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「ネトウヨ」はいても「ネトサヨ」はいない簡単な理由

 ネット上でよく「ネトウヨ」という言葉は使われていても「ネトサヨ」という言葉はあまり用いられません。
 しかし、実際にはネット上で左翼的な人は沢山います。というよりも、左翼的な人間による炎上騒動は、ネトウヨによる炎上騒動よりも寧ろ多いでしょう。
 が、ネット上で左翼的な言動をしている人間は、現実世界でもガチな左翼であることが多いのです。これがネトウヨとの大きな違いです。
 どういうことでしょうか?
 例えば、ガチな右翼がネットに書き込みをしていても、それを「ネトウヨ」という人はいないでしょう。今の時代、右翼であれ左翼であれネットに書き込みをするのはごく普通の事ですので、「ネットに書き込みをしている右翼=ネトウヨ」であれば右翼全員がネトウヨになってしまいますが、そんなバカな定義はあり得ません。
 同様に、ネット上で活躍している左翼、例えばCRAC(旧しばき隊)なんかはガチな左翼であって、共産党や社民党とも関係が深いですから、あくまでも「ネットをしている左翼」であって特段「ネトサヨ」という用語を作る必要は無いのです。
 一方、ネトウヨという人たちは従来の右翼とは大きく異なります
 まず、右翼にとって一番大切なもの、それが「天皇」であることに異論はないと思います。
 歴史的にも右翼の起源はフランス革命時の王党派ですし、それは世間一般の感覚にも合致すること、言うまでもありません。
 もっとも元から共和制であるアメリカ合衆国の場合は、プロライフ(生命尊重派)が右派であると定義されています。これについても、日本では多くの右翼団体が基本的にプロライフですから、日本においても通用する定義であると言えます。
 が、私の知る限りにおいて、そもそもネトウヨは「天皇」や「プロライフ」と言った単語にあまり関心がない人が多いのです。
 思い出したかのように「○○は反天皇だ!」と騒ぐことはあっても、ではあんたらは普段どれだけ天皇陛下を意識しているのか、と言うと、全然意識していなかったりします。
 本当に右翼であれば、歴史を学び過去の朝敵の行為を知っては心中に涙を流し、現代にそのような朝敵が表れれば義勇公に奉じようと思うはずです。
 しかし実際には朝敵安倍政権を支持しちゃっているのがネトウヨなのであって、「退位」特例法制定の時も「上皇后」の三文字に反発するのかと思いきや、全然反発しない。恐らく彼らは「皇太后」の意味も知らなかったのでしょう。
 挙句の果てには朝敵江戸幕府を称賛したりする。
 さらに、最近笑えるのはネトウヨが専業主婦バッシングに加担していることです。
 専業主婦バッシングは元々左翼が始めたキャンペーンで、今でも専業主婦を攻撃している左翼はいますが、ネトウヨがそれに加担しているのを見ると爆笑してしまいます。
 あと、表現規制反対なんか完璧左翼の「性の解放」論だろ、という。(笑)
 ネトウヨはもしかして、東京都の『青少年愛護条例』を提案したのがガチ右翼の石原慎太郎都知事であることも知らないのでしょうか?
 この件に限らず、ネトウヨの主張は基本的に従来の右翼とは異なるばかりか、むしろ左翼と親和性が高かったりします。私は過去にプロチョイスのネトウヨという珍種を発見したこともあります。
 実際、ネトウヨの多くは右翼団体に所属していた経験など無いはずです。初期ネトウヨに影響を及ぼした有門大輔氏らは維新政党・新風の党員であったこともあるなど右翼団体との接点はありましたが、では彼の主張が維新政党・新風と親和的であったかというと全然そうでは無く、「明治維新は間違っていた!鎖国の江戸時代に戻るべきだ!」と、右翼ならばあり得ない江戸幕府賛美・明治維新否定を行い、最終的には維新政党・新風からも離脱しています。

 我が「大江戸回帰派」の主張では日本が連邦国家制になれば良いとか、地方がいくつもの国(武家時代で言えば「藩」)になれば良い旨を主張している。そうした主張が日本を日本でなくすると抵抗・反発する向きも強いのだろうが、事実上の移民社会となり、これから本格的な移民社会になる時代を見据え、だから…今から連邦制国家のようになる準備をしておけと言っている。

 大江戸回帰派どころか「戦国回帰派」でも良いと思う。今日ほど異民族が合法・非合法で入り込んだ社会で民族紛争が起きることは必至だし、民族紛争にならないと考えるほうがむしろおかしい。

 女性を中心に「戦国ブーム」が起きているご時勢。リアルで新たな武将が台頭する社会は必ずやってくる。

 学校への就学・奨学金をめぐる外国人留学生との争いが起き、雇用をめぐって外国人労働者との争いが起きている世の中、異民族との民族紛争なる戦国時代への回帰も提唱出来ないようでは、それこそおかしい。日本人の奨学金受給と日本人の雇用を最優先とするため、あらゆる意味で外国人を殺せた奴が新たな戦国時代における戦国武将であり、来日してから「出て行け」と言われても出て行かない外国人を色んな意味で斬ることの出来た奴が大江戸時代に匹敵する「新たなサムライ」である。

有門大輔「移民社会における2つの鎖国論」

 リアルに戦国時代が来ることを望んでいるのは右翼は勿論、正常な思考回路を持っている日本国民には誰一人いないでしょうが、有門大輔氏のような連中がネトウヨにはかなりの影響力を与えてしまっています。
 さて、初期のネトウヨは「社会の底辺」と呼ばれるような人たちが少なくなく、そう言う人々が従来の右翼・保守の人たちと接点が無いが故におかしな主張に騙されている、というだけのことであれば大して問題にならなかったでしょう。
 そんなネトウヨが影響力を持ち始めたのは、平成21年(西暦2009年、皇暦2669年)の頃です。
 当時支持率を失っていた麻生自民党を突如応援するサイト「国民の知らない反日の実態」というネトウヨサイトが登場しました。そこでは自民党やプーチン大統領の統一ロシア、蒋介石の中国国民党等が「右翼」「保守」に分類されていました。
 多くの保守派にとって統一ロシアや中国国民党は「敵側」の存在でしたから、このサイトの作成者が従来の右翼・保守で無いことは、明白でした。一方、自民党は昔から中国国民党との関係が深く、また麻生政権から安倍政権にかけてプーチン大統領とも関係を深めていっており、このサイトが思想に関係なく自民党を応援する目的であることは明白でした。
 このサイトは民主党政権に不満を持つ層に影響力を与え、都市部の中間層(新中間層)からネトウヨになる人たちを増やしました。そうした「新中間層ネトウヨ」が街頭に出たのがヘイトスピーチデモです。
 ヘイトスピーチと言うとブルーカラーの人たちがしているイメージがあり、左翼の人間も外国人労働者との職の競合という側面から移民反対運動を分析していましたが、過激なヘイトスピーチはともかく、やや抑制された排外主義的な主張は高所得層の人間でも言っています。竹田恒泰氏みたいな大学で職を得ている人間が差別的な言動をしていたと裁判で認定されたこともあるほどです。
 そもそも、東京のような物価の高い街で頻繁にデモをする人達は、一部の「活動家」と言われる私財を削って政治活動をするような人たちを除くと、一定以上の経済水準にある人たちです。
 なお、左翼の人間は「右翼=新自由主義」という妄想を言っていますが、私の知る限りネトウヨの多くは新自由主義には否定的です。ならば彼らはどうして自民党を支持しているのか、私も当初は理解できなかったのですが、よくよく彼らのツイートやブログを見ると、安倍首相が消費税増税を注視してくれるのではないか、という淡い期待を彼らが持っていることが判りました。
 結局、ネトウヨにとっては新自由主義の是非よりも消費税の税率の方が大切なのです。ネトウヨは生活保護に対しては不正受給へのバッシングを繰り広げており、彼らは生活保護を受ける可能性が高い貧困層ではなく、消費税減税の恩恵を最も受ける一方、福祉の恩恵はあまり受けていない新中間層っであると考えるのが妥当です。
 そして、安倍政権になってから(その傾向は小泉政権からありましたが)自民党は明らかに支持母体を農家や中小企業経営者、自営業者と言った「中産階級」(旧中間層)から「新中間層」へとシフトしています。
 NISAのような投資推奨は最初からある程度の金を持っている新中間層が一番恩恵を受けますし、幼保一体化や待機児童と言った安倍政権の徳燐だ問題の多くは都市部の新中間層をターゲットにしたものであって、農家や中小企業、田舎と言った分野には安倍政権は殆ど何もしていません。公共事業も民主党政権の頃よりも減っており、中核中枢都市構想と言う地方のストロー現象を推進しかねない構想まで推進しました。
 こうした安倍政権の路線を完成させたのが、岸田政権です。岸田自民党はまさに新中間層の労働者を主な構成員とする連合と急接近し、ネトウヨの中にも連合と立憲民主党の訣別を求める人たちが少なくありませんでした。
 このように自民党が新中間層の支持を獲得しようとしていた時期とネトウヨの拡大期は一致しています。このことはネトウヨの主な母体が新中間層の自民党支持者であることを裏付けるのみならず、ネトウヨと従来の右翼・保守とは社会階層が異なるという事も示唆しています。
 従来の右翼・保守は、私のようにガチな右寄りのイデオロギーを持っている人間を除くと、先祖代々の家に住んでいるような人たちか、それに憧れて一軒家に住んでいるような人たちが主です。彼らにとって左翼の毛嫌いする「家」とは時代遅れのイデオロギーではなく、確固たる現実です。
 それに対してネトウヨは、田舎の家を守るよりも東京で遊ぶ方を選んだ人の方が、むしろ多いでしょう。ネトウヨの初期世代で挙げた有門大輔氏もそうです、彼は大阪の町工場の経営者の子供でありながら「東京には排外主義者のグループがある」と聞いて地元を捨てて東京へ行き住み着いた男です。
 まぁ、現実には有門大輔氏みたいに排外主義活動目的で東京に住み着く人間は少数派でしょうが、都会の娯楽に憧れて東京に住んでいる人たちだからこそ、東京でデモ行進をしているのでしょう。私は生粋の関西人ですので、有門大輔氏みたいなタイプの男は嫌いであります。(笑)
 こうしたネトウヨの社会階層は、左翼とも被ります。左翼も都市部の新中間層が今では母体となっています。(共産党は地方の経営者にも支持を貼っており、一番左翼的な党派でありながらその支持の分布はむしろ保守政党に近いです。)
 さて、地方に住む本来の右翼・保守の票は自民党から離れつつあるわけですが、これを誰が取り込むのか。今夏の参院選ではなんと地方でも参政党に投票する人が思いのほか多かったですが、これは自民党から離れた地方の右翼・保守層の心を彼らが掴んだからでしょう。しかし、個人としては立憲民主党や国民民主党にこそ、右翼・保守層を狙ってほしいと考えます。

ここまでお読みくださり、本当にありがとうございます。 拙い記事ではありますが、宜しければサポートをよろしくお願いします。 いただいたサポートは「日本SRGM連盟」「日本アニマルライツ連盟」の運営や「生命尊重の社会実現」のための活動費とさせていただきます。