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四次元ポケットとスマートフォン

街中で、スマートフォンのクレジットカード機能を利用している人を見かけた。画面の中にクレジットカードのデザインが表示されていて、お店で支払いをする際に機械にピピっとかざすのだ。

そういえば、最近は電車の改札でもICカードの代わりにスマートフォンをかざしている人がいる。昔の「ガラケー」に比べ、スマートフォンでは随分といろいろなことが出来るようになった。その機能の中心はもはや「電話」ではない。調べ物も、読書も、支払いも、健康管理だってできてしまう。

ひとつのものの中に色々な機能が凝縮されているという点で、スマートフォンとはもはや漫画『ドラえもん』でいうところの四次元ポケットだ。ポケットを身に着けてさえいれば、そこから色々なものを取り出して使うことができる。次から次へと画期的な道具を取り出すドラえもんの姿を見て、子供のころはどこか別の世界の話だと思っていたけれど、自分が生きているうちに同じようなことで出来るようになるなんて驚きである。

スマホという四次元ポケットを使って、電話をしようがメールをしようが闇を照らそうが、誰もドヤ顔なんてしない。私がぼーっと過ごしているうちに、この世の中は四次元ポケットが「普通」に流通する未来になってしまったのかもしれない。

けれど私は、まだクレジットカードも交通系ICカードも、スマホに移行させていない。本だって、相当急いでいない限り電子書籍ではなく書店で紙の本を買う。何となく、まだまだ「実態」のあるものを感じていたい。ひとところに機能がギュッと凝縮された便利さよりも、財布を開けて探す感覚とか手に持ってめくる感覚とかを大事にしていたいのだ。

それに、ある程度分散して持っておかないと、スマホを家に忘れた際に恐ろしいことになる。私は「実態」を感じるため、そしてスマートフォンを「ただ一本の命綱」にするのを避けるため、しばらくは機能の一体化に対して慎重になろうと思う。

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