見出し画像

東京人と名古屋人のはなし。

数年前、北海道観光のため、東京と愛知から友人がやってきました。

2人とも旅行が好きな女子で、旭川・富良野・美瑛を案内しました。気候も文化も違う土地に住む2人は、僕にはない価値観を持っていて、とても楽しい数日間を過ごすことができました。

今回はそのいくつかのエピソードを書いてみますね。

移動は車でするのですが、2人はとにかく休むことなく話し続けます。旅行でテンションが上がってるのもあると思いますが、目に映るものに対して反応しまくります。

「あ。あれなに?家の横にあるやつ。ほとんどの家にあるよ!あの白いやつ。」

そうです、灯油のホームタンクです。「見たことないのかー!」とショックを受ける。考えてみればそうですよね。東京と愛知にはないですよね。

そんなこと一つ一つが新鮮でおもしろい。

翌日は、美瑛で友人がフレンチのお店をやっているので、お昼にみんなで行きました。フレンチなんて料理の名前を聞いても、ちんぷんかんぷん。見た目も素材がわかりにくいです。

ところが2人はちょっと慣れてる様子。野菜が大好きということで、美瑛野菜の美味しさに大感動している最中にもかかわらず、なにやら問いかけてきます。

「このドレッシング、なにが入ってると思う?わたし絶対セロリが入ってると思う。」(セロリじゃなかったかも。記憶が曖昧)

「そう言われてもさっぱりわかんないですけど」って感じですが、シェフの友人がきた時に聞いてみると、「セロリ入ってるよ。」と返答。すげー。わかるんかい。

「セロリ以外にも何か入ってますよね?なにが入ってるんですか?」
「白ナスをペーストにして入れてます」
「あー!白ナスー!」

すごいなー。こっちはだいぶ手前の段階からついていけてないんですけど。

そのあとも話は終わらない。

東京人と愛知人の会話
「前に話してた東京のオーガニックレストラン行ってきたよ」
「うそー!行ったの?あそこほんと美味しいんだよね。いいなー。」
「そこで出てきたバジルが香りが良くてめちゃくちゃ美味しくて、今まで食べた中でダントツに美味しかった!ほんと感動。」
「そうそう、あれめっちゃ美味しいよね!」

え?バジルって美味しいとか美味しくないとかあるの?ピンからキリまでの品質が存在するの?

生まれて初めてバジルに注目した日になりました。こうしていつのまにか周回遅れになっていたのです。

でも正直いい経験だったなぁと。結婚式に行くとよくフレンチとか出てくるじゃないですか。そのとき、「この料理の素材はなんだろう?」「このソースは何が入ってるのかな?」と味わい、楽しみながら食べるようになりました。

普段僕たちが食べるものなんて、だいたい料理の名前を聞けばどんなものか想像できるし、食べればなんとなくわかる。でもフランス料理って名前を聞いても、目で見ても、食べてもよくわからない。

だから漠然と食べるんじゃなくて、もっとマインドフルに五感を使って食べてみる。それって今ここを生きる、豊かな人生の一部になると思うんですよね。

本当にいい刺激をもらったなぁと思いました。

最後にもう一つだけエピソードを。

愛知の友人は名古屋の人なんですが、少し前に友人と大勢で食事に行ったそうです。そのとき、男友達が手羽先の大食い大会みたいなことをやり始めたそうです。

「俺は8手羽食べた!」「俺は10手羽だ!!」なんて競争して盛り上がっていたそうですが、友人はそれを見ていてこう思ったそうです。

「手羽先って1羽から2個しか取れないんだよね。10手羽って5羽も食べてるってことじゃん。そう考えると楽しそうに競争していることが悲しくなった。」

素晴らしい感受性だなぁと思いました。
なんて健全な感性なんでしょう。

今の日本人は食に対する健全な感覚が失われています。

悲観的になりすぎるのもいけないと思いますが、「当たり前」になるのもいけません。いつだって答えは両極の間にあるものです。

「当たり前」の反対語は「ありがとう」だと言います。当たり前になると、感謝の言葉は出てきません。

「10手羽も食べさせていただきありがとう」とはならないのです。そんな人はそもそも10個も食べないでしょうけど。

食も含めて人生において当たり前の基準はできるだけ低くしておきたいものです。

そのためにも自分と異なる多様な価値観に触れることは大切なことだと、あらためて2人の友人に学びました。

それにしても、名古屋の人って手羽先を1個2個とかじゃなく、1手羽2手羽って数えるんですかね?笑

ともあれ、人生っておもしろいもんですね^^

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?