイプ画面から「飲むんかい!」の一言)
「はい、ミミガー、ラフテー、足テビチです」
「んーー!これは沖縄の豚ですね」
「はい、そうです。食材は全て沖縄から取り寄せています、はい、こちらソーキそばです」
「お出汁が美味しいです、柔らかいから骨まで食べられます、コーレーグースで味変も可能です」
『沖縄気分を味わいたい方は是非』
「はい。カット!OKです」
「店長ー、お久しぶりです」
「ゆりちゃん、アイドルになったと思ったら、テレビに出るくらい有名になっちゃって。良かったね」
「はい、その節はお世話になりました」
 実は私、このお店で以前アルバイトをしていた。アイドルになったきっかけもこのお店。
 でも私なんでアイドルになろうと思ったんだっけ?
「ありがとうございました、お疲れ様です」
「お疲れ様。ゆりちゃんまた来週よろしくね」

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