イングリッド・フェデル・リー著『Joyful 感性を磨く本』〜初めてマルが描けた日〜
色や形、デザインは、人間の心情や行動にどれだけ大きな影響があるかーー。
イングリッド・フェデル・リー著『Joyful 感性を磨く本』には、それらについて、様々な例を引いて書いてあります。
例えば、ソ連崩壊後のアルバニアの首都ティラナは、十数年に渡る独裁政治と、共産党崩壊後の混乱で汚職と組織犯罪の温床だったそうです。街角にはすりや売春婦がたむろし、ゴミが通りに積み上がっていた。
そんなある日、街の歴史的建造物の壁が、突然鮮やかなオレンジ色に塗り替えられたんだそうです。
市民はあっけに取られて見ていましたが、その後次々と、あらゆる建造物の壁がオレンジ色や赤、黄色などに変わっていきました。
そのうち、ゴミのポイ捨てが減り、税金が支払われるなど、徐々に変化が起こりはじめました。そして5年後には企業数は3倍、税収は6倍にも上ったそうです。
明るい色彩が、喜びや幸福感を生み、街の治安にまで影響を与えるという一例ですが、本書にはこういうワクワクするようなエピソードがたくさん描かれています。
マルが描けた時
『Joyful』を読んでいて、長女の幼い頃のことを思い出しました。
長女はお絵かきが大好きで、ようやく座れるようになったような時期から、マジックやクレヨンを握っては、何やら紙に描いて遊んでました。
1歳前後だったと思うのですが、ある朝、日の出前のまだ薄暗い時間にムクッと起きて「絵を描きたいから、机のところに行こう」と、私を引っ張って行きました(まだ喋れなかったので、カタコトと身振りで)。
背丈が追いついていなかったので、膝の上に乗せて、机に向かわせると、いつものように勢いよく何枚か描き殴った後、急にマルを描き始めました。
人生初の「マル」です。
「お!マルだね!マルかけたね!」
というと、めちゃくちゃ嬉しそう。
その後、何枚も何枚もマルを描いては、腹の底から嬉しそうに笑うんです。
おそらくそのまま2時間くらい描き続けたんじゃないでしょうか。
描き終えた時には、完全に夜が明けて、朝日が眩しく差し込んでいました。
形が喜びを生み出す
長女が人生初のマルを描いた日のことは、ずっと忘れられませんでした。
マルを描くという行為だけで、なぜあんなに喜んだんだろう。
不思議でしたし、新鮮でもありました。
それが『Joyful』を読んで、アァ、そう言うことだったのか、と附に落ちたのです。
丸や球体という形そのものが、喜びを呼ぶーー。
『Joyful』にはそう書いてありました。
あの時の長女のめちゃくちゃ嬉しそうな様子。
マルを描くのが嬉しくて仕方がない、という喜びが全身から迸り出ているようでした。
まずは喜びの環境づくり
よく物事は気の持ちようだ、とか、大切なのは内面だとか言いますよね。
それは全くその通りだと思ってきたし、今も思っているけれど、自分を元気にしたければ、周りのものや環境をちょっと変える。明るい色とか、丸い形に助けてもらった方が、テンションは上がりやすいんだなと思いました。
最近は、オフィスの壁の色をターコイズブルーにしてみようかとか、廊下に絵を飾ってみようか、とか思い始めています。
そんなことを考えている暇があるなら、資金繰りのことを心配した方が良さそうなものなのですが(苦笑)。
壁の色とか、絵を飾ろうとか考えているだけで、もうワクワクしてくることに気がつきました。となると、気分が上がって、結果仕事の効率も良くなるに違いない。
まずは喜べる空間を作って、自分を上げておいてから、資金繰りを考えた方が、新しいアイディアも生まれるかもしれません(笑)
やっぱり人生にあそびは必須ですね(笑)
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