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1990年代から今までの私

 1990年代の初め頃に自分のホームページをふたつ作った。ひとつはドラマレビューのサイトで、もうひとつは好きな俳優の、今でいうWikiみたいなページ。どこかの無料レンタルサーバーを借り、Wordでページを書いてアップロードした。正式にはもっと違うやり方があったのかもしれないが、当時の私にはそれが精一杯だった。それでも少しづつページが増え、ハイパーリンクを使って自分のサイトを渡り歩けるだけで大満足だった。ネット上の自分の部屋が少しづつ増設されていくのが本当に楽しかったのだ。ちなみに私はITに詳しくない。本気で勉強が足りなかっただけかもしれないが、その証拠に私はエンジニアになれていない。けれどその頃のインターネットは私レベルでも十分手が届く存在だった気がする。

 思ったより簡単と書いたけど、書いたものをアップロードするまでは結構時間がかかった。サーバーって何?のど素人が、ネットを漁って「ホームページ制作」のための情報を集め、傍でページづくりのために、また情報を集めた。2ちゃんねるも使った。いわゆるヲタクな人たちは惜しげもなくその手段や情報を提供してくれていた。今は有益な情報を得ようとすればお金がかかる。それでも探せば多くの情報が今でもネットにはあり、私の足りない脳みそを埋めてくれている。身体拡張、私は足りない脳みそをインターネットで埋めて生きてきたのだ。もちろん当時のヲタクの皆さんにもかなり感謝している。

 当時の私は結婚したばかりで、小さな出版社の事務をしていた。高卒で就職した会社は不動産業だったが、結婚を機に退職(させられた)いわゆる寿退社。その後、子供ができて仕事を辞めるまでの4年間は仕事を続けた。子供を産んで専業主婦になったのは28歳の時だった。当時にしては遅め。親には一体いつになったら子供を産むのか?とよく言われたものだ。子供ができないのは「不妊」に違いないから病院へ行ったほうがいいと忠告してくれる人もいた。

時代は変わる。私の娘は今年27歳になるが、未だ独身継続中。

 その頃にはyahooをはじめ多くの無料ブログを簡単に開設することができるようになっていた。テンプレートも豊富で何より簡単に更新できた。急に自分の作ったサイトが古めかしく思え、サイトを閉鎖して新たなサイトに部屋を移した。今思うとそれは失敗だった。いろんな意味で。黒電話も昔のPCもガラケーもスマホも、できればとっておいた方がいい。いつか消滅してしまうに違いないが、せめて自分が消滅するまでは置いてあげればいいじゃないかと思うのだ。

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 考えてみると、20代から今に至るまで、私はずっとインターネットの世界に触れている。今の人は生まれた時から当たり前にあるけれど、今誰もがその手の中に持つスマートフォンは私たち子供時代の夢の道具だった。
「未来では、電話を持って歩く」
短いコードに繋がれて玄関先にあった黒電話の子供時代から、目まぐるしい時代の変化と共に生きてきた。40年後の今、私は電話を持ち歩いて生きている。いや、それ以上のものだ。今の贅沢を手にすることができた事を私は幸運だと思っている。

 私はいわゆるバブル世代に属し、同時に「新人類」と言われ先輩世代からは呆れられた世代だ。今は若い世代から疎まれる存在かもしれない。いつも誰かに呆れられて疎まれてる気がするが、気にしない。
確かに就職先はたくさんあり、社会保険は今よりずっと安く、預金金利も消費行動も高かった。ただ当時の私はまだ社会に出たばかりで資産もなく、大きな恩恵を受けたわけでもない。せっかく就職した会社は寿退社という名の首切りをされたし、育児は今でいう「完全ワンオペ」だ。出産は病気などではなく、家事も育児も女の仕事が常識だった。多くの女性はみんなそうだ。逆にそうでなければ企業が抱える人件費はどんなことになったんだろう?男性の給与が右肩上がりになんてならなかったかもしれない。ちなみに夫は大手企業をあっけなく退職してフリーランスになったので右肩上がりの企業の恩恵も見事に吹っ飛んだ。それでも案外呑気に生きてこれたのはバブルの空気を吸ったから?かもしれない。これもバブルの恩恵か。
 金銭的な恩恵といえば、上司が連れて行ってくれる高級店で食事ができ、帰りにタクシーチケットを手渡され、海外旅行のお土産にブランド品の口紅や香水をもらったりしたぐらい。個人的に「社会とはそういうもんだ」と勘違いした年月だったと今は思う。

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 話を戻す。初めて手にしたPCは富士通FLVのノートパソコンだった。フロッピーディスクとMDとCDが入る。これは捨てずに置いてあるがとにかく重く、片手で持つのは辛い。電源を入れてみたけどうんともすんともない。今思えば電話回線はとんでもなく長く重く面倒臭かったし、ダウンロードに数時間を要した。メールソフトに「ポストペット」(今でもあることを知る)を入れて高校時代の友人とメール通信をした。限りなく文通に近いのにめちゃくちゃ楽しかった。YouTubeはflvという形式のちっさい動画で、PCに落とすと荒くぼやけた質素な画質だった。でも私の世界はここから広がったのだ。
 そして数日前、ついに銀座のアップルショップでMAC Book Airを購入した。スマホはずっとiphoneを使っているけどPCをMacにしたのはこれが初めて。長くWindows民で、勉強し直すのを億劫に思っていた。Windowsの対応キーを覚えたらなんとかなる気がしてきた。キーボードが使いやすい。そして文字入力の精度がとても良いのに驚いた。今のところすこぶる快適にnoteを更新しています。また新しい場所にいける気がして今とても嬉しい。


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