非薬剤師との新たな協働の形
今年1月〜2月にかけて店舗で外来顧客体験向上キャンペーンを行った話です。
どなたかの何かのお役に立てば・・。
昨年末に、店舗で「外来における顧客体験を向上させること」を目的としたチームを立ち上げました。メンバーは薬局パートナーのおくださん、3年目薬剤師と僕、そしてアドバイザーとしてパートの先輩薬剤師にも参加していただきました。
企画概要
目的:外来における顧客体験を向上させる
方法:来局から薬を渡すまでの接遇を改善する
手段:薬局パートナーによるお会計、お見送り時のお声がけ「お大事に+α」
実施期間:2021年1~2月の2ヶ月間
対象:処方箋お持ちの外来患者さん
経緯
普段、患者さんに「ありがとう」と言われるのはほとんど薬剤師だと思います。
そんな中で、非薬剤師スタッフである薬局パートナーの幾人かにファンがつき始めていることに気がつきました。来局された方が「〇〇さんいるー?」なんて仰るわけです。
彼女たちは、待ち時間にお声がけをしたり、聴取したお悩みに対して漢方薬などのOTCを提案するなど積極的に行動をしていたのです。
店舗には10名以上の薬局パートナーが在籍していたので、これをみんなができるようになれば、これまで薬剤師だけが対応していたものより、きっと顧客満足度は上がるだろうと思いました。
とはいえ、みんながみんな患者さんと話すきっかけを掴みに行けるわけではありません。僕たちも薬を介しているから話せているわけで、そうじゃない薬局パートナーさんたちにはなかなかハードルが高いわけです。加えて、患者さんから「ありがとう」と言われるような成功体験が過去に無ければ尚更でしょう。
そんなわけで、薬局パートナーさんたちが患者さんと接点を持てる仕組みを作り、薬局パートナーさんが患者さんから「ありがとう」を言っていただける体験をすることで、薬局パートナーさんの意欲向上につながり、ひいては顧客体験の向上につながるだろう!という仮説を立てました。
具体的には、これまで薬剤師が行うこともあったお会計を完全に薬局パートナーさんにお願いすることにしました。「ありがとう」を言われるタイミングってここですよね。ある大手のコーヒーショップでは、パンのおかわりを配膳するのは新人の役割だそうです。
経過
まずは会計にまつわる業務フローの変更から着手しました。調剤済みの薬を入れたカゴの置き場所を変えたり、薬剤師からの「会計お願いしまーす」の声かけを徹底させたり・・・。
そして業務フローがある程度固まってきたら、スタッフ全員ができるように、徹底的に浸透させていきました。方法は、朝礼、業務日誌、Slackを使って、何回言うねん!と言うくらい発信しました。
それでもいろんな理由でなかなか取り組めない薬局パートナーさんには、おくださんが一人ずつ声をかけて、噛んで含めるように説明をし、手取り足とり行動を促してくださいました。実はこれが最大の成功要因だったと思います。
結果
2ヶ月間のキャンペーンの後、店舗の薬局パートナーさんを対象に「嬉しかったことはなんですか」とアンケートを採りました。
・患者さんとあまり会話をしてこなかったスタッフが話している姿を見た。
・お薬をお渡しして帰られる際に「ありがとう」と言われたこと。
・お会計時にあまり話さないと思っていた患者さんがお話してくれたこと。
・また来月来るねと言われたときは嬉しかった。
・パートナーが楽しくお話しさせていただくことが、地域のご年配でおひとり暮らしの方の心の健康の為になっているのではないかと感じた。
・CX向上からの健康相談からOTC購買に繋がるものではないかと思いました。
・患者さんとのコミュニケーションの中で自分と趣味が似ているなと思う方がいて話が盛り上がって良い時間を過ごせた。
・患者さんが喜んでおられるような気がします。
・お見送りするようになってから色んな患者さんとの会話が増えたのが嬉しい。
感想
この企画を通して得た副産物は、先服薬指導が完成したことでした。
副産物と言いつつ、実は裏テーマとしてチームで考えていたことでもありました。先服薬指導を行う目的のひとつに、指導とモノを分離して、指導の質を上げることがあります。
個人的には、薬剤師が独りで突っ走って出せる成果に限界があると感じていたので、小さいことではありますが、薬局パートナーさんとチームで成果を出せたことは貴重な経験でした。
僕自身は今月から別の店舗で働いていますが、今もおくださんを中心に新しい企画に挑戦されているようで嬉しいです。また、今度の異動先の薬局パートナーさんに紹介したところ、ぜひやってみたいとのことで、いや〜やってよかったなぁと。
読んでいただきありがとうございました!
いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。