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「#ジャメヴな瞬間」で垣間見たフリーコンテンツの潜在力とその価値

トップバナー写真の作者:IchiZoさん

どうもこんにちは! トモです😉

ここ最近、YouTubeチャンネルをほったらかしにして(お待ち頂いている皆さんにはスミマセン)、まったく新しい写真キュレーション企画「#ジャメヴな瞬間というのをオンライン上でやりました。

これがね、本当に面白かったんですよ。誰よりも、私が楽しかったー!🙌

そうそう、こういう写真がSNSでも見たかったんだ! という達成感と眼福の思いもその最たる理由でしたが、そのほかにもフリーコンテンツの底力を確かめることができたというのが挙げられます。今回のnoteではそれについて触れようと思います。(長くなりそうなので、企画総評は次回のnoteで!)

どんな内容だったかというと…。

これは、Twitterで特定のテーマに沿って募集した写真群から厳選・紹介していくというもの。第1回の公募として、2/21から3/6までの2週間公募を受け付けました。

誰も参加してくれなかったらどうしよう……という一抹の不安も抱きながら始めたところ、わずか2週間で587名の応募者による3388件もの写真投稿が集まり、タイムラインは一時、今回のハッシュタグで埋め尽くされるほどの熱狂ぶりを見せたんです。

今回のフィーチャーでは、単に写真を選出して紹介するだけでなく、厳選した写真群を用いてトモコスガがエキシビションページを構成するという、世界的に見ても前代未聞(=無謀)の試みがウケたようで、みなさんこぞってエキシビションページへの掲載を目指して、沢山の投稿をして下さったように思います。挑戦して頂いた皆さんありがとうございました!

仕上がったエキシビションページはこちら👇

2週間の公募期間中、リアルタイムでエキシビションページに写真追加・編集する一部始終を公開していったのですが、その反響もあってか、日に日に投稿数が増し、エキシビションページはものの3日でブラウザのスクロールバーが球になるほど写真で溢れてしまったため、第二部、第三部とページを拡張していきました。

投稿数が多すぎるあまり、自分でもなにをやっているのか分からなくなってくるほどの混沌を極めた時期もありました。写真を編んでいるはずが、脳裏をよぎるのはなぜか刃牙の名シーンの数々だったんですよね。

ジャメヴ。それは写真を巡るマジックスペル。

今回はSNS公募の第1回ということで、募集テーマとして掲げたのは「ジャメヴな瞬間」。ジャメヴ(Jamais Vu)とは、フランス語で「見慣れたはずの事物がふと未知のものに感じられること」を意味する感覚、つまり「未視感」「未視体験」のこと。この対義語は、皆さんご存知のはずの「デジャヴ」(既視感)です。

写真を撮っている人なら、よく知っている風景がふと新しく感じられる瞬間に出くわして思わずシャッターを切ったことが何度かあるんじゃないかと思ったのと、一般的にSNSでバズる傾向にある写真の「映え」がデジャヴだとしたら、その真逆を行くジャメヴは、これまでのSNS映え写真へのカウンターになるだろうと。

ぶっちゃけ、ジャメヴな瞬間にこそ、写真表現の本質はあるはずだと宣言したいくらい、ジャメヴは写真を巡るマジックスペルのような概念だと思うんです。このことについて、詳しくは次回の記事で触れますね。

人それぞれのジャメヴを見たかった。

というわけで、ジャメヴが感じられた瞬間の写真を見せて下さい、という趣旨の公募をしたのですが、ジャメヴという言葉は初めて聞いたという方が大半だったようで。公募開始当初から「ジャメヴってなんだ?」「もっと定義を教えてくれ」という声が散見されました。

しかし主催としては、その定義をあれこれ言葉で説明することは敢えてしませんでした。ええ、面倒だったからではありません。敢・え・て、しなかったのです。ハイ。

写真でバズを狙う百戦錬磨の猛者が数多く潜むTwitter界は、お題をいかに的確に理解し、それに見合った写真を誰よりも早く出せるかで、日々シノギをけずる修羅の国。多くを定義しすぎることで、せっかく集まる写真群が似通ったものになることを避けたかったんですよね。

その代わりに、公募前に集めてエキシビションページに掲載したのが、知り合いの写真家や写真作家30名から集めたジャメヴな写真群でした。

その全員をここで紹介するのは難しいのが心苦しいところですが、赤城耕一さんや笠井爾示さん、桑島智輝さんといった、誰もが知る写真家の皆さんを始め、作家として活躍する齋藤陽道さんやインベカヲリ☆さん、村越としやさん、山谷佑介君、遠藤文香さん。
Twitterで多くのフォロワーを誇る人気写真家のKen TanahashiさんやKeng Chi Yangさん、眼遊さん、川野恭子さん。そのほか、没後作家のアーカイブとして、山本悍右エステート平敷兼七ギャラリーからも作品を提供して頂いたところ、なんとも夢のように豪華なページが仕上がってしまいました。

そのエキシビションページをまず参考にしてもらいながら、Twitter写真界のみなさんも新たに撮ってもらったり、昔の写真を見返すことで手に入ったジャメヴな写真を応募してくださいと。

とにかく沢山の方々による協力のおかげで、わずか2週間の公募で587名の応募者による3388件もの写真投稿が集まりました!

2週間で、1700万人が目にした。

この公募終了後、有料サービスに依頼してハッシュタグ「#ジャメヴな瞬間」の各種データを割り出したところ、手応えのある結果が割り出せました。せっかくなので、それらをドドンとお見せしますね。

有料サービス・tweetbinderに依頼、ハッシュタグ「#ジャメヴな瞬間」のデータを割り出した

公募期間内で、リツイートを含めた本タグの投稿件数は6553件。そのうち、写真つきで投稿された件数が3388件でした。
この3388件を実質的な応募件数とみなす
ことにします。

こうして数字で振り返ることで、突発的に始めた企画としては大成功と言えるほど、沢山の応募をして頂けたんだなということが分かりました。

それもそのはず。potential impacts(潜在的影響力)、つまり今回のハッシュタグをTwitterのタイムライン上で目にした人の数が 1 7 0 0 万 弱 い た らしく。ヤバくないですか? この数。これを知って、にわかには信じられない規模で拡散されたんだなと認識しました。

今回のハッシュタグをTwitter上で目にした人数が 1700万弱。多すぎて意味不明

奇遇にも、私が暮らすここオランダの人口が約1700万人ですから、ざっと一国レベルの影響力があったということ。そう考えるとブキミです(笑)。

経済価値もハンパじゃなかった。

さらに驚かされたのが、このタグがもたらす経済価値なんてのも割り出されていたんですが、その額なんと…29,825ユーロ。日本円にして383万円!

「#ジャメヴな瞬間」タグの経済価値は驚きの29,825ユーロ

おそらくこれは、マーケティングの一環として、特定のハッシュタグを拡散させるために必要なコストに当たる金額を指すのだと思います。

今回の企画ではマーケティングに費用を投じていませんし、またこのプロジェクトの背景には出資者や広告主が存在しないため、純粋にこのハッシュタグの経済価値と見なすことができます。

写真を応募してくれた皆さんはもちろん、企画とキュレーションを担った私自身も、一銭たりとて受け取ることのないプロジェクトだったわけですが、対価が発生しないフリーコンテンツであるが故の底力を垣間見ることができたように思います。

動機がお金じゃないからこそ、盛り上がった。

例えばこれを、参加料や閲覧料を頂くだとか、なんらかの形で主催側や参加作家さんたちがお金をもらうシステムにしていたら、ここまで盛り上がることはなかったと思うんです。

金じゃねえ、面白いと思うからやってるんだ!ということで、お祭り騒ぎのようになっていったんじゃないかと。

私、かつてフリーマガジン「VICE」の編集を手掛けていたこともあり、フリーコンテンツの面白さと魅力はそれなりに知っているつもりでしたが、いやはや。今回の「#ジャメヴな瞬間」公募を通じて、初めてフリーコンテンツの核心をじかに確かめることができたと言えるかもしれません。

すっかり長くなってしまったので、今回はこのヘンで終えたいと思います。次の記事では「ジャメヴな瞬間な写真とは一体どんなものか?」という疑問を軸に、本題について触れていきたいと思います!


今回のエキシビションページをまだ観ていない方がいたら、ぜひ観てみて下さいね! きっと眼福な写真表現の数々を目撃するはずです。


ジャメヴの公式Twitterアカウントはこちら👆https://twitter.com/JamaisVu_Vision

最後まで読んで頂きありがとうございました。写真にまつわる話を書いています。楽しんで頂けましたらサポートしていただけると嬉しいです。