場面緘黙症の娘のこと
うちの三女は、個性に溢れている。
先日、場面緘黙症と不安症との診断が出た。
それに加え、聴覚過敏や適応障害などもある。
まず、聴覚過敏がわかったのは、小学校に入学してわりとすぐ、「うるさくて教室に入れん」と訴えだしたのがきっかけだった。
少しの音でも、娘には騒音となり、賑やかだったり、ガチャガチャした雰囲気の中では落ち着いて過ごせない。
聴覚からの情報には弱く、理解力が低いことがわかったが、それを補うかのように視覚が研ぎ澄まされている。
怖いくらいに人の顔や場所を覚えていたり、絵を見ながら描くと、重ねて描いたんじゃないかと思うくらい上手に描く。
何よりビックリするのは、今ハマっているK-pop。数分見るだけで覚えて踊っている。
視覚云々の前に、リズム音痴な私には、到底理解出来ない。
「見たら覚える!一緒に見て!」と誘われ、拝見すること数分。何一つ覚えることが出来ず、停止している母をよそ目に娘は次々と踊り続ける。
しかし。
踊り狂う娘は、レアな姿だ。家で家族の前でしか踊ることはない。
娘の声を聞けるのも、実は貴重だ。緘黙症の症状で、外に出ると声を出すことが出来なくなる。
(うちの娘の場合は、状況によるものの、外でも特定の友達となら話すことができる)
3年生頃から、緘黙が少し出始めたものの、学校の理解もあり、都度対応してもらいながら支援学級で、ゆっくりと娘のペースで登校してきた。
しかし、今年5年生になってすぐの春の遠足に参加をした後から一気に状況が変わる。
緘黙症は、見た目からは、なかなか理解してもらえない。
そして何よりも、緘黙症を知らない人が大半だ。
普通に話しかけられ、普通に返事を求められる。
それに対し、本人は返事をしなければ。声を出さなければ。と思えば思う程、ストレスがかかる。
そのことは本人も理解しているものの、全校での遠足となると、かなりのストレスがかかってしまい、からだも動かなくなってしまったようで、それから毎晩泣き出すようになった。
学校の前を通ったり、思い出すだけでも嫌だと言うようになり、それがしばらく続いた。
4年生の三学期頃から、ちょこちょこと少人数制の小学校や、フリースクールなどを調べたり、見学に行っていたものの、やはり今までの友達と過ごしたい気持ちから、転校はしたくないと言っていた娘が、「もう転校したい」と言い始めた。
すでに、場面緘黙症のことは調べて知ってはいたものの、診断をつけることを必要だと考えておらず、2年生のときに発達検査をした後は、学校と病院と私たち両親とで行うケース会以外では、病院には罹っていなかった。
しかし今回の件で、これからは周りに理解してもらう為にも、何より本人が自己理解をし、自分らしくいられるようにする為にも、診断が必要なのではと思い始めた。病院への拒否が強かった為、娘が少しでも行きやすい病院に転院させてもらい、改めて受診することを娘と決めた。
そして、やはり場面緘黙症と不安症という診断が出た。
でも、未来に対する不安は全くなく、きちんと診断が出たことで、娘は新しいステージにいく決心をすることになった。
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