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「防衛費増税」の文脈で宏池会(岸田派)が“ハト派”だというデマを流す『朝日新聞』

 昨日の朝刊を読み、仰天した。そこにはこう書かれてあった。

 防衛増税をめぐる攻防で、党内の最古参派閥でハト派「宏池会」と、最大派閥でタカ派「清和政策研究会」(安倍派)の路線対立が表面化した。
 (略)衆院選後、岸田文雄首相はこの財源について党幹部に打ち明けた。
 「増税だよ。総裁選も選挙もないこの期間を使い、防衛費の財源をかためる」(略)
 宏池会は「軽武装・経済重視」の党内リベラル派で財政規律も重視してきた。創設者の池田勇人元首相をはじめ、大蔵省出身者が多く、借金である国債発行には抑制的な立場をとる。

千葉卓朗「借金か増税か ぶつかる派閥」『朝日新聞』2022年12月22日朝刊

 確かにかつては「軽武装・経済重視」であったかもしれないが、今の宏池会が推進する防衛費増税は「重武装・経済破壊」である。そんな今の宏池会を「ハト派」と表現するのは正気ではない。
 理由は明白である。『朝日新聞』の読者は「なんとなくリベラル派」が多い。「なんとくリベラル派」とは、漠然と「平和は正しい」と思っているが社会主義革命までは考えていない層である。
 そういう層は「なんとなく平和」なイメージがあれば、自民党や維新の会であっても投票する。
 岸田自民党は安倍自民党よりも票を伸ばしているが、それは岸田派(宏池会)に対して「なんとなく平和」なイメージを形成してきたマスコミの力がある。
 実際には宏池会は「リベラル派」はリベラル派でも「アメリカ流リベラル派」(アメリカ民主党系)であり、その立場は一貫している。
 無論、宏池会にも大平正芳首相や前尾繫三郎議長を始め「保守本流」の矜持を持った素晴らしい政治家は多くいた。
 但し、良くも悪くも宏池会はアメリカ民主党の影響下にあった。象徴的なのが宏池会の総理大臣の任期で、池田勇人首相と大平正芳首相はアメリカが民主党政権の時に政権を樹立したし、鈴木善幸首相はアメリカの政権が民主党から共和党へ変わると辞任、共和党政権時代に就任した宮澤喜一首相は党内分裂により下野を余儀なくされた。
 念の為に言うと、鈴木善幸首相が共和党のレーガン大統領と上手くいかなかったのは周知の事実であり、また、宮澤喜一首相は総選挙ではむしろ議席を伸ばしておりその前の新生党結党の段階で過半数割れを起こしていた(新生党は今の立憲民主党右派と国民民主党の前身であるが、当時はアメリカ共和党と近かった)。
 宏池会がしばしば中国や韓国に融和的な態度を取るのは、決して「平和主義者」だからではない。売国奴にそんな高尚な信念は無い。ただ単に自分たちの親分であるアメリカ民主党が中国や韓国と仲が良いから売国をしているだけだ。
 従って、岸田首相はオバマ政権(民主党)時代には外務大臣として活躍できたが、トランプ政権(共和党)になると政調会長へと退いた。さらに言うと岸田首相は外務大臣時代にもオバマ政権の要求した「戦争参加法制」(平和安保法制)の制定には全面協力しており、ハト派の面影はどこにもなかった。
 無論、岸田首相が外務大臣時代に行った「功績」である『日韓慰安婦合意』もアメリカ民主党に称賛された。そもそも韓国はアメリカ民主党が作った国である。TPPに至っては、アメリカが共和党政権になって否定的になった後も推進した。
 宏池会は外交面だけでなく経済面でもアメリカ民主党に近い。民主党は共和党と比べると再分配重視であるため「リベラル派」と評価されているが、日本のリベラル派とは違い規制緩和も推進しており、ヲール街との関係も深い新自由主義政党である。新自由主義色だけで言うとトランプ政権よりも強かった。
 そもそも「右派=新自由主義」「左派=反新自由主義」と言うのは、日本(の、一部の衆愚)だけで通用する定義である。経済政策だけ見ると保守主義は寧ろ社会民主主義に近い。
 日本でも戦前に『国防の本義と其強化の提唱』を出した陸軍統制派がバリバリの右翼であることに異論はないであろうが、そこには「国民全部をして斉しく慶福を享有」「農山漁村の匡救」「勤労に応ずる所得を得しめ、国民大衆の生活安定を齎す」「労働者に対して救済策」等と記されていた。
 戦後の保守派も、岸信介首相による国民皆保険制度導入や田中角栄首相による再分配路線等、新自由主義とは対極に位置する政策を多く打ち出している。
 逆に岸田政権の「資産所得倍増計画」なるものは、不労所得を倍増するというものであるから、却って格差を拡大する政策である。その上での防衛費増税であるから、それを「軽武装・経済重視」の「リベラル派」でしかも「ハト派」だとまで言うのは、正気の沙汰ではない。
 無論、『朝日新聞』は正気だ。「わざと」そのようなデマを流して政府に媚を売っているのであろう。
 最後に、マスコミが偏向報道をするたびに叫びたい一言で締め括りたい。この言葉の意味が理解できない者や共感できない者は真の反政権派ではない。

リメンバー・陸山会事件!!


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