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薬剤師がバイタルサイン採取、フィジカルアセスメントを実施するメリット

僕自身が臨床の現場に戻るにあたり、改めて整理したいと思います。
もはや大学教育でも導入され、薬剤師が患者さんに触れたり、聴診することは珍しくなくなったのかもしれません。
服薬後のフォローが義務化され、最近ではちらほら個別指導の事例も出てきたようです。
それは別にしても、服薬後のフォローには必須のスキル&マインドです。

前提としてお伝えしておきたいのは、これはミニドクターになるためでもなければ、薬剤師の職域拡大の手段でもないということです。

あくまでも患者さんをよくするための手段のひとつです。

①服薬後のフォローアップ


自身が調剤した薬剤の効果判定に欠かせないのが本スキルであり、ド本命です。
気管支拡張剤であれば呼吸音の聴診を、血圧降下剤であれば血圧測定を、下肢浮腫のための利尿剤であれば脛骨前面や足背を圧迫した後の圧痕で評価を行います。
これらの情報は点ではなく線で捉えることが適切な評価に繋がります。
特に在宅医療においては患者さんと医療介護職の接点が少ないため、薬剤師も訪問時に採取・測定し、他職種と共有し情報を共有することが重要です。
採取したからには何か薬学的な評価をしなければ!と気負わずに、まずは正確な情報をタイムラグなく他職種に共有するだけでも、それは貴重なニュースです。

②健康相談・OTC販売時


当然、全例において実施する必要はありません。
フォローアップ時に活用できることは①と同様です。
特に「これはOTCでは対応できそうにない!」と判断し、受診勧奨を行う際には、医療職の連携時のマナーでもあり、客観的指標であるバイタルサインの情報を添えておけると良いです。
(看護師同士の申し送り時に、バイタルが抜けていたためにどえらく怒られていた方を見て以来気をつけています)
加えて、情報提供の際にはせっかく薬剤師がパスするのですから「薬剤性の有無」についても言及できると最高です。

③緊急時(急変時)の対応


これは②の受診勧奨の延長にはなりますが、待合で患者さんが異変を訴えたり、在宅訪問時に急変しているケースに出くわすこともあろうかと思います。
ケースバイケースですが、救急隊にバイタルサインや意識レベル、薬剤性の有無について伝えることができればその後の患者さんの容態も変わってくることもあるでしょう。
実際に外来患者さんから「ロキソニンを買いたいが、立てないから持ってきて欲しい」と電話があり訪問し、救急隊に連携したケース、在宅訪問時に意識消失しており、医師・看護師に連携したケースがありました。
在宅での意識消失状態の遭遇は少なくなく、バイタルサインはもとより、JCSが頭に入っていて良かったと感じることがあります。

まとめ


「薬を飲んだ後をみる」ためには必須のスキルでありますし、6年製をご卒業であれば講義で習ったこともあるかもしれません。
しかし、いざ現場で明日からやろう!と思い立っても、なかなか身体が動かない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身、当然初めの頃は緊張もしましたし、(たまたま施設で居合わせた)医師や看護師が見ている前で聴診した時は変な汗が出ました。
これはもう慣れですし、「患者さんをよくするため」という信念を持って、チームにフィードバックし続けていれば自ずと結果に結びつくはずです。

「手技が不安だ」「一歩を踏み出す後押しをしてほしい」「組織的に取り組みたい」そんな方がもしいらっしゃれば、ぜひお気軽にお声がけください。

ここだけの話、これらを実践することも大事なのですが、これらを日常的に繰り返した先に見えてくる景色をみなさんに観ていただきたいのです。

薬剤師が変われば地域医療は変わる、その一歩を今踏み出してみませんか。

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