Post-it! 気になる一曲 『インヴェンション第15番 BWV786 ロ短調』

ヨハン・セバスチャン・バッハ/作曲


昨年1月から数十年ぶりに再開したピアノレッスン。バッハが好きなので、何はともあれインヴェンションからということで、月に一度のレッスンを続けてきた。そのインヴェンションもいよいよ最終曲の15番まできた。

以下、素人である私がこの曲に抱く勝手なイメージなのであしからず…。
孤独な兵士がとぼとぼと歩いているような左手のフレーズに導かれ、もう一人の兵士がやって来る。二人はお互い孤独だが、どうやら同じ場所を目指して歩いているようだ。足どりは軽くないが、決して重苦しくはない。目的地に向かい、淡々と粛々と歩みを進める。
第8小節と第15小節途中からの左手の動きが面白い。どのように弾いたらいいのか悩むが、例えば次々と現れる水溜まりを避けて推進していくイメージか。躍動感があるので、ついスタッカートで弾きたくなるが、元気な行進曲ではないので、決して跳ねないように。アンドラーシュ・シフは上行形と下行形でレガート・ノンレガートを使い分けているようだ。
そして「ロ短調」といえばやはり『ロ短調ミサ』を思い浮かべる。

名作は多様な解釈を赦すというが、まさにインヴェンションもそうだろう。原典版にはテンポ、アーティキュレーション、強弱などの指示が全くないのだからなおさらだ。何度弾いても飽きないし、新たな発見があるのがインヴェンションだ。弾けば弾くほど最初には見えていなかった良さ、面白さを感じている。本当にバッハは底知れない。
これからシンフォニアに入っていくが、ニ声でも難しいのに、三声がまともに弾ける気がしない。しかし再度、ニ声を順に振り返りながら、シンフォニアを弾いていこうと思う。