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高齢化だけではない!団地フリーマーケットに学ぶ

前回、2023年の最も記憶に残る出来事として盆踊り大会をあげたが、
昨年の私の「楽しい」ベスト5はすべて団地内で起こったこと。

例えば昨年秋に行われた団地内のフリーマーケット。
「人がつながる場と機会」というものに興味がある私は、
団地の住民が出展するフリマを通して、どんな繋がりが生まれるかを知りたく、それに団地内を歩くと「高齢者とU35割(子育て世代への家賃割)を利用したファミリーが居住者の大半」と見える団地に、本当はどんな人が住んでいるか、団地を好んであえて住んでいるような若者も案外いるのではないか、本当はわたしのような同世代のシングルもいるのではないか?出会える楽しみと現場観察がしたく、出店をした。人生初のフリマ参加。

といっても引っ越してきたばかり、ばっさり断捨離してきた私は売りたい服などもない。
そこで発想を変え、各地の器や織物などが大好きすぎて「民藝夏期学校」にも参加している民藝好きな私は、日本民藝協会が出している「民藝」という渋い雑誌をはじめ、志村ふくみさん、棟方志功などの作品やエッセイを
自分の名刺代わりに置くことにした。本当は選りすぐりの手元に残していたい本たちだけれど、こんな渋いものに反応してくれる人がいたら、うれしいと。周りはほぼ古着を売っている中、完全に浮いていた。

当日現場に行ってみると、お隣さんは素敵なグリーンやステーショナリーを飾っている。イラストレーターさんと建築家さんの若いカップルでご自身の作品などを売っていた。

早くも、いた。
聞くと元々団地育ちで、この団地のことも駅からの道のりも含め気に入ってしまったという。建築家のパートナーと部屋の中もかなりDIYして素敵に暮らしている模様。
フリマ早速、彼らが団地で育てたグリーンを買ってしまう。

おおざっぱに並べて開店すると、素通りする人もたくさんの中、中には食いついてくれる人もいた。
1回素通りしながら戻ってきて「民藝に興味あるからこの雑誌買って読んでみたい」という若い男性から、志村ふくみさんの本に反応した同世代の女性まで、いるいる。
趣味のことなので、お互いいくらでも話せる。中には金沢や四国で見つけた手毬をスマホで見せてくれる方、中には大学の講師をしていらっしゃる〃団地住まいの方もいらっしゃった。

高齢者と若い家族だけだと思っていた団地には、当たり前だが様々な方がいるのだ。すぐそこにいるのに、近所に住んでいるのに、こんな公の「機会」があることでわかる。
こんな場と機会があると、住んでいる人の顏が見え、出会い、安心するのだ。

ちなみに、この団地フリーマーケットで出会った人の中でつながりをもったのはインスタを教えあった1人だけでそのほかの方は、それっきりの縁。
1回きりなら、よほどの縁がない限り繋がりにくい。
やはり継続的に出会い、何かを一緒に体験しないとつながり(このつながりの定義もあいまいだけれど)は生まれづらい。
その意味で継続的にゆるりと出会う「団地ヨガ」は確実にコミュニティが醸成されている。回を追うごとに、ヨガ前後に参加者同士の会話が弾み、盛り上がっているのが見て取れるし、私も人との会話数が確実に増えている。
一緒に何かをすること、そして継続性。

団地初年度でコミュニティに付随するめんどくささに直面していない段階だからだが、このように「ご近所さん」とのちょっとした出会い、世間話程度のコミュニケーションがとても新鮮でうれしい。

これまで長年、仕事などやライフワークを通して新しい出会いはたくさんあり多くの人脈を築いてきた。私個人の力では会えないような、活躍している方とも交流できる機会に恵まれたり、幸いに各地方で、たくさんの人にお世話になっている。「遠く広く」のつながりは、私のような社交的でも魅力的でもない人間にしては、幸いにもだいぶ恵まれてきた。
でも今は、「近くの幸せ」に敏感だ。視野が狭くなっているようにも思えない。新たに新しい世界を見つけていて、そこを大事にしていれば、きっと他の地域に行った時も自分を自分が幸せになれる気がしている。

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