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「ストレイト・ストーリー」

「ストレイト・ストーリー(The Straight Story)」(99年・米)。

間が多い、ユックリと時間が流れる静かな映画だ。

“カルト・ムービーの帝王”といわれるデヴィッド・リンチ監督(脚本は違う)だが、予想できるようなカルト的要素はなく、とてもオーソドックスでシンプルなストーリー。

主人公も、登場人物も、老人ばかりだからかもしれない。人生の終盤を迎えた人間の最後の仕事といった感じで、自分の置かれてる環境から、なぜかグッときたね(笑)。良い映画だと思う。

不摂生で身体が弱ってる73歳の老人アルビンが、仲違いして長年、会ってなかった兄が脳卒中(!)で倒れたと知って、州を跨いで500キロ以上離れた兄の家まで、時速8キロの小さなトラクターに乗って向かう…。

コレ、実話だって。さすがアメリカン。日本でいうと、前に話題になったボランティアのお爺さんかな。主演俳優のリチャード・ファーンズワースは映画公開の翌年、癌の痛みを苦に自殺してる。

トラクターの故障など、道中で様々な出来事に会うが、出会った人と話してても、決して自分の考え等を押し付けるようなことはなく、とにかく相手の話を聞く。相手が話さなければ、静かにユックリと自分の経験を隠すことなく語る。この全てを受け入れる姿勢は、やっぱり年の功だろうか。

広大な黄色の麦畑の真ん中にどこまでも真っ直ぐに通る道をトコトコと時速8キロで走るアルビンの姿を観てるだけでも癒される。

皺くちゃの顔に白い髭、でも眼はキラキラしててコドモみたい。

最後にお兄さんに会うが、言葉少なに涙ぐんだ眼で見つめ合うだけで、もうここまで来たら言葉はいらないね。

見上げると空に満点の星だけど、画面じゃ大したことないのは残念。

身体はいうことを聞かなくなっても、好奇心や思いつきのままに無茶で周りに迷惑をかけようとも行動できるようなジジイに俺もなりたいものだ。

「歳を取って最悪なのは若い頃を覚えていることだ」byアルビン

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。