「欧米社会の集団妄想とカルト症候群」

ナチス、KKK、カルトとくれば、手にとって読まずにいられない。

中世ヨーロッパで流行った十字軍運動から異教徒狩り、魔女狩り、人狼裁判、様々な奇蹟や幻視、近代のナチとヒトラーユーゲント、現代のKKKまで、人がどのように宗教的熱狂に興じ、カルトにハマり、社会に影響を与えてきたかを豊富な資料をもとに解説した労作。

神などという概念に心酔し、背くものを弾圧・虐殺・攻撃して、時に自分の生死をかけてまで熱狂するのは、不安や不満という自身の性質に加えて、それを社会環境が後押しして、人間の攻撃的な根源となる衝動が頭をもたげてくるからではないかと思う。そして、それは文化の違いはあっても、全世界構造的な類似性が見られる。

さらに現代社会でも、いや現代社会だからこそ容易に出やすくなってるところもあるだろう。ほとんどのカルトのような集団妄想や集団ヒステリーは時代の転換期に多発してるし。

やはり人間は本来攻撃的なもので、日常は理性や社会性で押さえているものの、集団のカルト的熱狂下に身を置くと、容易にそれらは崩れて本来の初源的人間性が発露するものなのだ。

だからこそ人間は面白いし、興味深いし、この本にあるような事例を知っておいても損はない。本ではカルト生成のメカニズムが解説してある。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。