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リバプールとアストン・ヴィラにあった攻撃における差

皆さんこんばんは。お久しぶりです。今回は僕としては非常にショッキングな試合、アストン・ヴィラvsリバプールから読み取れる両チームの攻撃における差を見ていきたいと思います。試合結果は7-2でアストン・ヴィラの圧勝に終わり、リバプールは守備が崩壊していたのは明らかです。しかし攻撃面においても両チームに大きな差があったので、今回は攻撃にフォーカスしていきたいと思います。

1.両チームのスタメン

アストン・ヴィラのスタメン

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リバプールのスタメン

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2.リバプール 攻撃の問題点①

リバプールの問題点①はGK、CBの前線へのボール供給力です。今回の試合では肩を負傷したアリソンに代わりアドリアンが先発に名を連ねました。アドリアンはアリソンのようなハーフライン付近へのディストリビューションやロングパスの精度は持っていません。これだけが理由ではないにしろ、両SBが高い位置を取れなかったのは、アドリアンがアリソンのようなディストリビューション、ロングパスができないということが関係しているように思いました。

またCBのジョー・ゴメスは足の速さによる裏のカバーや対人能力の強さ、(相方のファンダイクほどではないですが)ロングパスが売りの選手ですが、この試合では弱点とも言える縦パスの供給力が出ていたと思います。

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このシーンにおいてファビーニョとワイナルドゥムは中央に絞り、サラーはハーフスペースにポジションし、相手をピン止めすることにより、アウトサイドレーンのアーノルドがフリーとなっています。ゴメスはコントロールオリエンタードで相手のアプローチをかわした後にこのフリーのアーノルドを見つけられず、かわした相手にボールを奪われ5失点目の起点となっていました。他にも6失点目のきっかけとも言えるファビーニョへのパスミスなども多く、彼の課題点がモロに出たとも言えるでしょう。

以上に挙げたような理由から、リバプールはサリーダ・デ・バロンにおいて出口が存在しない、もしくは出口はあるのにそこにボールを供給できないというようなシーンが他の試合に比べて多かったと思います。

3.リバプール 攻撃の問題点②

リバプールの問題点②はカウンター時のスプリントの少なさです。具体的には全体の押し上げが少なく、中盤に前線への繋ぎ役となる選手がいませんでした。前線の選手を1枚下ろして繋ぎ役にしてしまうとカウンターの威力は落ちてしまうためこの手段は避けた方が良いのがリバプールの現状ですので、誰かがボールホルダーを追い越して、パスコースを作る必要があったと思います。後半の南野選手がカウンターの際、ボールを持った時が分かりやすかったと思います。

4.リバプール 攻撃の問題点③

リバプールの問題点③はアウトサイドレーンで高い位置にポジションする選手がいることが他の試合に比べて少なかったことです。①でも触れましたがこの試合ではアウトサイドレーンの高い位置にとにかく人がいることが少なかったです。特に左サイドではこの傾向が顕著でした。ジョタは中盤のハーフレーン付近でのプレーが多く、よくウイングの位置から下がってボールを引き出すことが多かったです。

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このようにSBが深さ、幅を取っていないにも関わらず中盤に下がってくることも多く、肝心のDFラインを広げられない、9人を6人で対応されてしまうというシーンが多かったです。結局このシーンもファンダイクがロングパスでロバートソンを裏に走らせるものの、ジョタは攻撃に参加できず、サイドからの攻撃に厚みが出ていないことの一因になっていたと思います。

逆に得点シーンはジョタが深さ、幅を取っていたことから生まれています。

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サイドでボールを持ったロバートソンが横のパスコースを作ったワイナルドゥムへと繋ぎ、ワイナルドゥムからアウトサイドレーンで高さをとったジョタへとパスが渡った後に、ジョタが中にカットインしたことからサラーの得点が生まれています。アストン・ヴィラは主に中のレーンを封鎖することを重要視していたため、外のレーンへボールがいった時に対応が遅れるシーンがいくつかあり、このように幅と深さを取る選手が常にいなかったことがリバプールの攻撃に停滞感があった原因だと思います。またこのシーンにもあるようなサイドでボールを持っている味方に対する横方向のサポートがいないという問題も挙げられます。右IHのナビ・ケイタはDFラインに近い位置でサリーダ・デ・バロンのサポートに入ることや、深すぎる位置にいることがあったため前にボールが運びづらい状況が多かったと思います。

簡単にまとめるといるべき位置に選手がいないということですね。

5.アストン・ヴィラ 攻撃の良かった点①

リバプールとは対照的にアストン・ヴィラはカウンターも含めて非常に簡単に前へボールを運んでいたと思います。その要因の1つはCFのワトキンズのサポートの動きです。

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ワトキンズはサイドに流れたり、低い位置に下がることによってボールキープをしてタメを作る、もしくは中盤の選手と三角形を作る、サイドで数的優位を作るなど効果的な動きをしていました。このシーンではワトキンズは中盤まで下がって相手のプレスを受けている中盤の選手と三角形を作ることで、狭いエリアでもボールを繋ぐためのサポートを行い、結果逆サイドでフリーになっているグリーリッシュへとボールを繋ぐことに貢献しました。

6.アストン・ヴィラ 攻撃の良かった点②

アストン・ヴィラの攻撃で良かった点は左SHのグリーリッシュを生かせた点です。グリーリッシュは左サイドから自由に動き味方をサポートする他、相手をかわして決定的なパスを送ることに優れた選手です。①で示したワトキンズのサポートから逆サイドのグリーリッシュへ展開したシーンはまさにこの②で示そうとしていることの1つです。

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このシーンではリバプールのプレスを受けている味方に対して右SHのトレゼゲが下がってきて味方と三角形を作っています。これによりリバプールの選手を右サイドに集中させる他、先ほども述べた狭い場所でのポゼッションを円滑に行えるようにしています。結局トレゼゲはサイドチェンジするスペースがあったのでそのままグリーリッシュへとサイドチェンジを送りましたが、もしそのようなスペースが無くても味方を経由することでサイドチェンジを行えるような工夫を行なっていました。

またトップ下のバークリーは常にペナルティエリア内へと走る、中央のレーンにポジションし、グリーリッシュからのパスを受けるなど常に攻撃に関わっている印象でした。

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先ほどのシーンの続きでグリーリッシュはその後左サイドをドリブルで駆け上がっていきました。それに合わせて、トレゼゲと三角形を形成していたバークリーは縦にスプリントし、バイタルエリアでグリーリッシュからパスを受けることに成功しました。結局この時は得点することができませんでしたが、中央を走るバークリーの存在はアストン・ヴィラの攻撃に良い影響を与えていました。他にもワトキンズはこの時DFの間にポジションし、バークリーを完全にフリーにしていましたし、トレゼゲも幅と深さを確保して、バークリーのパスコースを作っていました。

まとめるとアストン・ヴィラは幅と深さを確保しながら狭いエリアでボールを回せる工夫をしていたということですね。

7.その他を含めた感想

攻守両面においてアストン・ヴィラは高いレベルのパフォーマンスを披露したと思います。守備には触れませんでしたが、前線からのプレス、ミドルプレス、撤退守備どれにおいてもリバプールを上回っていたと思います。一方のリバプールは全体的に運動量が無く無様な試合だったと思います。屈辱的な敗戦でした。インターナショナルマッチウィーク明けは首位エバートンとのマージーサイドダービーです。意地とプライドもありますが、何より上位集団から突き放されないためにも何がなんでも勝って欲しいです。勝ってもらわなくては困ります。最後はやや私情が入ってしまいましたが、ここまで見てくださりありがとうございました。

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