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Diary (Playlist) 2022/10/29

(ほぼ)毎週10曲更新予定。コメント短めでプレイリストメインです。
最後にプレイリスト貼ってます。

Awake / Leland Whitty

 BBNGのサックス/ギター奏者Leland Whittyがソロ作『Anyhow』をリリース&先行曲公開。現代のジャズから見るとBBNGの立ち位置は特殊で、ただ(当たり前ながら)全く無関係ではない(初期にグラスパーのカバーもしているし)、でもどう説明したら良いのか、みたいな現状に対してかなりわかりやすい作品になりそうな予感がする本作。
 説明を見るとWayne ShorterやJohn Coltraneの名前も上がっていますが、むしろDavid Axelrod、Gary McFarland、Arthur Verocai、Brian Bennettとアレンジャー達の影響が強そうで、ジャズと映画音楽やライブラリー系が蜜月だったあの時期のフィーリングが好きなんでしょう。そしてその系譜として、現代だとJon BrionとJonny Greenwoodが好きというのも納得。ざっくりいうと、非ライブ的な録音物としての「ジャズ」が好きで、その録音物のフェチズムとして現代だとJon Brionらの名前が上がっているのではないかと。
 というわけで、先行曲は生々しさとスケール感が等価に並べられるスピリチュアルなジャズ。ライブラリー系への愛がありつつも、それを改めてライブ化したBBNGの(現段階の)完成系が『Talk Memory』だとしたら、そのフィーリングを持ったまま再び映画音楽/ライブラリー系的な方向にアプローチしているように思います。

Sicily' Box ft. Yussef Dayes, Marco Bernardis & Rocco Palladino / Venna

 Yussef Dayesのバンドにも参加するサックス奏者Vennaが新曲をリリース。Marco Bernardisもサックス奏者なので、2管なのか、ここでは鍵盤を弾いているのか?ドラムはYussef Dayes、ベースはRocco Palladino。
 何をやっても無敵みたいなベースとドラムのコンビネーションが素晴らしいです。Yussef Dayes、上手いのはもちろんなんですが、少し崩れてもそこを旨みとして聴かせるのがすごく、演奏の魅力に溢れてます。

10,000 Dreams / Vienna

 モントリオール拠点のビートメイカー/プロデューサーViennaの新曲。生音&ジャズをベースとしたビート曲で、ライブ感ある音像がカッコ良いです。この曲の流れで聞くと、結構Yussef Dayesみもあるように聞こえませんかね?

Wonder - Live at Pikes Ibiza / Nightmares On Wax

 Nightmares On WaxがライブAL『Shout Out! To Freedom… (Live at Pikes Ibiza)』を2022/10/28にリリース。「ロックダウンから解放され、再び一緒に演奏できるようになった瞬間を捉えたもの」とのこと。
 Nightmares On Waxの楽曲の作り込みをそのままにバンド化したような演奏で、正直過去のどのNightmares On Waxのライブver.より完成度高いと思います。ブレイクビーツ/ダウンテンポ的な重心の低さを残しているのが素晴らしく、バンドだけどライブやプレイヤーが中心になっていない感覚というか?良い意味で、ライブしていたとしてもDJみたいに楽しむことが出来るちょっとしたチルさ/溶け込み感が素晴らしいです。そしてディープな曲は一層ディープに!

Third Wave Mischief / Amir Bresler, Nomok, Nitai Hershkovits

 ドラマーAmir Breslerに鍵盤奏者のNomokとNitai HershkovitsがAL『Rollin' Until Late』を2022/11/25にリリース&先行曲公開。この曲ではNomokがベースを演奏し、クレジット見ると曲によってはAmir BreslerやNitai Hershkovitsもベースを弾いています。
 ビート系が多かったRaw Tapesの今まであまり取り上げられてこなかった面、フュージョンへの愛が溢れている感じですね。Weather Reportというかザヴィヌル感があり、トリッキーなメロを楽しむ感覚が気持ち良いです。モダンなローファイさを取り入れた音像がカッコよく、特にAmir Breslerのドラムの音色が良い感じ。

Samen / Mauskovic Dance Band

 アムステルダムのバンドMauskovic Dance BandがAL『Bukaroo Bank』を2022/10/28にリリース。元はラテン〜エキゾ系なバンドだったんですが、徐々にニューウェーブ的なエッジーさが入り、本作はAfrican Head ChargeやDub Syndicate的なOn-Uサウンドと近い、ソリッドな異世界系です。
 バンドによるパワーで攻めないダンスミュージックという感じです。隙間多めでカッコ良い!

Music Is Healing / Charlie Stacey

 Yussef Dayesのバンドにも参加する鍵盤奏者Charlie StaceyがAL『The Light Beyond Time』を2022/11/22にリリース&先行曲公開。ボーカルはBasement JaxxやIncognitoにも参加したVula Malinga。
 アシッドジャズ味ある曲を現代ジャズで演奏したという感じで、演奏のフィーリングは割とUS的、少なくともUKジャズ的なソリッドさが全然無いのが面白いです。中間部のラテンゾーンの迂闊さはUKジャズというか若さですが、まぁそこ含めて演奏はまろい系だけど意外にフレッシュというのが魅力な気がします。

Not You Anymore / Dorian Concept

 Dorian ConceptがAL『What We Do For Others』を2022/10/28にリリース。テクニカルな側面が注目されがちだった印象のDorian Conceptが、再びメロ作曲に向き合った気がする本作、なんですが、説明を見るとむしろ結構ラフにしているっぽい?メロディの美しさが中心で、それが生まれた時の感覚を逃さない身体性がキモだと思います。今まで通りの音のこだわりは残りつつ、セッション的なまでにフレッシュなのが素晴らしいです。

And Then Go Further… / Nate Marcereau

 ギターシンセ奏者Nate MarcereauがAL『SUNDAYS EXPANSION』を2022/10/23にリリース。昨年のAL『SUNDAYS』の延長線上の作品とのこと。
 即興性あるアンビエント演奏が素晴らしく、かつ快楽的に音を出していくというよりは、よりディープな方向に潜っていこうとしていく感じが面白いですね。DAW的な作成とは違い、時間軸が戻らない/全体として曲のテンションが平均化しない感じが楽しいです。

Now At Last / The Randy Paserntes Trio feat. Sam Gendel

 普通のジャズに混ざるSam Gendelの異物感、と思いきや全然調和しているのが面白いです。あれだけ特殊な音なんですが、こう聞くと超スイート。お互い寄せないことで面白い着地になった曲で良いですね。


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