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"Giselle" 裏側のお話

さてさて、
バレエダンサーの私がプロデュースしているアパレルブランド
 The AMO の パフォーマンス作品1作目 "Giselle"

ご覧いただいた方、
ありがとうございます。

振付/構成の裏にこっそり隠された意味や、
あえて言葉にして伝えていなかったコトを
ちょびっとだけここで語ろうと思います。

言葉で語ることによって
映像から受け取る情報が偏った情報にならないように、
1度パフォーマンスを見てからこのnoteを読まれることをお勧めします。
そして読んでからもう一度見ると、
1度目とは違った何かが見えるかも。

オンラインパフォーマンス自体を見るかどうか悩んでいるけれど、、、
オンラインパフォーマンスは見ないけれど記事だけ読みたい、、、も
もちろんあなた次第!なので
大歓迎ではあります♡


ではでは、、、
読む準備ができた方は
scroll please….

1. 選曲とシーンについて

バレエ版ジゼルを知っている方には言わずもがななのですが
初めてジゼルに触れる方へ選曲とこのシーンについての説明を。
バレエ版ジゼルはジゼルが生きている時のシーン(1幕)と、
ジゼルが死んでしまってからのシーン(2幕)に別れています。

ジゼルの簡単なあらすじ

1幕:
村娘のジゼルが王子を王子と知らずに恋におち、2人で愛を近いあったり、楽しい時間を過ごす、、、ところがある時王子が王子であること、そして同じ貴族で婚約者がいることを周りから知らされ、元々心臓が弱かったジゼルは、心臓発作で亡くなってしまう。

2幕:
村の言い伝えで結婚する前に死んでしまった女の人たちは森の妖精ウィリとなり、森に迷い込んだ人々を踊り殺してしまうという言い伝えがあるのですが、亡くなったジゼルも例外なくウィリに。
ジゼルのお墓のある森に来た王子、ウィリたちに踊り殺されそうになるも、ウィリの1人であるはずのジゼルが、「彼は私が愛している人だから」と王子を他のウィリたちから守り、、、

今回使用したのは2幕の妖精になってしまったジゼルと王子が一緒に踊るシーンの1曲でした。

2.何度も出てくるあのポーズについて

映像だけでなく "Giselle" の写真も見てくださった方の中には
すでに気になってる方もいらっしゃるかも?
踊りの中に何度か出てくる、右手のピースのような、でも指と指がくっついているようなそんなポーズ。
(※始めの方と中盤に出てきます)
実はあれ、言葉を使わないバレエの中の
「誓います。」という意味を持つジェスチャーなのです。
古典バレエ ジゼルの1幕に登場する有名なシーンでもあり、
今回の作品の中でもこの仕草で伝えたいことがあったので振り付けの一部に取り込んでみました。
その手をする流れにも実は意味があったりして、、、
そこは見て感じていただけたらと思います。

3. 現代風にすることによって、、、

物語を現代に置き換える時に、決めることに一番時間がかかったのが
ジゼルと王子を「隔てる差」について。
古典では身分の差が2人を隔てるものとして描かれていますが、
今、誰かを愛する上で隔てるものとなりうるものはなんだろうか、と。。。

本当は誰かと誰かが愛し合い、一緒になる上で
隔てるものは存在しなくて良いものなのだけれど、
物語の中ではそれは本人たちの意思というよりも、周りが決めたもので。

それは性差であったり、
生きている世界の差であったり、
自分の、そして自分に期待してくれている誰かの理想と現実の差、
年齢の差、価値観の差、世界観の差、ほしい未来の差、、、

踊った日までどれなのか、が決まらず。
踊った当日にやっと私の自分なりのジゼルと王子の差を見つけたのですが
それは言葉にせずに踊りに詰め込みました。
そこは、あなたなりの解釈を見つけてもらえたらと思います。
(その解釈を教えてくださる人はこっそり教えてくださいな)

3. 踊っている時、1人にみえましたか?
 それとも2人に見えましたか?

座っているところから始まる、踊り。
1人での踊りですが、踊りのいくつかの部分には誰かもう1人(愛してしまった人)の存在をイメージして作っているのです。
何箇所かあるのですが、一つは冒頭部分。
左隣に、愛してしまった人が寝ている、、、とイメージしてみてみて下さい。
少し見えるものが変わるはず、、、
他にも何箇所か、、、


4. 衣装

トップスはもちろん、The AMO の1st Collection のレオタードとシースルートップスを。
肌色の靴下なのは、屋内と屋外の中間を取りたくて。

2時間ほど屋上をゴロゴロしたのですが、
シースルートップスが破れたりほつれたり傷つくことはなく、、、
素材選びにはめちゃめちゃこだわったのですが
柔らかいけれど強い素材なことがまたまた証明されちゃったなと嬉しくなったのは余談。。。

5.  屋上でなければいけなかった意図

今回の Giselle を作るにあたって
一つの物語でもいろんな解釈があるということ、
また見る側としてもいろんな解釈で見てもらえるということ、
を感じられる点をいくつか作りたくて。

Giselle が生きているのか死んでいるのか、
Giselle の性別、王子の性別、
Giselle が現代に生きていたら何をして生きていたのか、、、等

あえて「間」を作ることができればなあと。
空と地上の間、
たくさんのものがある場所と何もない場所の間、
そんな時に繋がったのが屋上でした。


最後に

さて、長ーい解説を、
最後まで読んでくださってありがとうございます。
言葉で説明しすぎることは
あえて言葉を使わないバレエにとって
時に粋でないと思われることもあるかもしれませんが、、、

深く知ろうとするとき、
何かを思考するときに、
言葉を足すことによって生まれる新しいものも
あるのでは?と。

解釈と振付構成、そしてヘアメイクさんとのイメージのすり合わせや映像のイメージを作っていく上で、正直全てがつながってすぐにできあがったわけでなく、、、

たくさんの言葉やたくさんのボツも生まれました。

作品に正解も何もないんだろうけれど
出来上がったこの Giselle は
今まで生きてきた今の私と、今持つ記憶たちで
これだ、、、、と思う Giselle になったかなと思います。

また読んだ感想でも、見た感想でも
良いことも悪いことも感じたことを聞かせていただけたら嬉しいです。


Giselle 公開は 今日の夜 23:59 までになりますが、
どうか最後まで楽しんでいただけますように。




The AMO
村中 智

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