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文化、アートについて

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文化やアートなどについて、ふと思いついたことをまとめています。
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記事一覧

『よい』という感覚は何処から来るのか

年に1度、ピアノの調律をお願いしている。 調律師のO先生は、毎回飽くなき技術の追求をされて…

榎田智子
1か月前
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読後感想 多和田葉子『尼僧とキューピッドの弓』

多和田葉子があまりに面白くて、『エクソフォニー』から『地球にちりばめられて』『星に仄めか…

榎田智子
3か月前
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ズレが生む創造性

多和田葉子を勧めてくれたのは写真家のIさんだった。 Iさんの車に乗せていってもらい、仕事で…

榎田智子
5か月前
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横浜の老舗映画館で『福田村事件』を観る

最近思うところがあって、ひとつ生活を変えてみようと色々試みている。 ジワジワと居住いを変…

榎田智子
7か月前
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お土産文化から「もの言わぬ」を考える

2019年から、オーストラリアで留学している長女。 コロナ禍を経て、ようやく遊びに行けること…

榎田智子
10か月前
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人の還る場所は森

この前、愛媛県の久万高原にある「由良野の森」に行ってきました。 現在、資源・環境・文明ジ…

榎田智子
10か月前
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読後感想 カズオ・イシグロ著「わたしたちが孤児だったころ」

私たちは人生の中で頻繁に、理不尽さや憤りを感じる。 そして、それを心に留めながら、日常生活に戻って行ったり、ブチ切れて今の生活を壊してみたり、いつの間にか記憶が薄れるのに任せて、騙し騙し生活していったりする。 人はとかく白か黒か、左か右か、上か下か、都会か田舎か、環境保全か高度成長か、と2つの相反する選択肢を用意しがちだ。 そして、どっちが正義なのか、どっちが好きか、どっちが趣味がいいかと、どちらかの選択をすべく、自分で自分を追い込んでいく。 私も長い間、そういった攻防

「思考」と「移動」の関係

「榎田さんって、ゆっくり読書するようなお気に入りのカフェとかあるんですか?」と聞かれた。…

榎田智子
1年前
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「伝わる」は言葉ではなく「感覚」から

2002年から10年程、横浜を中心に学生映画祭を主催していたことがあります。日中韓から学生の卒…

榎田智子
1年前
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ロバート・プラント/アリソン・クラウス 『レイジング・サンド』

かれこれ20年ぶりに、大学時代の友人と会いました。なんでも勤続30年とのことで、特別休暇をも…

榎田智子
1年前
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教養を身につけるヒント

この前、音楽にまつわる学生時代の話を掲載しましたが、 その後ふと感じたことがあったので、…

榎田智子
1年前
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音楽遍歴と「偶然」の価値

80年代半ば。 まだインターネットのなかった時代。 音楽の情報源は、友人か雑誌かラジオでした…

榎田智子
1年前
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記憶の引き出しを開ける鍵

祖父は私が3歳の夏に亡くなった。なので祖父の記憶は殆どない。 保育園が嫌いだった私を、祖…

榎田智子
1年前
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永劫回帰と思い込みの力

「自分は仕事もバリバリ頑張ってきたし、それなりにやりたいことをやってきた。子どもたちも巣立っていったし、いろいろな意味で余裕がある。これからは、次世代を育てることに集中しようと思う」 こういった言葉を最近、50代以降の方からよく聞きます。 立派な考えだと思います。 そして、私も大いに賛同したいと思うのです。 しかし、どこかでちょっと引っかかってきました。 もちろん、次世代を育てることってものすごく重要です。 けれど、それは、それなりに歳をとって「余裕ができたから」やること