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身体性の話の続き、デンマークの学校で思い出したこと #0100

さて前回、身体性からくる「衝動」とか「情熱」が大事だよ、って話を書いてましたが、翻って今の自分はどうなんだい?と言う話です。

わたくしは、幼少の頃はとにかくものを作るのが好きで、身体性バリバリだったのですが、高校大学くらいでご多分に漏れず受験→就職と言う名の「才能ごろし」段階に突入し、すっかり自分を見失いましたね、、。

こんな感じから、どうやって元の感じを思い出していったのか、そんで今どうなのよ??と言う話ですよ。


ゆる言語ラジオで話されていた、言語とビジュアルの話

ところで、早速脱線なのですが、奇しくも最近「ゆる言語学ラジオ」でも、言語とビジュアルの話をしてました。↓

今の時代って、言語化が得意な人によって作られた言語化マジョリティの世界だけど、物事をビジュアルで考える人ってホントは一定数いるし、そういう人って生きていくの大変だよね、と言う話でした。

これはヒジョーーーによくわかります。

わたくしも昔から、「言葉にならない」あるいは「言葉にすると抜け落ちる」と言う感覚がとても強くあって、もやもやしまくってました。
幸い、父親が書くことに関わる仕事をしていたので(作家じゃないのがミソ)、ある程度のフォーマットをそこでインストールできました。なので、「言いたいこととはちょっと違うんだけど、まとめて面白く作文にする」みたいなことは後天的に取得。そのため、割と作文は評価されることが多かったのです。

その意味では、「言語寄りのビジュアルシンカー」って感じなんだと思うので、その間のブリッジができるという利点はありますな。取りこぼしてるものだいぶ多いけど。

が!さっき書いたように元はビジュアルで物事を考える(もはや考えてもおらず、「感じて」いる)タイプだったので、言語化サイボーグ的な実感がありました。
絵を描いたり造形を作る、あるいは物を配置していくのは昔からけっこう得意で、みんななんでこんなに構図を作るのができないの??って思ってました。

一方、学校教育では「言葉にしないと!」と焦っていたので、だんだん自分の本質から乖離していく感覚がありましたね。
『「言語化できることがエライ」と言うのは、言語優位者が支配している世の中だからだ』とゆる言語で言っていたのはホントその通り。言語ハラスメントですよ、マジで。

子供時代からの変遷、いかに身体性を失ってきたか

さて。だいぶ字数を食いました。わたくし自身の話でしたね。

冒頭に書いたように、わたくしは幼少期から中学生くらいまではかなり手を動かしてものを作るのが好きでしたね。西武ライオンズのヘルメットなんかも、ダンボール、新聞紙と色紙でかなりのクオリティに仕上げていました。あとは昔良くあった、巨大な海苔の瓶にぎゅうぎゅうに紙相撲の力士を作り込んで入れていたり、自分で新聞を作ったり、絵もよく描いてました。創作大好き、美術の時間大好きっ子って感じでしたね。

アメリカの小学校では、そんなことする子供はあまりいなかったので、たとえば一人の大統領を調べるプロジェクト報告をかなり作りこんだ結果、最高グレードもらってましたね。こう言うのを褒めて賞をくれるのが、アメリカのいいところですな。

ところが中学校は私立に行った(今考えると「行かされた」感あるが)こともあり、勉学中心生活になって、この頃からだいぶリズムが狂った感覚があります。しかし割と要領が良かったこともあり、成績は上位にいたため、そこに自分のアイデンティティを持っていってしまっていたところがあります。勿体無い。
一方で、絵を描くことは細々と続けていたり、演劇とかは好きだったので、そっちで何とか発散してましたが、体育会系の部活含め、なんか違うなーー感を常に高校時代は抱えていました。

受験で創作からはさらに遠ざかって、大学入って完全に方向を見失いました。
周りは超のつく天才で溢れ、今考えるとロジックで突き詰めるタイプが周りに多かったこともあって、かなり苦しみました。マジで言語化の塊みたいな人多かった。
バックパッカーで放浪したり、雑誌社のバイトは楽しかったのですが、今考えると表現の場を失っていたんだなーと思います。

バックパック旅行は最高に楽しかった。
(写真はイエメン・サナアの旧市街)

会社勤めで滅私滅私!

会社で働くことは自分には全く向いていないことは想像できたし、企業の事業内容というものに共感できるところが全くなく(見てる範囲が狭かっただけだけど)、渋々大手の電機メーカーに入ったけど、もう初日から「こりゃダメだ」と思いましたね。自分を消さないと生きていけないと思って、そこからは大変でしたよ。

完全に滅私して会社フォーマットで暮らしていたので、自分のやりたいこととか好きなことが埋もれてしまって、わけがわからなくなりましたねーー。部屋もかなり荒れていて、当時の寮長(会社の寮に住んでいて、これも良くなかった)に「部屋をきれいにするように」という社会人とは思えない指摘を受けていましたが、完全に精神的におかしかったですね。実際、2、3回鬱症状出ましたし、、。

んで、詳しくは書けないのですが、20代の終わりに仕事でも私生活でもトラブルが発生しまくって、このままでは本当にヤバイと思って会社を辞め、今までと全く違う空気感のところ&共同生活ができそうなデンマークの学校に行きました。

何もないけど、いいところでしたよ

興味を見失って、救ってもらったデンマークの学校

だいぶ長くなってしまった、、。

で、このデンマークの学校が本当に素晴らしかった。højskole (ホイスコーレ)という、ギャップイヤーや自分の関心ごとのために来る人が多く、18歳以上なら誰でもOKという寄宿生スタイルの学校。創設したGrundtvig(グルントヴィ)の思想で、「生きることを学ぶ」というのがメインの思想ですね。

共同生活できるのが良かった!

今ではすっかり日本人が多くなってしまい、日本人の制限がかかる学校もあるみたいですが、10年前は「初めての日本人!」でした。なるべく日本人のいないところ、と思っていていたので、これも良かったです。

わたくしが行ったのはVestjyllands Højskole というところでした↓

ここは当時、エネルギーも自活して、ガーデンを自前で運営して、そこで採れたものと周囲のエコファームのエコ認証を取った農家から仕入れをしていました(今はだいぶ違う感じ)

東日本大震災の後、ということもあって環境について考えていたタイミングだったので、環境のことを学べそうな場所、ということで選びました。
コレクティブにエネルギーを自活するスタイルも素晴らしかったのですが、当時の校長がシュタイナー出身ということもあり、対話やクリエイティブに焦点を当てているのも良かった。(ガーデンはもちろん、バイオダイナミックでしたね)

ここでのガーデンの仕事が今に繋がってます

デンマークの学校、何が良かったんだろうか

で、ここで大きかったのは、自分の創作とか人との繋がりを思い出させてくれたことなんですな。

パフォーマンスを作ったり、絵を描いたり、人と音楽を作ったり、ガーデンで小屋を建てたり、、。それらをまたみんな褒めてくれるので、俄然またやる気になるわけです。英語落語なんかも大変に褒めていただき、レストランのパーティでやらせてもらったり、保育園児向けに(!)デンマーク語落語という史上初の試みもいたしましたね。

創作関係はとても充実しとりました

ここではホントーーに思いっきり自分のやりたいようにやっておりました。
寮を出てからは、近くに住む演劇の脚本家の先生宅にほぼ居候状態で、ガーデン管理をしながら共同生活をしておりまして、これがまた楽しかった。


魔女たちとの生活

ここでの体験と友人はいまだに自分の中に続いていますねーーー。
そしてここでのガーデン生活が、今の庭の仕事につながっていることを考えると、大変に意味のあることでした。

思い出させてもらった「内なる衝動を忘れるな!」

ここでの体験は、新しく得たものかといえばそんなことはなくて、自分がもともと持っていた「作りたい」という欲求や社会性の中で生きていくことの楽しさを「思い出させてくれた」ものだったんですね。
これはまさに「身体性」の話で、体感値として実感できるリアルな欲求に従うことの大事さを思い出させてくれたわけです。
ここでの体験が、ガーデンの仕事→庭の仕事という身体性バリバリの仕事に続いていくわけで、やっぱり内なる衝動ってのは大事なんだなーとつくづく思います。

それを30歳過ぎてから思い出すというのも、なんとももったいないことをしたとも思いますが、でも思い出さないより良かった。

思いっきりやること!のすすめ

デンマークから帰国後、少し農業の会社にいました。そこの社長は、暴走族のヘッドだったのですが、「思いっきりやれ!」ということをはじめに一言言われました。それって大事なことだし、それを言えるのはすごいなーと今になって思います。
何しろ、思いっきりやったことがない人は、「思いっきりやる」ということがどういうことなのかわからなくなっていると思うんですよね。

歳を重ねると安全に行こうとする自分を発見して面食らうこともよくあるのですが、そんな時はメーター振り切っていけ!と自分に言い聞かせようと思います!

今、自分の子供も絵に熱中していますが、それはどんどんやってほしいと思いますね。絵を描くことそのものよりも、熱中することが大事だと思うからです。
好きな対象よりも、「好きなことに思いっきり熱中する」ということがとても大事ですな。その感触を持ったまま大人になってもらいたいものです!

ではでは!


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