見出し画像

Diary (Playlist) 2023/1/14

Bread / Ivan Ave

 ノルウェー出身のラッパー/プロデューサーIvan Aveの新曲。プロデュースは自身で行い、演奏でオスロのバンドGiddyGangのメンバーが参加しているとのこと。
 Ivan Aveの独特な浮遊感が気持ち良いです。ヒップホップではあるんだけど、ソウルというよりはフュージョン/AORっぽさがあるというか、ちょっとした抜け感が良いんですよね。エモーショナルやメランコリックな方向には決していかない感じが、もはや逆にストイックな気もします。いつでも聴きたい&生活に溶け込むヒップホップ/ラップ曲。

In Perfect Time / Xinxin

 カリフォルニアのバンドXinxinの新曲。昔はかなりテクニカルで激しい曲もやっていたのですが(マスロックやオルタナ的な)、最近はその技をMen I Trust方面でまとめているようで、ひたすら心地良い曲になっています。
 とはいえ曲のメロなどは複雑め。しかしボーカルの隙のある感じが絶妙で、全体としては軽やかなポップスとして聞こえて良いです。ソウルフルにしない良さを感じました。

The Call (feat. Otis Sandsjö & Moritz Baumgärtner) / Lukas Traxel

 スウェーデンのベーシストLukas Traxel、Y-Otisなどで活躍するサック奏者Otis SandsjöとドラマーMoritz Baumgärtnerを招いた新曲を『We Jazz』よりリリース。
 サックスのコードレストリオなんですが、音の少なさではなくむしろ3人でしっかりアンサンブルが成り立っているのを楽しむ感じです。全員がオフェンシブかつフォーマットを超えていこうとするフリーキーなプレイが刺激的で、Koma SaxoなどWe Jazzやベルリンのジャズシーン周辺の充実っぷりを感じさせる曲になっています。

Sábado (feat. Zé Leônidas) / Caixa Cubo

 ブラジルのジャズトリオCaixa Cubo、AL『Angela』でもコラボしたシンガーZé Leônidasを招いた新曲。Azymuth直系という感じで、ブラジリアンかつミクスチャーかつ最終的にはやっぱりブラジリアンな演奏が素晴らしい。
 ファンクやっても一筋縄ではいかないのが良いですよね。ベースがゴリゴリしても浮遊感が残るのがカッコ良いです。

Lady (Ezra Collective Version) / Ezra Collective

 Fela Kutiのアルバムの50周年記念リイシューの一環として制作されたEzra CollectiveのFela Kutiカバー。「Shakara」もリリースされるとのこと。
 原曲はFela Kutiらいい低速なアフロビート曲でしたが、このカバーはBPMを上げよりダンサブルに。他にも歌がないなどの違いありつつ、個人的に一番気になった変化はギターがいない事ですかね。キーボードでそれっぽいフレーズやっても良かったようにも思いますが、このスカスカ感こそ彼らという気もします。Ezra Collectiveの音像のまま、アフロビートの名曲を現代風に再現しています。

Wrap It Up (feat. Nate Smith) / Kurt Elling & Charlie Hunter

 最近の作品ではButcher Brownのメンバーなどを招いたKurt Ellingの新曲は、なんとNate Smithが参加!Kurt Elling & Charlie HunterとしてAL『Guilty Pleasures (feat. Nate Smith)』を2023/2/17にリリースとのこと。
 重心低めなノリに小気味良いスネアの音が気持ち良いです。音像としては新世代John Mayer Trioという感じでもあり、図太いグルーヴのNate SmithとCharlie Hunterの絡みが素晴らしい!

Grateful / El Michels Affair & Black Thought

 ヴィンテージ・ソウルの中心的バンドとも言えるEl Michels AffairとThe RootsのラッパーBlack Thoughtがコラボ作『Glorious Game』を2023/4/14にリリース&先行曲公開。
 説明を読むと「サンプリングで曲を作ってから生演奏に置き換える」みたいな作り方をしているようで、El Michels Affairの最近の作品に比べると良い意味でループの歪さが目立つ作りになっている気がします、演奏基軸じゃないゆえの不自然さというか。そして音が滅茶苦茶良い。古めかしくも新しいサウンドが素晴らしいです。

Casa Lopez ft. Mick Jenkins & Masego / Venna

 UKのサックス奏者/プロデューサーVennaの新曲。ジャジー・ヒップホップを現行UKジャズとして再構築したような感じで、サイケデリックでジャジーな上物に強め&硬質なビートの絡みがカッコ良いです。そのままYussef Dayesが演奏しても良さそうな曲調でもありますね。
 Masegoのラップがカッコ良く、曲調寄せることがうまそうなタイプの印象だったんですが、ここではむしろ離れて荒々しさ出していて良いです。

savedbythebell / Seven Davis Jr.

 奇才ハウスプロデューサー/SSWであるSeven Davis Jr.がAL『savedbythebell』を2023/1/13にリリース。ダンスミュージックという体で聞くアブストラクトな実験作。音が全部変で最高。
 DJの一番深い時間のカオスが詰まってます。不穏ではないし、リズムもちゃんとハウスなんですが、エフェクト切り忘れているような音響が奇妙でカッコ良い。大体こういう方向ってハードなダンスミュージックになりがちなんですが(それはそれで全然カッコ良いし)、全体的に明るいのが面白いです。この明るさと近いのだとTheo Parrishとか?これこそソウル→ハウスミュージックの力な気がします

It Smiles Without My Lie / LA Timpa

 ナイジェリア出身のプロデューサー/SSWのLA TimpaがAL『Pity by One All Good Treasure』を2022/9/22にリリース&2023/1/13より配信開始。
 昨年リリースしてたの気がつかなかった!滅茶苦茶良い!気づいていたら年間ベスト入れたのにという人が多発しそうな(してほしい)、ドリーミーでサイケデリックな「なんだかよくわからない音」たち。曲として成立するかギリギリを攻める、だからこそのもろさとかけがえのなさが美しいです。歌っているけれど声が中心にならない瞬間が面白いですね。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?