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昨今の感染症とリハビリ職について
私は、医療系の国家資格を所有している。以前は病院で勤めていたが、今は高齢者の福祉施設に勤務している。
未曾有のウィルスパンデミックが起こり、先の見えない闇の中を、怯えながら生活する毎日。
やっと共存する道に進み始め、以前の生活を取り戻しつつも、全く同じ世界には戻らないみたいだ。
「何だかな~」と窮屈に思うことも無い訳ではないが、共存すると決まった以上、より安全に生活できるよう進化したことは、悪くはない。
前置きが長くなったけど、私が務めているような「高齢者施設」では、世間よりも、この感染症に関して、もっとシビアに扱うことが求められる。
病院よりも高齢者施設の方が厳しいのでは?と体感で思っている。
私の個人的な見解ではあるが、話をしたい。
高齢者施設での感染対策
世間では、例のウィルスが感染症上の分類で「5類」になり、さまざまな面で扱いが緩和された。
しかし、高齢者施設ではまだまだ2類の時と同じような対応を求められる。
ざっと例を挙げると、以下のような感じだ。
週に数回、職員の抗原検査実施
勤務時は職員の体温2検
職員・利用者に感染者が出た場合は、フロア間の行き来禁止
面会は予約制。1組10分、アクリル板越し
施設によって違うと思うが、私の職場ではこんな感じ。
リハビリ職への影響
私はリハビリ職なので、感染者が出た時の、業務への影響を紹介する。
利用者担当制からフロア担当制になる
感染拡大が最優先になり、リハビリはしばらく中止になる
リハビリ中止期間は看護、介護業務の手伝い
感染フロアのリハビリは感染フロア内で完結させる
まぁ、仕方ないと言えば仕方ないのだが…
リハビリって、生活に必須ではない。
介護さんが行う、食事介助や排泄介助は生活に必須の介助。
でもリハビリは、極論「やらなくても死なない。なくても困らない。」
いや、将来的には困るんだけど…
緊急事態の生活下では必須とみなされない。
だから簡単に「リハビリ中止」になる。
これって、リハ職の士気をものすごい下げていることに他の職種の人は気付いていない。
感染対応中、ただでさえリハビリが中止になったり、居室対応になったりで、運動の機会が減る。
でも、感染が広がってしまう方が問題だから、まずは感染症を広げないことに注力する。
はい、大事なのは分かります。
でも、運動って大事だよ?
高齢者って、すぐ身体機能落ちるよ?
全員中止にしなくてもよくない?
ってのが本音。
また、利用者担当制からフロア担当制に変えられるため、日頃リハビリを担当していない利用者のリハビリもすることになる。
急にフロア担当制になるから、申し送りなんてしている時間はない。感染者が出ていないフロアでは通常通りのリハビリが求められるから、すぐにでも取り掛からないと間に合わない。
結局手探りで、リハビリをスタートすることになる。
よっぽどクセが強い、禁忌事項があるなどの利用者は担当じゃなくても知っているが…。
手探りでスタートするのは、結構気を遣う。
職場の感染対応の話
以前職場で感染者が出た時、私が感染者の出ていないフロアを担当することになった。
私の職場では、入所の利用者約90名を、3人のリハビリ職員で対応している。
内2人は常勤、私はパートだ。
今回、なぜか感染フロアは常勤2名で担当し、私は1人で非感染フロアを担当することになった。
なぜ、この割り振りになったか。
感染フロアの方が、短期集中リハビリ加算の利用者が多いから。
常勤+パートだと、加算を全て取り切れないので?
という理由からだ。
この「短期集中リハビリ加算」の話は今回割愛するが、パートといっても私は週4勤務をしている。
短期集中リハビリ期間外の利用者に関しては、週2回のリハビリのうち1回は、集団リハでも可となっている。
コストが取り切れないなんてことはないだろ。
私は50人弱を、1人で担当することになった。常勤なら5日かけてこなせば良いところを、週4でこなさなければならないタイトスケジュール。
とにかく決まってしまったから、なるべく利用者の不利益にならないように必死に対応するのみ。
利用者への寄り添い
感染対応が解除されると、リハビリもフロア担当制から利用者担当制に戻る。
いつだかの感染対応が解除されたのが、週半ばだった時があった。
その時は短期集中リハビリ期間外の利用者は、個別1回・集団1回のリハビリが、どちらのフロアでもほぼ終了していた。
そして、感染フロアの利用者は、感染対応が終了するまでフロアから出ることが許されず、リハビリ室の利用もできない。
誰だって、同じ空間にず~っと居続けたら嫌になる。
私は、カルテの記載上、既にその週のリハビリは終了していても、折角感染対応が解除されたから、リハビリ意欲の高い利用者を、リハビリ室へ連れて行く。
うちの施設では、未だに自由な面会や外出が実現できておらず、暇を持て余していたり、帰宅願望が強くなってしまう利用者が多い。
そんな中でのリハビリって、暇つぶしにもなるし、リハビリ職員との会話を楽しみにされている利用者は多い。
私がリハビリ室へ案内した利用者たちは、「久々に来たわ」「やっぱり運動しなくちゃね。」と、とても嬉しそうにしてくださる。
私が善意でリハビリを行っただけで、この行動で施設の収益が上がる訳でもないし、正直私の業務圧迫になっている面もある。
だが、利用者の気分転換、笑顔を引き出すことはできた。
私はサービスで余剰リハを行ったわけだが、それを行わない同僚もいる。
それに私はモヤモヤしてしまう。
私の善意で行っただけだし、施設の収益になる訳でもなく、決められたリハビリは実施されているのだから、同僚には何の問題もない。
ただ、「自分がフロアに監禁されていたら滅入るだろ」と利用者の気持ちに寄り添っていない気がして、モヤモヤしてしまった。
私の個人的な考えを押す付けてはいけない。
分かっている。
でもモヤモヤしてしまうんだよ!!
自分だったら、寄り添ってくれる職員にお世話してもらいたいと思うし。
感染対応時のみならず、家族との時間もまだまだ制限されている今、やはり可哀相だなと思ってしまう。
今、AIの発達が目まぐるしく、いずれ介護や福祉の分野はロボットが担うかもしれない。
でも、身体的にも精神的にも弱ってきた利用者にとって、やはり「心」は大事なんじゃないのかなと私は思う。
自分の気持ちを分かってくれる、寄り添ってくれるって、やっぱり嬉しいじゃない。
最後に
なんのまとまりもないけど、HSPでPTの私の思いを吐露させていただいた。
世界的な感染症の拡大で、リハビリとは?利用者にとっての最良って何?と考えさせられることが多くなった。
利用者の健康管理を第一に考えるのは最もなんだけど、保守的に保守的はどうなんだろう?
自分が利用者側だったらどうよ?
リハビリって大事じゃないの?
と常々思う。
私の感染症に対する認識が甘すぎる、とお叱りもあるかもしれないが、日々働いてて葛藤している。
健康を守るのも我々の使命だけど、心の健康も大事にしたい。
私は、私が高齢になって利用者側になった時、こういう施設だったらいいな、こういう職員がいたらいいなを想像しながら仕事をしている。
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