ゴブリン後日談
このnoteの「パーツアート」というシリーズ(マガジンというらしい)では、私のパーツの絵を載せています。
パーツとは、内的家族システム(IFS)でいう副人格のことです。
IFSについてここでは詳しくは書きませんが(申し訳ありません)、こちらやこちらで紹介しています。
(IFSの翻訳本がいよいよ出版される予定です!こちら)
先日、私の内なるゴブリンという記事を書きました。
ゴブリンと名付けた追放されたパーツ(以下ゴブちゃんと書きます)の絵を描くことで、ゴブちゃんの感情に大人の私がつながることができました。
(今までも散々パーツワークはやってきましたが、特に対話をすることなしにシンプルに絵を描くだけで感情の解放が起きたのはこの時が初めてでした)
IFSでは、パーツに気づき、パーツと仲良くなり、そのパーツが持っている重荷(トラウマ的な体験によって背負ってしまったネガティブな感情や思い込みや身体感覚など)を手放すということをしていきます。
ゴブちゃんが感情を表現できたのは良いことだけれど、それだけではまだゴブちゃんが持っている重荷を手放すには至っていません。
なのでその後、ゴブちゃんとさらに対話を深めて、重荷を下ろす手伝いをしようと思ったのですが、そうしようとすると、ゴブちゃんに対して、何故か思いやりや親しみ、温かみの気持ちを持って向き合うことができませんでした。
(ゴブちゃんの気持ちが初めてよく理解でき、あんなに泣いたのにも関わらず・・・)
IFSでパーツと対話して、重荷を下ろしていく時、クライエント(この場合は、自分自身でワークしていたので、私自身)が「Self(セルフ)」である事が重要です。
なので、私がゴブちゃんに思いやりや温かみを持って向き合えないということは、セルフとしての私に何かしらのパーツがブレンド(同一化)しているということで、それでは重荷を下ろすということは起こりません(起こらないというのは言い過ぎかもしれませんが、起こりにくい)。
内側を見ていくと、ゴブちゃんの周囲には他にも追放されたパーツが沢山いるようで、私を責めてくるパーツもいました。
責められて困っている自分(のパーツ)がいるな、と気づき、よく見てみると、いました、いました。
こんなパーツが、無意識下で私にブレンドしていました。
それは、こんなイメージの内なる軍曹でした。
うわあああ・・・
(頭を抱える)
この軍曹パーツは、ゴブちゃんや他の多くの子どもパーツたちに対して、愛や温かみや注目を求めること、自己主張すること、(ポジディブ・ネガティブに関わらず)感情を感じることなどを禁止し、つらく当たり、追放していました。
道理で、この軍曹パーツにブレンドしていては、ゴブちゃんに思いやりが持てないわけです・・・。
軍曹さんの存在に気付いた私は、深いため息をつきました。
それは、それまで無意識に彼とブレンドした私がゴブちゃんを追放してきたということへの残念さと、軍曹さんがその役割を背負わざるを得なかったほど、子どもの頃の私が置かれていた環境がいかに(情緒的に)劣悪なものであったかが、改めて理解できたからです(日常を送る大人の私には、その頃の顕在記憶はありません)。
そして、軍曹さんが今までやってきてくれた仕事がいかに大変なものであったかということにも、心が痛みました。
嫌な役割を負うどのパーツもそうなのですが、軍曹さんは、したくてその役割をするようになったのではなく、やらざるを得なかったのです。
軍曹さんは、ゴブちゃんをはじめとする純粋な子どもパーツたちを罰することで、心底必要なものを求めても求めても得られないことで繰り返し傷つくということから、子どもたちを守っていたのです。
写真は、映画「フルメタルジャケット」に出てくるハートマン軍曹です(ネットよりお借りしました)。
「軍曹」で画像検索したら、この人の写真が出てきたのですが、この人は映画の中で、兵士たちに暴言を吐いてこき下ろし、感情のない戦闘マシーンに仕立て上げる、という人でした。
映画の中のハートマン軍曹の有名な台詞が、「笑ったり泣いたりできなくしてやる!」だそうです。
まさに、私の軍曹パーツさんにぴったりすぎて、鳥肌が立ちました。
(パーツワークしているとこういうことがよく起こります。右脳の不思議よ・・・)
IFSではシステム思考を取り入れていますが、パーツを理解するうえで、システム思考はとても重要です。
ゴブちゃんがあんな姿になるほど傷ついてしまったのは、子どもの頃に必要な愛情やケアを受け取ることができなかったからだけではないのです。
ゴブちゃんはさらに、私の心の中で、軍曹パーツ(言い換えると、それに乗っ取られた私自身)から、何十年も追放されていたのです(よかれとはいえ)。
つまり、二重の傷つきを抱えていたわけです。
そりゃあ、ゴブリンみたいになっちゃうよね・・・orz。
ちなみに、大抵のエグザイル(追放されたパーツ)はこのように、実際に起きた出来事のみならず、さらに心の中で他の防衛パーツから追放されるという、二重の傷つきを背負います。
そんなエグザイルであるゴブちゃんを理解したり、助けるためには、ゴブちゃんに関係する他のパーツについて知る必要があります。
ゴブちゃんの重荷を下ろすにあたってはゴブちゃんを守っている軍曹さんの許可が必要ですし、おそらく軍曹さん自体も重荷を抱えていて、それを下ろしてあげる必要があるでしょう。
軍曹さんを非難する別のパーツもいるはずです。
このように、私たちの心をシステムとして理解し、働きかけることができるのがIFSの強みの一つなのです。
ちなみに今のゴブちゃんの姿はこんな感じです。
(イラストはFacebookメッセンジャーのスタンプよりお借りしました)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?