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お化け屋敷な団地を素敵にしてくれる存在


築60年の文化財みたいな昭和団地に引っ越してきて半年。
一長一短ありますが総じて「幸福度が上がった」ことをじわじわ実感しています。
私は地域の移住者と地域の接点を研究しているのですが、研究対象地域としている神奈川県真鶴町では、インタビューした人のほぼ全員が「真鶴に来てよかった」「幸福度があがった」とおっしゃっているのがとても印象的でした。それについては修士論文にまとめています(これもnoteに記していきたい)。
地域を変えライフワークを変えることで「幸福度があがった」なんて、なんて素敵な人生だろう、とずっとうらやましく思っていたけれど、ちょっとだけ実感しているところです。(真鶴の場合は、「人とのちょうどよい距離・つながり」というのがあります、確実にもっと幸せそう・・比較研究)

これまで「団地ヨガ」「団地フリーマーケット」「団地の盆踊り」を通して団地のコミュニティにまつわることをまとめてきましたが、そのほかにも様々な催しがあり、その都度感動しきりでした。自治会の催しも月1回の「喫茶店」やおひとり様500円の、集会所で開かれる「居酒屋」など素晴らしいのですが(このすばらしさについても改めてまとめたい)
その中でも団地内のカフェが主催した蚤の市(クリスマスマーケット)も圧巻でした。
何がすごいって、団地の外から素敵な人達を運んできてくれるチカラ。

空き家率10%、高齢化率も70%の築60年の団地は、普段はちょっと寂しげ。
団地住まいっぽい若い人が「こんなお化け屋敷みたいなー」と友達に説明していていたのを聞いたこともありました。

しかしこの日だけは、とんでもないことに。
若者やファミリーが団地めがけて方々からやってくる。いつも高齢者が殆どな駅からのバスがおしゃれした人でぎゅうぎゅう。
団地でカフェを運営するこのイベントの主催者は東京や関西でマーケットを開いており、そこに付随するファンも多いのだ。

「お化け屋敷みたいな」団地に外から人をたくさん運んできてくれる。
なんという誘致効果。
一方で杖をつくご年配の方も見られ、団地の方や近くに住む方も興味をもって訪れている。ご近所さんから素敵女子まで老若男女それぞれたのしんでいるごちゃまぜ感。

昭和30~40年に建てられた団地(旧公団・現UR)ではどこも高齢化が進み、「都内(または府内)でありながら過疎化」と揶揄されるようになり、高齢化の課題へのテコ入れがされている。
その大半の課題解決がコーシャハイムに代表されるような「立て替え」であり、マンションと変わらない高家賃となる。
必然的に所得が追い付かない人が追い出される形となってしまっている。

そこで中には、横浜の左近山団地や国立の富士見台団地に見られるように、近辺の大学(横浜国立大・一橋大)の学生が、地域のつながり・まちづくりに参加したり、若い建築家などが多様な人が集まる場を作って、古くて高齢化した団地に息吹を吹き込んでいる。大阪の泉北ニュータウンなどは若いファミリーが集まる素敵な団地に生まれ変わっているようだ。

一方で私が住む団地は、まちづくり系や行政が入っていない(と思う)。反面、昭和から続くしっかりした団地の自治会と、団地内に出店しているカフェなどの一部が盛り上げてくれている。

カフェの存在イベントがきっかけとなり、この団地に興味を持ち、住む人もいるであろう。やっぱり「知る」「訪れる」きっかけを作るということはポイントだ。
そういう私も団地に引っ越すことにした大きなポイントは、このイベントをやってくれたカフェの存在。「あのカフェがあるし・・」が決定打の一つになったのだ。
私は手紙舎さんの、細部に渡る色々な取り組みとポリシーが大好きで、オーナーの関連書籍も読みまくっているし、このカフェにも以前から時々訪れていて、団地内の緑を見ながらお茶をするのが大好きで、ぜいたくなひとときでした。

「お化け屋敷」とも言われてしまう古びた団地に、印象の1よいカフェが1軒あるだけで決め手となるのだ。
先の「蚤の市」で団地に足を運んだ人が、「こんな団地あるんだ」と次の住人になる可能性も高い。手紙舎さんのカフェやイベントの開催によって団地のブランディングができているともいえる。

そういう感謝が重なると、ますますお店に愛着がわき、できればそのお店のものをプレゼントしたり購入したくなる。昨年のクリスマスケーキはこちらで注文したのですが、ミルクティーチーズケーキ、見事にかわいらしく、見事に美味しかった。どこまで素敵なんでしょう・・

これまで機会、すなわち催しの話ばかり書いてますが、「団地に引っ越してきてから幸福度がああがった」という要因の70%は実は日々の暮らしにあります。
次こそは、そのことを伝えたいです(誰も読んでないかもですが)

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