揺蕩う鼓動、揺蕩う命。
あなたに初めて気づいた時、
そこにはまだ鼓動はなくて
私は地球の裏側の異国の地で走っていた。
ある島での夜。
月の明かりをみていたら、あなたは動き出した。
「ここにいるよ」
初めての合図で、ようやく私は泣くことができた。
止まらないほどに。
そこで初めて、私の中にあなたがいることを感じた。
私は一人じゃない。
それがうれしかった。
ある時からふと、そのビートを感じるようになって
私がどんなに動こうとも、
あなたはその温かい水の中で
ゆったりと自分の時間を過ごし
揺蕩う時を経て、今この世界へ生まれ出ようとしている。
今あなたのいるその水の外は
いろんな命がいろんな生き方をしている。
それは決して、夢のような世界ではないかもしれない。
絵に描いたような世界ではないかもしれない。
とても苦しくて、辛くて、厳しい世界かもしれない。
それでも、この世界に産まれようと決めたあなたを
私は既に誇りに思っていて。
あなたはこの世界で生きるために今、生まれてくる。
急がなくていい。
走りたい時は走ればいい。
転ぶことだってある。
怪我だってする。
怒られることもある。
それ以上に、美しさを知り、暖かさを感じると思う。
あなたらしく、呼吸をして、
あなたのリズムで、生まれておいで。
そして、あなたのリズムで、生きて欲しい。
海のように穏やかでダイナミックで
森のように澄んだ心と豊かな気持ちが
世界で揺蕩うあなたの命を支えてくれますように。
その名前があなたを助けてくれますように。
私は、あなたが生まれてくる前も後も
どんな場所でも綺麗な夕日が見れるような
そんな世界にしたくて生きていくから
ある時は一緒に海で漂いながら見てみたい。
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