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“小沢派”再結成で改めて立憲民主党の派閥を整理

 遂に小沢一郎先生のグループとして「一清会」が再結成されました。
 一清会のメンバーは15人。殆どが日本未来の党の系譜を引く議員ですが、事務局長の野間健先生は国民新党出身ですので、これまでの小沢グループよりも“保守”色が明確になってくれた、と思います。
 さて、民主党系の政党では派閥をグループと呼ぶ慣例があります。
 しかしながら、例えば小沢グループの場合は組織化される前から参院選で事実上の組織内候補である青木愛先生を当選させるなど、業界団体に負けない結束力を誇っていました。
 また、直諌の会のように「派閥」を名乗っているグループもあります。
 なので私は立憲民主党のグループも「派閥」と呼んでいます。一部リベラル派は「派閥=悪」と思い込んでいるようですが、私は逆に派閥のない組織の方が不健全であると考えます。
 この立憲民主党の派閥は、それぞれ過去に存在した政党をルーツに持っています。一清会の場合は野間先生と松木謙公先生以外の全員が日本未来の党出身であることでも判るように、日本未来の党をルーツに持っている派閥です。
 改めて立憲民主党の派閥を整理してみるとつぎのようになります。

<右派>
一清会(小沢派):日本未来の党系
新政権研究会(泉派):国民民主党系

<中間派>
花斉会(野田派):日本新党系
小勝会(岡田派):新生党系
ブリッジの会(江田派):みんなの党系
直諌の会(重徳派):日本維新の会系
自誓会(シナ派):旧自由党系

<左派>
サンクチュアリ(近藤派):日本社会党系
国のかたち研究会(菅派):新党さきがけ系
社会民主主義フォーラム(吉田派):社会民主党系

 念の為に言うと、ここで言う「右派」「中間派」「左派」は便宜上の分類です。
 右派とは旧国民民主党系、左派とは旧立憲民主党系等、中間派はそれ以外を指しています。
 政界で右派と左派を言う場合、多くの場合は実際の思想の左右は問われません。民主党系の政党であると、保守政党を目指すのが右派、社会民主主義政党を目指すのが左派、という風に言われることもありますが、ここで言う「保守政党」は「国民政党」の意味であって「保守主義政党」の意味ではないのです。
 例えば「保守二大政党制」という言葉がありますが、ここで言う「保守二大政党制」とは具体的には「イギリス流二大政党制」のことです。イギリス労働党が保守主義政党だと言うアホはいません。
 イギリス労働党は労働組合を支持母体にしていますが、労働者と言っても左派だけを支持母体としているのではなく、保守派の労働者の支持も集めています。また、『ハリー・ポッター』の作者であるJ.K.ローリングさんが労働党員であることでも判るように、労働党だからと言って労働者だけを代表している訳ではありません。
 かつての日本社会党でも浅沼稲次郎先生を始め国民政党化を目指す先生方は存在しており、彼らは「右派」と呼ばれました。しかし日本社会党は左派の力が強すぎて国民政党化に失敗し、最終的には新生党や日本新党と言った非自民の保守政党との連携を図る勢力が「右派」と呼ばれるようになります。
 因みに、平成初頭の社会党では非自民の保守政党と組む勢力が「右派」と呼ばれる一方、自民党と組もうとした勢力は「左派」と呼ばれました。そして「左派」主導で自社さ連立政権が誕生したのです。
 「え?なんで自民党と組もうとした人が左派と呼ばれていたの?」と思っている皆様、だって、当時の自民党の総裁はあの河野洋平元官房長官ですから。(笑)
 平成5年(西暦1993年、皇暦2653年)の時点で自民党は「左翼」側であると思われており、保守派の評論家である江藤淳先生に至っては「自民党が社会党になった!」と嘆かれていたのですが、その後自民党が政権復帰するとマスコミを総動員して「自民党は保守だ!スバラシイ!」か「自民党は保守だ!ケシカラン!」以外の報道をしないようにさせます。その結果、自民党を保守主義政党であると勘違いしている人間が続出した訳です。
 とは言え、自民党の本質は当時から変わっていません。河野洋平氏の息子である河野太郎氏が自民党総裁選で一般党員票1位になったことでも判るように、自民党は一般党員レベルで左傾化が進んでいます。
 ただ、それでも自民党は「国民政党」という意味で「保守政党」であると呼ばれます。
 もしも「保守主義政党」の意味で自民党を「保守政党」と呼んでいる人がいたら、正気が疑われます。無論、人の正気を疑うのはよくありません。彼らは「わざと、悪意を持って」自民党が保守主義であるというデマを流しているのです。
 話を戻すと、立憲民主党は国民政党化を目指していた旧国民民主党と「リベラル純化路線」を歩みかけていた(なのに何故か封建時代の支配者である徳川家の末裔を擁立した)旧立憲民主党とが「対等合併」して出来た政党です。
 ここ、重要なポイントですからね!今の立憲民主党を語る文脈で「立憲民主党は2017年に結党された!」と言っている人(ex,読売新聞)は全員、「わざと、悪意を持って」デマを流している極悪人です。立憲民主党結党は令和2年(西暦2020年、皇暦2680年)です。
 とは言え、今や左派の人も内心では「国民政党化」しか道はないことを理解しているはずです。Twitter上では一部の立憲民主党の「自称支持者」が立憲民主党から保守派を排除するように呼び掛けていますが、彼らの支持政党を過去のツイートから分析すると実は「れいわ新選組」だったりします。(笑)
 自民党の派閥もそうですが、立憲民主党の派閥も政策上の違いは大きくはありません。
 特に右派の一清会と私が便宜上中間派に分類した自誓会には違いなんか、殆どありません。どちらも元々「新しい政策研究会」というグループに所属したメンバーにより結成され、今でも両方のグループを掛け持ちしている人がいるぐらいです。
 しかし、自誓会の階(シナ)猛さんが異常に小沢一郎先生を嫌っているんですよね。彼も元々旧国民民主党出身なのですが、「小沢一郎先生が合流するのは嫌だ!」と言って国民民主党を離党した人間です。政策の違いではなく「○○がいるのが嫌」という理由で離党するとは、前代未聞です。
 ところが、何故かその小沢一郎先生がいる立憲民主党には参加しているのですから、よく判らん人です。
 そして同じ立憲民主党の党員である私も小沢派だからかブロックしてくるという、極めて排他的な人です。
 私は頼むからシナ猛さんには自民党二階派にでも入ってほしいと思いますが、当分はそうしないでしょうね。
 さて、右派と左派の一番の違いは国民民主党との距離感では無いでしょうか?
 右派は元々旧国民民主党出身だけあって、国民民主党には好意的です。まぁ、旧国民民主党出身でもシナ猛という方は国民民主党と仲が悪いですが。
 泉健太先生も小沢一郎先生も、国民民主党との合流を願っていることを隠そうともしていません。
 ただ、だからと言って右派の人間が離党すると必ず左翼が流す「国民民主党に入党する気では?」という噂は、事実にはなりにくいのですよね。
 というのも、国民民主党の支持母体である民社協会が「立憲民主党に参加した会員は全員除名!」という方針を打ち出した経緯があるからです。念の為に言うと、旧立憲民主党ではなく今の立憲民主党ですよ。
 松原仁先生も元々は民社協会所属でしたが、立憲民主党入党の時点で除名処分にされているはずです。離党後も立憲民主党の会派にいることにはそう言う経緯もある訳で、別に謎でも優柔不断でも何でもありません。
 しかし、そんな民社協会もかつては左派の巻直人元首相を支持していた訳で、派閥というものは思想で動いていないという事をこれほど端的に示している例は無いでしょう。
 思想と派閥が無関係と言えば、江田憲司さんがいたみんなの党は元祖新自由主義政党のはずですが、今の江田憲司さんはむしろ新自由主義批判を繰り広げていますね。10年前の政局も今や過去のものとなって仕舞いました。


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