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Premier League 第7節 Liverpool vs West ham 〜強固な5-4-1のブロックとリバプールの秘密兵器〜

皆さんおはようございます。お久しぶりです。今回はプレミアリーグ第7節リバプールvsウェストハムのマッチレビューをしていきたいと思います。最近はやることがかなり多く忙しいので、試合からかなり時間が経過してからのレビューとなってしまいました。申し訳ありません。しかしこのレビューを見て、もう一度試合を見直してみてください。また新たな発見があるかも知れません。このレビューが皆さんの試合を見直すきっかけになればと思います。

1.両チームのスターティングメンバー

リバプールのスターティングメンバー

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ウェストハムのスターティングメンバー

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2.ウェストハムの5-4-1による守備

ウェストハムはリバプールの強力な攻撃を警戒して、守備時に5-4-1のフォーメーションを採用していました。状況にもよりますが、自陣にまずは5-4-1のブロックを築く意識が強く、即時奪回を狙うのではなく、「ゴール前にバスを置く」ような守り方でした。

ここからは各ゾーンのタスクをまとめていきたいと思います。1トップのハラーはCB2枚や、CBと同じ高さまで降りたアンカー、インサイドハーフにミドルサードからアプローチをかけて、中のパスコースを塞ぐ役割を担っていました。

次に5-4の守備ブロックについてです。以下図を用いて説明していきたいと思います。

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ウェストハムの守備は基本的に「ゾーンディフェンスで各選手が担当しているゾーンにいるリバプールの選手をマーク、アプローチする」という手法を採っていました。また「ピッチ中央を固めて、サイドはボールが出たら状況に応じて対応する」という意識も全体で共有されていました。言い換えるとまずDF5-MF4のブロックを自陣に構築し、サイドにボールが出たら人が出て行くということです。これらの2点がまとめられているのが図のシーンです。まずピッチ中央に絞ってボールを受けようとするマネに対してセンターバック(以下CB)のバルブエナがアプローチをして、パスが来た際のボール奪取を狙っています。またボールを持っているヘンダーソンに対しても、サイドハーフ(以下SH)のボーウェンが前に出てアプローチに行っています。逆サイドのジョーンズにパスが出た場合は左SHのフォルナルス若しくは左サイドバック(以下SB)がアプローチに行きます。アプローチに行く人はボールを持っているリバプールの選手のとっている深さによって異なってきます。また青線で繋がれた中盤の選手3人はピッチ中央へのパスコースを消すために、中央に絞りながら近い距離感を維持しています。

またウェストハムは「DFとMFの間のスペースを徹底的に消す」ことも意識していました。

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先述の通りライスの担当ゾーンでワイナルドゥムがボールを持っているのでライスがワイナルドゥムへアプローチへ行き、左SHのフォルナルスはパスコースを消すために中へ絞ります。その後フリーになったジョーンズを経由してアーノルドへとパスが渡ったという状況です。その後どうなったかを表したのが次の図です。

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MFの4選手はしっかりと自陣ペナルティエリアへと戻りDFラインとMFラインのスペースを消すことに成功しています。この後ボールはサラーへと渡りますが、CBのクラスウェルとボランチのライスの2人でサンドしてボールを奪うことに成功しています。

以上の

・ピッチ中央に5-4の守備ブロックを構築する、
・アウトサイドレーンにボールが行ったら近い選手がアプローチに行く
・アプローチへ行っていない選手は中央へのパスコースを塞ぐ
・相手が自陣深くに侵入したら、MF全員が戻りスペースを消す

の4点をウェストハムが実行していたことにより、リバプールは攻撃で使えるスペースや判断を行う時間が無くなり、攻撃が停滞してしまいました。

3.攻めあぐねるリバプール

ウェストハムが構築した固い守備に対してリバプールはどのような攻撃を行なったのでしょうか。少し考えれば分かりますがピッチ中央には攻撃に使えるスペースは当然ありません。ですので必然的にサイドを使った攻撃となります。またウェストハムは自陣に引いてブロックを構築することを優先していたためミドルサードまでは比較的安全にボールを運べていたため、ミドルサードから攻撃が始まることになります。以下で図を使って攻撃の一例を見ていきたいと思います。

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ミドルサードでボールを持ったカーティス・ジョーンズがピッチ中央に向かって運ぶドリブルを開始します。ウェストハムとしては当然ピッチ中央に侵入されるのは困るので、選手はピッチ中央へと集結します。ウェストハムの選手をピッチ中央へと引きつけたジョーンズは、前方向にウェストハムの選手がいるため、バックパスによりヘンダーソンへとボールを戻します。

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バックパスを受けたヘンダーソンはそこから空いているサイドを運ぶドリブルで駆け上がり、オーバーラップをかけているロバートソンへスルーパスを出します。

以上のように中央を閉めるというウェストハムの特徴を利用して、空いているサイドを意図的に使って攻撃をするというシーンがリバプールの攻撃に多く見られました。しかしこのサイド攻撃は失敗に終わります。なぜならクロスを上げるロバートソン、アーノルドに対するアプローチが早く、クロスを上げるところまで行かなかったからです。またクロスを上げることができたとしてもエリア内では屈強なDFが待ち構えており、アプローチによりクロスの球種も限られているため、チャンスになったとは思いません。ではどのようにしてリバプールはウェストハムの守備を崩したのでしょうか?

4.リバプールの秘密兵器①

リバプールの秘密兵器の1人目はモハメド・サラーです。彼は足が早く裏へのボールに走り込む、ドリブルにより相手をかわすこと以外に、相手を背負ってボールをキープすることができるという超万能型ウイングです。

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相手のプレスを交わした後、ヘンダーソンがロングボールを蹴ります。相手の裏のスペースへと猛烈なスピードで侵入するサラーですが、相手のカバーが早かったため体を反転させ、ボールをキープすることに移行します。サラーは体を筋肉の鎧で武装しているため屈強なウェストハムDFにフィジカル負けすることなくボールをキープできるのです。このキープでタメを作り、味方の上がりを待つことで厚みのある攻撃が展開できるのです。また同点弾はこのサラーの相手を背負ったポールキープから生まれています。

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最初裏へのロングボールを期待し、準備していたサラーですが、ジョーンズからのロブパスが後方にずれると、相手を背負ってボールキープに移行します。このプレーが相手のファールを誘い、PKを獲得しました。ここまで多くのタスクをこなせるサラーはリバプールに欠かせない選手の1人です(リバプールのスタメンは全員変えがきかないですが…)。

5.リバプールの秘密兵器②

リバプールの秘密兵器、2人目はジェルダン・シャキリです。

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この画像は2年前のものですがこの筋骨隆々とした肉体には憧れますねえ。

そんなことは置いておいて、この試合でシャキリは4-2-3-1のトップ下のポジションで途中投入されました。

彼は相手選手の間やMFラインとDFラインの間にポジションをとり、パスを受けようと試みていました。また、わざと相手のMFの前に降りることで、中のパスコースを確保しようとする動きも行っていました。さらに彼はなるべくボールのタッチ数が少ないようなプレーを心がけていたため、先述のパスコースを空ける動きと合わせて、自分の動きで相手を引き出し、すぐにボールをフリーの味方に戻すことでボールを循環させる働きを担っていました。

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このシーンは自身の動きで相手MFを引き出してジョタへの縦パスを引き出しています。そして得点シーンもシャキリのアシストから生まれました。

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シャキリはヘンダーソンからパスを受ける前にサイドステップを踏み相手のマークを外すと同時にCBが担当するゾーンに侵入し、CBを自陣へ引きつけ、ジョタが走り込む裏のスペースを作り出すことに成功しました。彼のサポートと狭いエリアに正確なパスを通す能力には脱帽です。

6.終わりに

ウェストハムの固い守備に苦しめられた一戦でしたがよく固かったと思います。今回新戦力のジョタと怪我に苦しんでいたシャキリの活躍により、なかなか結果の出せていない南野の序列はさらに下がったと僕は考えています。彼の巻き返しに期待しましょう。次節は最大のライバル、マンチェスター・シティ戦です。絶対に勝って連覇を目指しましょう!

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