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ゴウリヤー・ヴァイシュナヴァ(≒ラーダークリシュナ派)について

私が訳していく詩は多くがこの流れに属しているので、少し解説します。そのうち女神派についても解説が必要かな?

まずヴァイシュナヴァ(ベンガル語だとボイシュノブ)というのは、ヴィシュヌ派のことなのですが、これ自体がざっくり言えばクリシュナ信仰です。クリシュナはヴィシュヌ神の化身のひとつとして有名です。

これも調べると、至高の存在をヴィシュヌやナーラーヤナとするかクリシュナとするかに分かれるそうですが、少なくともゴウリヤー・ヴァイシュナヴァにおいては、クリシュナを至上の、源の存在とします。ヴィシュヌもナーラーヤナも、むしろクリシュナの姿のひとつというか、むしろ別名ぐらいと言えるかもしれません。

個々の魂は、言ってしまえばクリシュナの分霊(わけみたま)。

献身を通しての自らをなげうつ愛を神に向けて仕えるバクティ(信愛)が中心にあり、同時にその神は己の中を含めたすべてに遍在します。

ゴウル地域を中心に栄えたからゴウリヤー・ヴァイシュナヴァ、だそうです。

タイトルには「ラーダークリシュナ派」と入れましたが、ラーダーというのはクリシュナの最高の恋人とされる女性のこと。ラーダーは牧女であり、クリシュナ信仰の信徒でも今もラーダーの存在を認めない派もあります。

その中で、ゴウリヤー・ヴァイシュナヴァはむしろラーダーを女神の化身とし、クリシュナをして「三界のすべてをもってしてもラーダーの愛に報いることはできない」と言わしめたクリシュナの愛の師として讃えられ、聖地ヴリンダーヴァンの行けばラーダーの名前しか耳にしないほどです。クリシュナにすべてを捧げたラーダーをこそ信仰し、ラーダーを通して源であるクリシュナに辿り着くのだというものです。

有名な「ハレー・クリシュナ」という真言も、「ハレー」はラーダーのことを指すという説もあります。

ところでインド北東部のマニプル州を代表する舞踊にマニプリがあるのですが、これも多くのインド芸能の例に漏れずラーダークリシュナを伝統的に題材としています。

動画を見てお分かりになるか分からないのですが、マニプルの方々はモンゴロイド系で日本人とも近しい見た目をしており、このマニプリの光景が、私自身が自然と惹かれゆくゴウリヤー・ヴァイシュナヴァとの繋がりとして非常にインスピレーションとなりました。

そしてこの辺境と言っても良い地域の舞踊をインド八大舞踊のひとつとして取り上げたタゴールの心性にどこか勝手に親近感を抱いてしまうのです。

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