【古典映画】「奇跡の人」

1962年のアメリカ映画「奇跡の人(The Miracle Worker)」(アーサー・ペン監督)。

日本にも来たことがある、視覚・聴覚の重複障害者であり、社会福祉に身を捧げた作家のヘレン・ケラーの少女時代の伝記映画だ。

弱視の同じ障害者である家庭教師のアン・サリヴァン先生が、ヘレンを躾けるシーンはめっちゃ凄まじい。これは戦争だ、闘いだよ。

ヘレンは、生まれつきの酷い障害があったため、両親はヘレンを特別扱いして、何をやっても怒ることも教えることもなく、やりたいようにやらせてたために、ヘレンはめっちゃワガママに育ち、時に癇癪を起こし叩いたりして、動物のように自由に振る舞っていたのだ。

だから、食事の席で、ヘレンはちゃんと席に座ることもなく、テーブルの周りを歩き回りながら、家族の料理を手でツマミ食いする形で食事してた。驚いたサリヴァン先生は、家族を外に出して、ヘレンに最低限の食事マナーを教える。ヘレンは、イスに座ることから反発して、イスを投げる、食べ物を掴んで投げる、飲み物をかける、先生に噛み付く、食堂は台風が通過したようにメチャクチャに。

それでも先生は、力づくで応戦して、長い時間をかけてヘレンに食事の仕方を教え込む。ヘレンも、サリヴァン先生も、演じた女優さんがスゴいね。

そして、ヘレンの手を取ると、一文字づつ、アルファベットの指文字を教えていく。

最初は、指文字も単なる猿真似で、意味をわかってないと苦悩もするが、ヘレンの好きな人形や興味があることを題材に、熱心に教えていくことを続けていく。

先生は、ヘレンにはちゃんとした知能や感情が備わっており、ただそれを表現する術を知らないだけと確信していた。

そのうち、ヘレンは、物には名前があり、その言葉の意味を理解して、他の人間にも感情があることに気付く。

サリヴァン先生と両親はヘレンの成長に涙するところで、映画は終わってるが、多分、それからは、言葉や文字とその意味、使い方、表現方法等を覚えていくのは早いだろう。脳の成長が赤子のままで止まってたから。

やっぱりサリヴァン先生の、家族を敵に回してでも、ヘレンのために取った頑固な厳しい態度が功を奏したということだな。親であれば子のためにならないとわかってても、甘く接することもあるし。

生後すぐに熱病に罹り、見えない、聞こえない、喋れなくなってしまったヘレンだが、サリヴァン先生のおかげで、失った時間を取り戻す。

後に日本を含め世界中を訪問して、障害者福祉のために尽力し、男女同権、人種差別反対、戦争反対、死刑制度反対、コンドーム使用推進など、社会・政治的な活動も行った。



脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。