表面的なリサーチから抜け出すための「センスメイキング」
ユーザーインタビューを実施する際に「それっぽい回答を誘導してしまったな…」という反省をしたことがある人は多いのではないでしょうか。
自分もよく反省しています…
最近も。
マーケティングの仕事で実施するインタビューは、裏付けとなるエビデンスを得たいという目的があります。
つまり、質問からこんな答えが出てきたら嬉しい!!!という思惑があるわけです。
自然と誘導質問をしてしまうんですよね。誘導質問はNGだと頭ではわかっていても。
情報武装するためだけの表面的なリサーチから抜け出すために
答え合わせをするだけのユーザーインタビューや、わかりやすい材料だけを集めて意思決定してしまう状態から抜け出さないと…と考える中で、改めて「センスメイキング」を読み直しています。
データに依存せず、哲学や人類学などの知・フレームワークを活用するコンサルティングファーム「レッド・アソシエイツ」の創業者であるクリスチャン・マスビアウの著書です。
本質的に人間・文化理解を進めるアプローチは、自分自身が目標とするコンサルティング会社でもあります。
(次回にデンマークを訪れた時は、ぜひ訪問したい…)
センスメイキングの話に入る前に、レッド・アソシエイツの市場・文化と向き合うプロセスを紹介します。
「なぜ子どもは遊ぶのか」。本質的な問いと向き合う
自分が好きなのは、レゴブロックで有名なレゴ社を再生させたエピソードです。
こちらのNewsPicksの記事に詳細は書かれています。
当時、業績が低迷していた中で、デジタルのゲームに手を出し初めていたレゴ社。
・デジタル市場が成長している
・デジタル主導になり子供たちは注意欠陥の傾向にある
といったデータを踏まえて
・レゴブロックではなくビデオゲームも開発しよう
・競合であるデジタルプロダクトに対抗した簡易的なレゴを開発しよう
といった意思決定が取られていたようです。
ここで、レッド・アソシエイツがとったのは、「実際に子どもたちが遊んでいる様子を観察する文化人類学アプローチ」でした。
観察から導き出されたのは、
・子どもには指先を動かして、複雑なモノを作りたいという要望があり、レゴブロックへの関心もきちんとある
・子供が遊びに求めているのは「夢中になれる時間」であり、「手軽な遊び道具」ではない
といった内容でした。
表面的なリサーチは人間や文化の根源を理解しようとする意識が抜け落ちているからだと反省をしています…
センスメイキングの書籍も読み直す中で、改めて学んだことをまとめておきます。
1. 顧客が向き合う「事象と感覚」を理解する
センスメイキングの書籍では、「現象学の考え方を応用する」ことが推奨されています。
現象学は、現象そのものに焦点を当て、意識と経験の構造を探求する哲学の一分野です。
多くの人が、よくわからん…と思ったのではないでしょうか(笑)
要は、勝手な解釈を入れずに、顧客の「感じている(いた)ことそのままを理解しようとすること」だと自分は理解をしています。
以前にnoteで書いたインタビューのポイントが近いと思っています。