バイタルサインを採る目的
今日は薬剤師がバイタルサインを採る目的について書きます。
この記事を書くきっかけとなったのは、先日弊社の新人から受けた質問でした。
「調剤薬局事業を行う会社が訪問看護師を雇っているところがあると聞きます。在宅に取り組む上で情報共有がスムーズに行えるので良いなと思います。一方で、僕たち薬剤師が行う聴診やバイタルサインチェックが奪われるのではないかと危惧しています。」
いかにも新人らしい良い質問だと思います笑
この質問がやや特殊なのは、薬剤師が聴診やバイタルサインチェックをやるのが当たり前だと認識していることですかね。これらの行為が弊社では風土化している背景が影響しているのだと思います。
さて、この質問に僕が答えた内容は
「やらなくて済むならやりたくないよ」
でした。
逆にいうと「やらないと仕事が完結しないからやっている」わけですね。
1)バイタルサインを採る目的
バイタルサイン(血圧・脈拍・呼吸速度・体温)は患者さんの状態を評価するための最も基本的な指標です。
これらの情報には価値の高いものと低いものがあります。
その価値を決定している要素は2つ。
①新しい情報であること
②連続的な情報であること(点でなく線情報であること)
当たり前ですが、去年の血圧値はアテになりません。
また、昨日は血圧が141だったが今日は163だったというように、より短いスパンで継時的に観測された情報の方が価値が高いですよね。
これらの情報は薬物治療のPDCAサイクルを回す上で、極めて重要な情報です。
Plan:治療方針の計画
Do:処方・服薬
Check:体調・効果確認
Assessment:薬学的評価
加えてバイタルサイン情報は医療・介護チームで共有することで、その価値を最大化します。
バイタルサインは他の医療・介護職でも採取することができます。
そんな中、”薬剤師が”バイタルサインを採る目的も上記の通り、より新しく・連続した情報をチームで共有することにあります。
入院環境下においては看護師さんがその役割を果たしていることが多いため、この時に薬剤師が動くことはあまりないと思います。
一方で在宅医療においては採取される機会が少ないため、薬剤師が採取する必要性が出てきます。
逆に言えば在宅医療においても、既に新しい情報が共有される環境があるのであれば薬剤師が採取する必要はないですよね。当たり前のことのようですが、実は不要な採取行為は行われていると考えています。それは報告書を埋めるための採取です。患者さんによってはマンシェットで締め付けることや、ひんやりした聴診器で触れられることにストレスを感じる方もいるので、ふと立ち止まって省みても良いかもしれません。
何れにしてもプロフェッショナルとして自らが調剤した薬剤一粒一粒に責任を負うためには得るべき情報だと思います。
わぁ真面目!
今日もありがとうございました!
いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。