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訪問薬剤師の道具と所作(導入編)

今日は施設での単独訪問時に使う道具とアセスメントするまでの所作について書きます。
まず最初にお断りしておきたいのは、在宅訪問の内容は薬剤師によって千差万別であり、最もその薬剤師のカラーや美学が現れる部分です。あくまで僕個人の一例として皆様のご参考になれば幸いです。

準備するものはiPad mini(薬歴)聴診器、それから長白衣です。
場合によって血圧計を持参する場合もあります。
以前は紙に書いたりしていましたが、辞めました。社内でも紙を使っていない薬剤師は僕だけかもしれません。数年かけて持ち物は減らしてきました。聴診器は持っていることに意味があるのではなく薬の効果を診るために使うのと同様に、全ての持ち物を「患者を診る」という目的論に沿って適正化しています。

1日に診る人数は20〜30名程度(うち半数が単独訪問)です。
所要時間は2時間強。

共通する所作は、全ての患者さんに対して聴診していることです。
その理由は3つです。
前述した通り、薬の効果を診るためというのが1つ。
2つ目は認知症の方でも聴診器を見ると「身体を診てくれる」という認識は失われていない場合が少なくないです。聴診器があることで「診る・診られる」という関係性を構築できる場合があります。長白衣もこのために着ています
3つ目は徹底して全ての患者さんに聴診を実施してきてわかったことですが、心肺の雑音の最初の聴取者になることが割とあります。無熱性の誤嚥性肺炎や弁膜症、不整脈等の症状の第一発見者ということです。診断をする知識も資格もありませんので、聴取した内容を医師に報告し、適切な検査をオーダーします。
余談ですが、お喋りすぎる方も聴診器を当てると黙ります笑

次にアセスメントまでの所作(導入)について書きます。
座位の患者さんに対しては、極力隣に座るようにしています。
まずはゆっくりと歩いて患者さんのパーソナルスペースに向かって歩き、パーソナルスペース に接触すると同時に椅子に腰を降ろします。(パーソナルスペース の広さは個人差があり、性格や性別、認知症・難聴などが影響します)座る流れで患者さんの上腕にそっと手を当てながら笑顔で患者さんと目を合わせます。目があったら「〇〇さん。こんにちは!」と声をかけます。それから患者さんを診始めます。
ここからは患者さんの症状と個性に合わせて流れを組み立てています。
挨拶した流れで脈拍を取りながら話を始める患者さんもいますし、脈を取られると黙ってしまう方もいます。また認知症などで「診る・診られる」の関係性を認識することに時間がかかる方には、声かけや触れられても不快に感じにくい場所から触れていくことで安心していただくと同時に認識を促します。

アセスメントはその場でiPad miniを使って薬歴に入力します。
3分でも時間を置いて入力に取りかかると、思考を再起動するコストがかかるためなるべくその場で入力します。最近ではSiriを使った音声入力も併用しています。長文を記載する際にかなりの省力化を図ることができます。翻訳の精度も高く、ヌルヌル入力されるので試してみてもいいかもしれません。
ここで入力した内容をもとに(なるべく)当日中に報告書を清書し、送付しています。
思考はその場で文字にすることでヌケモレなく言語化できますし、すぐに入力することで入思考の再起動と記憶することにかかる脳疲労コストを削減し自己のパフォーマンスを維持できると思っています。
ちなみに明日から新しい音声入力デバイスを試用するチャンスを得ました。
こちらに関してもいずれ共有したいです。

まだまだ書ききれていない内容がありますので、そちらについても皆様のコメントやお声を参考に書いていきたいと思います。
所作については文字だけではイメージし辛いですね。もし動画で見てみたいという奇特な方がいらっしゃれば検討したいと思っています。

今日もありがとうございました。

いつも読んでくださりありがとうごさいます。みなさんが読んでくださることが活力になっています。