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Diary (Playlist) 2022/6/10

(ほぼ)毎週10曲更新予定。コメント短めでプレイリストメインです。
最後にプレイリスト貼ってます。

Brass Necklace feat. (((O))) / FKJ

 フランス出身のマルチ奏者/シンガー/プロデューサーFKJが2nd AL『V I N C E N T』をリリース。2013年が初リリース(EP)なので、そう思うとALとしては寡作なんですね。今回はLittle DragonやToro y Moi、さらにはSantanaも参加しています。
 この曲は((( O )))ことパートナーのジューン・マリージーとの曲。この曲しかり、どの曲も直球なまでにメロウで自分的な落とし所が難しかったんですが、このツイートで向き合い方がわかった気がしました。

 思うにFKJは「(音の)快楽主義」であり気持ち良さにどんどん身を委ねていく所が、「(音楽的完成度を目指す)プロフェッショナリズム」とぶつかっているんですよね。僕はそこに手癖的な雰囲気を見てしまっていたのですが、「プロフェッショナリズムからの逸脱」を目指していると思って聞くとわかりやすいなと思いました。そもそも作曲や演奏という行為がどうしても能動的である以上、快楽主義的な世界観とはそもそも食い合わせが悪く、だからこそFKJのストイックな(?)逸脱が面白さに繋がるんでしょう。独特のアヴァンギャルド路線とも言えるかもしれません。

Pele da Esfera / Sessa

 ブラジルのSSWであるSessa、2022/6/24にリリースのAL『Estrela Acesa』より先行曲第三弾公開。超低体温のサンバという感じで、グルーヴィかつ止まっているみたいな不思議なノリが気持ち良いです。
 ミニマルなバンドアンサンブルが素晴らしく、崩壊ギリギリみたいなバランスがカッコ良いですね。ブラジル版ネオソウルみたいにも聞こえてます。

pulse4 / E.O.U & caroline

 京都のアーティストE.O.Uと兵庫のアーティストcarolineによる新曲。音の気持ち良さがすごい。アンビエントな良さありつつ、ビートがしっかり入っているところに音楽的な強度を感じます。ヘッドフォンで爆音でも良いし、クラブでも良い、いやスマホのスピーカーでもいけそうという音の作り方なんなんでしょうか。どの距離でも繊細さがわかる感じが良いですね。

V / Yung Braly, James Massiah

 Yong Bralyの新曲。瞬間の質感はメロウなんですが、展開のミニマルさや唐突さなどサンプリングの歪さを強調したような曲で、チルかと思いきやすぐに辛いみたいな感じがカッコ良いです。

C Tactile Afferent / Ola Szmidt

 UKのシンガーOla Szmidtが新作『EP3』をMatthew HerbertのレーベルAccidental Recordsより2022/7/8にリリース&先行曲公開。不穏なループの上で歌っているんですが、歌自体はアブストラクトというよりは結構輪郭はっきりしている、いっそポップとまで行っても良さそうな強さなのが面白いです。
 とはいえ全体の印象は最終的にはかなり浮遊感あるエレクトロという感じ。抽象的な方になるのか、実験的なエレクトロ作という形になるのか、他の収録曲にも期待です。

Two-Tone / Sam Gendel

 Sam Gendelが新作『SUPERSTORE』を2022/6/10にリリース。ALではBlake Millsなど参加しており、この曲ではKevin Yokotaがドラムで参加しています。
 この曲のフェードインではじまりフェードアウトで終わる感覚こそSam Gendelな気がします。起承転結というよりは質感と空間を使ったような音が素晴らしいです。楽器が鳴っている気持ちよさを捉えている感じというか。
 結構アブストラクトだし、決して聞きやすい音楽とは思えないはずなんですが、なんかポップ、かつそれを本人があまり志向していなさそうな雰囲気なのが面白いですね。

Two Way Street / Julius Roddriguez

 ピアニストでありドラマーであるJulius RodriguezがAL『Let Sound Tell All』を2022/6/10にリリース。演奏という共通点のみで過去と現在をつなげていくような力技作品で、フレッシュな感覚がカッコ良いです。
 この曲も最初のドラムとサックスのデュオ部分、古典的な感じを出しつつ、滅茶苦茶エフェクトかかっているんですよね。しかもケレン味的な方向というよりは、「普通にかけるでしょ?」みたいな自然さ。ほどよいローファイさも含めてジャズの新しい波を感じました。
 いや、ジャズというよりもインディの感覚でジャズやっている的な話なのかも?ジャズで他に近い人がいるというよりは参加しているOnyx Collectiveしかり、Nick Hakimとかな気がするんですよね。

Trinity / Snarky Puppy

 Snarky Puppyが9月にALリリース&先行曲公開。ミュージカルなどの壮大な音楽をいかに自由な状態でやるか、みたいな感じで聞いています。多重録音で具現化するJacob Collierに対して、コレクティブの結束性と多層性で戦うというか。
 スピリチュアルなベクトルが作品の重みに繋がった印象のEsperanza Spaldingの昨年作『SONGWRIGHTS APOTHECARY LAB』などと比べると、現状だと割と平常運転に聞こえるSnarky Puppyなんですが、むしろあの大人数で平常運転を続けているというのがそもそも凄すぎる話なので、元気に活動しているという異常さに注目すべきなのかもしれません。とりあえず綿密な楽曲性と各プレイヤーの良さが活きる自由度が共存する凄空間は相変わらずです。

Victory Dance / Ezra Collective

 Ezra CollectiveがIDLESなどが所属するPartisan Records入り&新作に向け先行曲公開。というか今までリリースは割と自主っぽい感じだったんですね。
 ここに来てラテンという新基軸です。とはいえラテンジャズというよりクラブで流れるようなミニマル&アッパーなノリで、まぁ何をやってもEzra Collectiveになるよね、的な良さではあります。

Touble / Avalanche Kaito

 「グリオのKaito Winseとベルギーのノイズパンクデュオ(ギター、ドラム)と出会った」みたいな説明のハードコア・アフロ・エクスペリメンタルAvalanche KaitoがAL『Avalanche Kaito』を2022/6/10にリリース。全部強くてみんな好きそう。
 (エレクトロな音も入りつつ)根幹はバキバキパンキッシュな演奏+グリオの歌と書くと不思議な感じですが、予想以上の一体感が滅茶苦茶カッコ良いです。ダークな音像になりそうな瞬間に、バンド演奏が肉体的な明るさを出すんですよね。想定よりは耳疲れしない音なのも好感触。


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