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日中国交正常化

 今日は『日中共同声明』が締結されてから50周年です。しかし、実はこの『日中共同声明』の法的性格については、重要な論点があります。
 『日中共同声明』は前文に「戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現」という言葉が記されていることでも判るように、日本と中国の間の戦争状態を終結させるために締結された「講和条約」としての側面があります。
 つまり、法的には西暦1972年まで大東亜戦争は日本と中国の間では集結していなかったため「戦争状態の終結」が宣言されたのです。
 しかしながら、『日本国憲法』では国の交戦権を放棄していますから、講和条約締結の規定はありません。仮に講和条約については憲法の一般条項よりも優先されると解釈しても(事実領土問題等では一般に「条約優位説」的な解釈が採られている訳ですが)、それは「条約締結の手続き」が取られている場合の話です。
 『日本国憲法』第73条の規定では条約締結について「事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする」とされており、この意味での条約は名称が「条約」であるものに限らないと解釈されています。事実、『日ソ共同宣言』も国家の承認を得ています。
 ところが、『日中共同声明』には国会の承認などありません。従って、これは『日本国憲法』第73条における「条約」ではないのに「講和」をしていることになり、『日本国憲法』に厳格に従えば違憲なのです。
 これについての率直な解釈は、詳細は別述していますが『大日本帝国憲法』第13条の「講和大権」の規定が尚現存していた、というものでしょう。

 さて、『日中共同声明』にはもう一つ、重要な側面があります。
 それは台湾問題に関する話です。
 日本は「中華人民共和国政府が中国の唯一の合法政府であることを承認」しました。言い換えると、台湾と福建省金門島とを実効支配している「中華民国」を自称する台北の政権については「非合法政府」である、ということです。
 そうなると、「台北政府」(自称「中華民国」)との間に締結された『日華平和友好条約』も無効と言うことになります。そして、同条約に基づく台湾の中華民国への割譲も無効と言うことになります。
 これはとても重要なことです。

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