ファインプレーかスーパープレーか
noteやTwitterを始めてから、時々ある体験なのですが、自分的にはこれは良いの書けた!と思った記事がそんなに伸びなかったりします。
はたまた思いつきで発信したものが思いもよらない反響を頂いていたり。
こちらのtweet、とても大きな反響をいただいています!
改めて本件について解説&考察したいと思います。
何を伝えたいかというと、本件は属人的な(僕だからできた)事柄ではなく、標準化できる(誰でもできるようにできる)ものだということです。
本件をおさらいしておきます。
訪問診療時にある患者さんのジゴキシン濃度が正常値内でありながら急上していることがわかりました。
医師から「何も薬変えてないと思うんだけど。何か原因かわかる?」と尋ねられ、薬歴を遡ると採血の直前に歯科からアジスロマイシンが処方されていたことがわかりました。
そこで、アジスロマイシンによるP糖タンパクの阻害でジゴキシンの排出を抑制した結果、ジゴキシンの血中濃度が上がったのではないかと伝えました。
本件はファインプレーだと思っています。
ファインプレー:能力を100%出した状態。標準的なプレーヤーの能力が最大限活かせたプレー。
スーパープレー:能力を120%以上出した状態。常人には真似ができない超人的妙技。属人的。
やや言葉遊びな感じですが・・。
1)属人的(僕だからできた)ではないというワケ
なぜなら、ジゴキシンとマクロライド系の相互作用については添付文書に載っている基礎的な情報だからです。
どうやら101回国家試験に出題されていたようです。(僕が受験した回らしいですが忘れました笑)
僕自身、この知識が明確に頭の中にあったのかというとそういうわけではありません。
ジゴキシンの濃度が上がっていると分かったときに頭に浮かんだのは3つの可能性でした。
1つ目は低K、2つ目は低Albをチェックして異常なし・・・。
そして3つ目に浮かんだのが、なんとなく相互作用あったよなぁ程度の記憶でした。
すぐにiPadで薬歴を開き、採血の前に何か処方がなかったのかを調べました。
そうすると、採血の直前に歯科からアジスロマイシンが処方されていることに気が付きました。
「たしか、マクロライドの相互作用あったよな・・。」と考えながら、ジゴキシンの添付文書を開いたところ排泄阻害による血中濃度上昇に辿り着いたわけです。
ありがとうiPad。
2)標準化できる(誰でもできるようにできる)というワケ
ここまでを振り返って、なぜ僕が今回の提案ができたのかについて考えてみます。
必要な条件はたった2つです。
①その場で薬歴と添付文書を調べられるツールがあった(iPad)
②訪問診療に同行していた
医師の診療(謎解き)に同席していて、謎解きに必要な資料が手元にあったということですね。
標準化するためにはICTの導入(①)、非薬剤師との連携(②)による、薬剤師の気力・体力・時間を創出する仕組みが必要です。逆に言えば、この仕組みさえあれば(本件に限れば)国家試験レベルの知識で対応できるので”誰にでもできるようになる”はずなのです。
3)とはいえコミュニケーション能力は必要
自分の考えをチームメンバーに理解してもらうためのコミュニケーション能力(伝える力とその基礎となる信頼関係)はやっぱり必要です。
仮に訪問診療に同行していても書記のように医師の横に着いて行っているだけの受け身な姿勢では難しいと思います。
そもそも医師や看護師から「何が原因だと思う?」という言葉が投げかけられることはないでしょう。
医師や看護師と同程度かそれ以上に患者さんをみて、訪問診療同行に備えておくことや、診療中に医師や看護師が頭を抱えているときに自分なりの見立てについて積極的に発言してきた積み重ねだと思っています。
要は準備と練習が大事なのかもしれません。
まとめ
改めて自分の仕事を振り返ることができました。
(属人化するのではなく、標準化を心掛けていきたい・・。)
ICT活用と非薬剤師との連携は薬剤師の気力・体力・時間を創出し、本来的な業務にシフトするために必要不可欠です。
一方で、その気力・体力・時間をどうやって患者さんや地域に還元していくのかという知識・技能・態度も併せて実装していくことも考えなければならないなと感じています。
自分自身、"他職種に伝える"ことについては長けていると思っています。
僕が運営しているnoteのサークルでは、メンバー個々の相談に対して、僕やその他のメンバーからアドバイスを受けることができます。
ぜひ日頃悩んでいることがあれば、お気軽に参加してみてください。
この話には続きがあるので、また後日書きたいと思っています。
ありがとうございました!
いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。