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2018-2023 アート表現の軸

僕は学生時代にN.Yの大学でイラストレーションを専攻していた。プロのイラストレーターは通常一つのスタイルがあってそのスタイルをクライエントが求めて仕事が成立する。学生の頃からスタイルを決めても2-3年で飽きられるだろうと思ったので学生時代は課題毎に新しいスタイルに挑戦していた。それは僕にとって自然な表現で学生の頃の成績は普通に良かったが卒業してからはバラバラなスタイルでイラストレーターとしては直ぐに仕事は来なかった。毎回仕事をする度にスタイルを変えれるならとデザインを仕事にしてみたら意外と自分にあっていて今でも20年程続いている。

40代になって改めてアートワークを始めたが、やりたい事としては学生の頃の延長で常に変化する事だった。コンセプトやテーマは大事だが、そのコンセプトに自分が縛られるのが嫌であえてあまり言語化をして来なかった。僕はまずどうやったら変化し続けられるか作品を作り続けて、気づいたら5年程立っていた。スタイルはバラバラだがそこに何かしら共通の考え方がある物を感じてきたので今回言語化をしてみる事にした。

今迄20年程デザインをやってきて学生の頃からアートに影響されていたとはいっても自分が感じるアート表現が出来るまでに3-4年かかった。デザインはアナウンサーみたいな職業でビジュアルを言葉の様に的確に伝える仕事だがアートはお笑いや歌手の様な世界で感情を揺さぶる物だ。言葉で考えてロジカルに考えたり技術的に考えれば考える程、感情がついていかなくなっていた。N.Y.で見たアブストラクトエクスプレッショニズムやピカソの絵をずっと眺めていた衝撃やクラブで朝まで踊り続けたようなエネルギーは自分の身体の感覚で記憶されていてその様な感動を自分の作品の中に表現したかったんだと思う。

Nature+Emotion 10

最初は瞑想からインスピレーションを得て瞑想の感覚を様々な自然の要素を使ってコラージュしてNature&Emotionとゆう作品を作った。デザインでは一瞬に人に伝わるようになるべく一つの要素に絞ってレイアウトを構成していくが、このコラージュでは最初のうちは要素を3-5ぐらいのイメージを使用するルールを決めた。そうする事でそれぞれの要素が絡み合うようなカオスなストーリーが出来たり客観的な視点が得られるからだ。又、デザインの様に頭で考え過ぎない様に作業は即興でやる事にした。このルールを決めることで作品が勝手に1人で歩いていくような感覚が掴めてきて自分でも想像していなかった様な作品がどんどん出来る様になってきた。今迄自分を出そうと思って苦しんで来たのに自分が無くなった方が自分には合っていた様だ。デザインでもクライエントの出会いから生まれる発想とかには楽しい部分で、アートワークになると一枚のイメージから新しい発想やストーリーがが生まれてくる部分から感動が始まる。


Mind’s Mirror 1

瞑想する感覚を自然で表現する続編でマインズミラーとゆう作品はパリの展示会に向けて少しファッショナブルな世界観を出したいと思い、印刷方法から逆算してホログラム箔を使用する想定から考えた作品です。仏教では人が亡くなることを「四大分離」と言い、人の体もまた「地水火風」から出来ていると考える。その「地水火風」の要素を混ぜ合わせてホログラムで表現することで自分の心を見るような瞑想表現をできるのではないかと考えたのがこの作品です。自然の波紋やパターンには自然と人の気持ちを癒すような効果を感じたのでホログラムで表現することでその効果は更に際立つかと思いました。瞑想からインスピレーションを得ていますが、静けさより違う要素がぶつかり合ったり混じり合う事で動きがある画面が僕の表現には納得がいくようでその様な感覚はクラブでのダンスカルチャーからの影響がきている様にも思えます。


Vibe+Emotion 1

自然の物も少し飽きてきた頃、昔の建物の何回も塗られて剥がれた壁をずっと眺めていた時に何かストーリー性を感じたのをきっかけに壁のイメージから何か出来ないかと思い壁とビンテージのイラストレーションを組み合わせてVibe&Emotionとゆう作品を作ってみました。最初は壁からインスピレーションを得たが、やっていくうちに水や木などいろいろな素材から固有のバイブスやリズムを感じてヴィンテージ素材を組み合わせる事で自分でも今迄見た事がないけど何か懐かしい様なイメージを楽しんでいました。ヴィンテージ素材がグラフィック的な要素があるのでデザインワークに見えるかもしれませんがコンセプトではなく物のバイブスやリズムを感じながら作るプロセスが違うので表現の幅がコンセプトワークより広くなる感じがします。逆に言うとアートワークはデザイン仕事の筋トレみたいな感覚があってアートワークをする事で視野が広くなるのでデザインの仕事にも役立っているような気がします。


HaikuGraphic 31

今迄作ってきた作品の中でイメージのバイブスを感じて色々な物を組み合わせるとゆう作業をしてきましたがこれをデザイナー的な技術がなくても一般の人も出来るのではないかと思った発想でやってみたのがHaikuGraphicとゆう作品です。これは2~4枚ほどの調和する様なバイブスの写真を組み合わせてストーリーや何か違う世界を作ります。イメージを左脳で考えるのでは無く右脳で感じる作業はコンピューターやパワポがあれば誰もが出来る事で作業時間もそんなに時間がかからないのでアートに抵抗がある人にも出来ると思いました。仕事から帰ってからの空き時間とかでも出来るので興味がある人はやってみて下さい。このイメージに文章も付けたかったのでChatGptに文章を書かせてみたのですが、オチやストーリーが綺麗に終わる傾向があって面白くなかったので様々な文章をコラージュする事で自分なりの面白さを見つける事ができました。例えばビート時代の詩人のジャック・ケルアックやウィリアム・バロウズが瞑想の俳句を書いてと打ち込みその俳句を更にコラージュして文章を作る事をやってみました。今迄文章は書けないと思っていましたがChatGptで出てくる文章で詩を編集する作業で自分の思いが文章化出来たのは新鮮な体験でした。


それぞれの作品を振り返ってみて共通した部分は、左脳で考える事を止めて右脳で物事を感じる様にすると全ての物やイメージにはバイブス、音、周波数みたいな物があってそのバイブスを調和させる事で異物の物が混ざり合い調和する事で新しい世界が生まれる。僕の作品作りの感動とは何か新しい発見がある事なのでこれからも新しい発見を探せるような旅をしていきたいと思います。このテーマはこれからも自分が変わり続ける事が出来そうで新しい作品も作っていけそうなので言語化しても良いのかなと思いました。

改めてここで紹介しているざっくりと5年分の作品を振り返ってみるとビジュアル的にみるとアート表現からデザイン的な表現に近くなってきている感じがしますが今でも昔の様なカオスな世界も作っています。それと並行してクライエントワークの左脳的な作業もこなしています。僕の純粋な欲求としてはただ自分の表現の幅を広げたいだけなのかもしれません。

Beat+Emotion 27


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