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美術館のレストラン

久々に両親と一緒に美術館に併設されたレストランに入った。たぶんここで食事をするのは数十年振りだ。

私は数十年前に食べた記憶のあるオムライスとアイスクリームを頼んだ。注文はタッチパネルになっていた。母よりもスマホデビューが遅かったはずの父が、得意げに画面を操作して注文をしてくれた。

テーブルに運ばれて来たオムライスに乗った卵は、とろとろの半熟系だった。私が子供のころに食べたのは、もっともっと素朴な、表面がするんとしているやつだった気がする。アイスクリームのほうはよく覚えていないけれど、こちらもたぶん、数十年前よりもおしゃれになっているのだろう。

ただの美術館の隣のただのレストランで食事をしているだけなのに、母が父の一眼レフカメラで写真を撮ろうと言い出した。注文がタッチパネルになったせいで、めったに客に声をかけられることもないであろう店員さんを呼び止めて、家族3人で写真を撮ってもらった。

時代が流れて、注文の仕方も料理も変わって、父も母も私も歳をとった。フレームの中に、ちぐはぐなものがたくさん詰め込まれたような写真になった。

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