ぬばたまの（一次創作　詩475）

ぬばたまの闇が嬉しかった
漆黒よりも
烏の濡れ羽色よりも
一段深くなった
そんな闇が嬉しかったんだ

なにを言っても
なにを行っても

弱いものは虐げられるし
強いものは高らかに笑う
それは誰かさんの言う通りに
セツリとか
シンリとか
なんて言うものなのかもしれないね

なにを言ってやがる
でこピンしてから鼻息で吹き飛ばしてやるよ

そうさ
誰も聴こうともしないし
誰も考えようともしない
闇に
闇の中に落ち着きを見つけて
なにが悪い

どんな手段を使っても
勝てば官軍おめでとう
そんな日蔭で蠢くことを強いられる
じゃあいっそのこと
闇の中だけで生きさせておくれよ

そんなわけでわたしは今日から
闇と一緒に手をつなぎ
陽の光と笑顔に怯えつつ
そっと生きてみせましょう

ああ
ぬばたまの
ぬばたまの

（画像はPinterestより）