いつか景色をがらりと変える、英語と向き合った一週間【スコットランド・エディンバラ】
一週間の語学留学。友だちが行くと言い出したら、私は笑顔で送り出すだろうか? それとも、もっと長く行きなよ、とかって止めるだろうか?
「選択肢」というのは世の中にたくさんあって、私たちは「フリーランス」という立場だからこそ、二週間でも三週間でも、都合がつけられたら一ヶ月でも二ヶ月でも。
気の済むように、「海外で暮らしながら学ぶ」ということを選べたはずだった。
けれど私たち––最所あさみと伊佐知美は、今回の語学留学の期間に一週間を選んだ。
旅をしながら、英語を話しながら、少しずつスコットランドに溶け合うように。
私たちのどちらか片方だけでは、選ばなかったであろう場所へゆこう
そう話して決めたスコットランド・エディンバラ。
旧市街、丘の町、すこし寂しげで、けれどこの街並みと知的な雰囲気。本を愛す人、数々の学者を輩出し、そしてその彼ら同士がご近所さんで「やぁ」と言い合っていた風景を想像しながら、同じストリートを(彼らは親しみを込めて、小さな道を「クロス」と呼んだいた)歩いてゆく。
歩きながら階段を登り、橋を渡り、川向こうの境界と、そのまた向こう側に見える、まるでRPGの世界みたいな大自然の海と山と雲を仰ぐ。
……? なんだ、訪れてみればなんと最所あさみの好きそうな場所だろうか。してやられたような気がしてくる。
第一、そういえば私はそもそものところ寒い、というのが苦手なのだ。
寒い地域は、概して日の出が遅い。日の暮れるのも早ければ、色合いさえもバリエーションが少なく見える。
まさか、暑さ、太陽、汗をかくあの感じ。サンダルとワンピース、極彩色のカラフル、ピースとスマイル、風の通り抜ける軽やかさ……そういったものを愛し続けてきた私が、こんなにもエディンバラを「美しい街ね」と彼女と同じように好きになってしまうなんて。
止まらずにスピードを緩めること。そこで世界を止めてしまわず、誰かの視線の先を一緒に見て「楽しそう」と笑う気持ちを捨てないこと。
細くでもいいから、日々をきちんと繋げてゆく。彼女と来られてよかった、と私はスコットランドの真ん中の街で想う。
***
ことばがうまく操れすぎると、私たちは時に「思ってもいないようなことが」「口からついて出てしまう」という経験をする。
英語は違う。母国語以外を未だうまく操れない私は、自分の思考がダイレクトにことばの並びに出てしまう。おなじこの世界に生きるひとに、何を伝えて、どんな感覚を共有して、ともに嘆き、笑い合ったりしたいのか。
「意思」も、「浅はかさ」も露呈させてしまうのが言語の壁だ。ごまかせない。英語は、ごまかしが効かないのだ。ヴェールを脱いでいくとかってレベルじゃなく、ただそのとき身に付けられていた最低限で、私とあなたと世界の話をする。
主語と動詞、目的語。伝えられないことは、本当は「母国語であっても思考がまとまっていないだけ」。
ではなにを、足して行けばよいのか。日々の暮らしは、それを英語で伝えてゆくためには、なにに重点を置きなにを差し引いて。
***
一週間の語学留学は、英語力を格段に上達させはきっとしてくれない。けれど確実に自信になる。次の課題を目の前に差し出して。
ねえ私たちの英語は、十数カ国の人たちとの会話につながったよ。その続きに「計画」を見る。今までお伽話のように「いつか」と言っていたことが、輪郭を帯びて「次のステップ」として触れられるものに変わってゆく。
そういう一週間だった。そういう感触を得た、語学留学と数泊の旅の期間。
2人で運営している英語学習コミュニティ「#EnglishChallenge」の芯は、「Good habit changes our scenery.」。正しい努力は、私たちの景色を確実に変えてゆく。凛と、背を正して歩いてゆけば。
帰国の途についている。人生で私は絶対、語学を諦めない。新しい武器が、未来を開くと信じてる。一緒に信じている仲の良いやつが、隣にいてくれてよかったな、といま私はカタールの空で。
世界を拓いてくれるのは、どうやら旅だけではないらしい、と気がつけたのが、2019年私の最大の気づきであり、強さになってゆくと今はやっと想える。
いつも遊びにきてくださって、ありがとうございます。サポート、とても励まされます。