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岸田文雄氏自民党総裁就任に思う

 菅義偉首相の公認として岸田文雄氏が自由民主党の総裁になりました。

 私は、立憲民主党の党員として菅義偉政権の政策を批判はしてきましたが、菅義偉首相個人が悪い人だと思ったことはありません。

 むしろ、サーズ2型コロナの蔓延と自民党内部の政治情勢を見ると、よく頑張ってくださっていたと思います。

 確かに、例えば生活困窮者について「最後には生活保護がある」と言うような、従来の自民党では考えられないような言動について、私はこれまで強く批判してきました。

 国民には「勤労の義務」があります。働きたい国民が働ける環境をまず整えることこそ、政治の基本です。総理大臣が生活保護受給を推奨するのは、国民の勤労意欲を削ぐ行為です。

 しかしながら、菅義偉首相には、立憲民主党の良い政策に賛同した場合は、それを取り込むことがありました。

 代表的なのが、先程の自民党の総会でも菅義偉首相が実績としてアピールしていた、『国民投票法』改正です。

 『国民投票法』改正は、安倍政権が何年間も政策として掲げておきながら、結局行いませんでした。

 安倍政権は野党の反対を理由にしましたが、衆参両院で過半数を握っているのに「野党の反対で成立できない」と言うのは、詭弁です。安倍前首相にはやる気がなかっただけです。

 一方、菅義偉首相は立憲民主党の対案を全面的に受け入れてくださり、安倍政権が何年間も放置してきた『国民投票法』改正を実現させました。

 よく「野党は反対ばかり」と言う方がいますが、立憲民主党や国民民主党は、常に建設的な提案を出してきました。むしろ『国民投票法』改正を見ると判るように、最終的に自民党が賛成できるような現実的な対案を出しているにもかかわらず、放置されたようなケースも多々あったのです。

 岸田文雄総裁が菅義偉首相の良い面を引き継いでくださると言うのであれば、立憲民主党としては大歓迎です。しかしながら、むしろ岸田文雄総裁は菅義偉首相の悪い面だけを引き継ぐ予感があります。

 立憲民主党と自民党の間の争点の一つが、コロナ対策でした。

 自民党はワクチン接種を推奨して、「ワクチンパスポート」を持った人には自粛を緩和させ、経済を回そうとしています。さらにはGoToキャンペーンの再開も目論んでいます。

 一方、立憲民主党は「イギリスでは7割の国民がワクチンを接種したが、感染拡大が起きている」と言ったエビデンスを根拠に、33兆円規模の経済対策をしたうえでの「自粛と補償」の政策を訴え、また、ワクチン接種を拒否した人への差別等を無くす『コロナ差別解消推進法案』も提出していました。

 自民党はこの立憲民主党の提案に後ろ向きで、特に「ワクチン差別」については、河野太郎ワクチン担当大臣がむしろ推奨するかのような言動を行っていました。

 このことは今回の自民党と立憲民主党との間の総選挙の争点となりうるものでしたが、自民党がこの問題を今回の総裁選を通じて改善するかが、一つのカギでした。

 ところが、今回当選した岸田文雄氏は、表向きは河野太郎氏や二階俊博氏と対立しておきながら、言っている政策は

・ワクチンパスポート推進

・GoToキャンペーン再開

と、河野太郎氏や二階俊博氏と大差ないものでした。

 繰り返しますが、ワクチンを接種してもサーズ2型コロナに感染する可能性は低くありません。そのような状況でGoToキャンペーンを再開するとどうなるかは、目に見えています。

 岸田文雄氏らの言うワクチンパスポートは、専らワクチン接種拒否者への嫌がらせを目的にしたものである、と言えます。

 また、岸田文雄氏は安倍政権下で長らく外務大臣や政調会長として我が国の外交政策を引っ張ってきましたが、それらは「民主党政権以上の親中外交」と呼ばれており、我が国がアメリカ政府から「親中派」認定されるという、異例の事態を招きました。

 よく「民主党の外交政策は間違っていた」と言う方がいますが、確かに、私は民主党政権後半の外交政策を批判して民主党を離党した政治家らを支持してきましたが(彼らの多くは立憲民主党に合流しています)、岸田文雄氏の外交政策は私が批判してきた民主党政権後半の外交政策よりも、酷かったのです。

 これについては、むしろ菅義偉首相は改善を試みていましたが、岸田文雄氏が新しい首相になるとどうなるか、甚だ不安です。

 ここで注目するべきは、立憲民主党が提出したまま継続審議になっている二つの法案です。

 一つは、離島防衛等において必要な『領域警備法案』です。

 もう一つは、先程述べたワクチン差別を禁止する『コロナ差別解消推進法案』です。

 この二つの審議を、特別国会で岸田文雄総裁は応じるのかどうか、これが今後の大きな争点です。

 もしも岸田文雄氏がこれに応じないのであれば、中国の脅威やサーズ2型コロナから日本を守るため、総選挙で何としてでも自民党に勝利し、岸田文雄政権を倒さなければなりません。

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