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「アラビアのロレンス」

アカデミー賞なんかを受賞した歴史大作「アラビアのロレンス(Lawrence of Arabia)」(62年・英、デヴィッド・リーン監督)を初めて鑑賞。200分を超える作品だが、これが良い映画ってもんなんだなぁ、なんてジワジワきたね。

どこまで行っても地平線ばかりみたいな壮大過ぎる砂漠を上手く観せてて、でっかいスクリーンで観たら、なんて人間はちっぽけなんだろうと感激だろうね。もし、こんな砂漠に取り残されたら…、絶対諦めて死ぬな、でも、灼熱地獄で喉が渇いて苦しみたくはないね(笑)。

冒頭、いきなり主人公のロレンスがバイク事故で死んじゃうが、葬式で彼に対する評価は良かったり悪かったり様々であり、この後の、彼のアラビアでの活躍に対する評価を示唆してる。

エジプト駐留の英国陸軍で、上官にろくに挨拶もできない風変わりな青年ロレンスが命令で独立戦争で戦うアラブ民族のもとへ派遣される。
アラブ人を大切に思い、民族の独立と正義、誇りを重んじる彼はアラブの様々な民族に慕われていき、オスマン帝国からの独立を助けるが、一方で不寛容なプライドや欲、裏切り、事故による友人の死等に遭遇して、だんだんと疲弊していく。
最後は、少佐に昇任するも、全てに嫌気がさして、後ろ髪ひかれる思いでアラビアの地を去り故郷に帰る…。

国や民族が大きくなればなるほど、誇りと理想だけでは“政治”は成り立たず、必ず破綻するのだ。個人としてどんなに慕われ尊敬されようとも。やっぱり政治家はずる賢くなければならない。右にも左にも偏ることなく、時には熱く、時には冷たく、大衆には飴と鞭を上手く使って、巧妙なバランス感覚を持たなければならないのだ。

愛に満ちた心優しきリーダーが、現実に欲とプライドに振り回されて、挙げ句の果てに残虐な殺人者に変わってしまうことは歴史で見ても、充分あり得ることであろうーー。映画を観ててそんなことを思った。

この映画で描かれたようなアラブの民族対立は当然今も続いてる。「アラブ人は砂漠の民で平和はない。茨の道を行くことが運命付けられているのだ」とのセリフがある。アラブ人に限らず、世界中に同様のことはある。対立と決別、差別、殺し合いは人間に課せられた宿命だ。それでも理想を掲げて進まなきゃならないだろう。何言ってるんだ、俺ww とにかく感動した。まさに名作ってヤツだね。

あっ、この映画、女は全く出てこない。町のシーンでチラッと映るだけ。男だったら、征服欲と野心をくすぐられるストーリーかもしれない。

「戦争の美徳は若者の特権だ。勇気と未来への希望がそこにある。そして、老人が平和を作る。平和は老人のように醜くて退屈だ。駆け引きと腹の探り合いだ」。これは名言だね。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。