「熊野けいおん部」というご縁

さて、昨年を振り返る企画を書こうと言いつつ、あっというまに時間が過ぎてとうとう旧暦の新年まで開けてしまった。ので、いい加減振り返ってばかりでなく先に進みたいのだが、いちおう言い出したからからには最後まで書き終えたいので書いてみる💦。

熊野けいおん部ができるまで

本州最南端の和歌山県は串本町に、田並劇場という古風な劇場がある。
現代美術家でもあるオーナー夫妻が廃屋同然の古い木造の劇場を4年かけて修復し、再建した建物である。

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ここを拠点に、月に一度思い思いの楽器を持ち寄って集まっては、日がな一日音を出して遊んでいる連中がいる。
それが熊野けいおん部だ。

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ここ田並劇場で月に一度集まって音出しをするようになって、かれこれ1年半ほどになるが、こんな風に皆で集まって音出しをする様になってほぼ3年だ。

きっかけは、2018年の初めに行った「トモキチと遊んでください」というちょっとふざけたタイトルのイベントだった。

トモキチと遊んで

その名の通り僕と一緒に音を出して遊んでくれる人を募り、一緒にセッションをするというライブのような遊びのようなイベントだったが、この時集まってくれた方たちと”こんな感じで毎月集まったらいいじゃん”、”まるで部活の練習みたいだね”という話の流れから、とりあえず「熊野けいおん部(仮)」というタイトルに代えて(ほぼ)月一ペースでセッションイベントをするようになったのだった。

2019年の7月頃から現在の田並劇場を拠点にするようになり、2020年にはタイトルから(仮)を外して今の「熊野けいおん部」と呼ぶようになり現在に至る。

熊野けいおん部って何してる?

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「熊野けいおん部」は、もともとメンバーというのは決まっていなくて、誰でも好きな時に参加していいよ、というスタンスで始まった。
ここに集まっている皆は、得意な楽器はおろか好きな音楽もジャンルも違い、音楽的素養はばらばら。
音楽のジャンルや方向性も決まったものはなく、ただその時集まった人たちの雰囲気で”なるがまま”に奏でている。
そんな連中が、毎月集まっては日がな一日即興的なセッションを繰り返しているのである。

こんな風に書くと、ただだらだらと無目的に遊んでいるだけのように聞こえるかもしれないけれど(確かにその通りなのだが💦)、むしろこの”無目的に遊ぶ”ということこそ、とても創造的で貴重で贅沢で大切な時間なのではないか、ということを感じているのです。

たぶん、人が繋がったり共感しあったりするのに、特別な理由も目標も必要ではなく、もともとそういうふうに生まれ持っているんじゃないだろうか。
それを無理に型にはめようするから、ギクシャクしてしまう事ってないだろうか。

それに、一見無目的に見えて、ここに集まる一人一人の胸の内には、何かしらの目的意識のようなものがあるからこそ、こうして毎回集まっているのだということがだんだん分かってくる。
だから、何も起こらない、何も生まれないということは逆にありえない事なのかもしれない。

とにかく、気がつけば音楽がそこにある。

”音楽に国境はない”、という時に使われる音楽というのは、つまりこういう事なんじゃないだろうか。

熊野けいおん部2020年ダイジェスト

2020年に行った熊野けいおん部の活動を、ざっくり振り返ってみる。

3月フィボナッチ数列リズム・ワークショップ
フィボナッチ数列を使ったポリリズムを、自作の竹楽器を使って体験してみるワークショップを行いました。

8月熊野けいおん部の夏休み
たまには外に行ってみよう、というわけで夏休みに田並劇場を飛び出し、近くの海や川へけいおん部のみんなで繰り出しました。

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9月 フェイ・ターンさん片山トミオさん参上
テルミン奏者フェイさんと、アナログシンセの達人トミオさんご夫妻が遊びに来てくれました。演奏の後はみんなで手作りカレーを堪能。

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10月大阪周(amane)にて出張ライブ出演
フェイターンさんのお誘いで大阪でのライブイベントに参加。けいおん部初の県外出張〜!

10月くまのじかるた のおと プロジェクトに楽曲提供
イラストレーターAsae氏による熊野の風土を題材にしたオリジナルかるた「くまのじかるた」の絵札のイメージに合わせた曲をつくるプロジェクトに何曲か提供させていただきました。

11月 死者の日ソン・ハローチョライブ
メキシコの死者の日イベントに因んで田並劇場でも死者の日イベントを開催。サトさんによるメキシコ伝統音楽のライブに参加しました。

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11月 熊野けいおん部 with 渡辺てつ and 龍神茶芸/syu
サックス奏者渡辺てつさんとそのお仲間と一緒に音遊びライブを行いました。

12月 音遊び『大海原のソングライン』上映会後の完全即興セッション
2020年最後の音遊びの様子。

今年の熊野けいおん部は?

「トモキチと遊んでください」などという、ごく個人的な思いつきから始まった小さなイベントが、まさかこんな風に人の和が広がるなんて、思いがけず嬉しいことが起きている。近頃では演奏の後はみんなで鍋やカレー囲んだり、まるで小さな家族のような大切な関係に育ってきていることを感じている。
素敵な仲間たちと、マイペースに奏で合ういる幸せ。

さてさて、今年の熊野けいおん部の抱負だが、
きっと、やっぱり相変わらずマイペースに”音遊び”しているんだろう。

でも、ちょっと目標にしたいことがあるとしたら、今後は奏でている自分たちだけでなく、劇場に足を運んでくださる御客様と、もっと一緒に楽しめる様な形にしていきたいな、と、ちょっとだけ能動的に動いてみようかと思っているところ。

まぁ心配しなくてもみんなの願う方向へ、物事は動いていくものだ。
そのうちまた新たな奇跡が起こるんだろう。

とにかく、今は次の音遊びの日が楽しみ。
これからの熊野けいおん部をどうぞよろしく。


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