【映画】「ブレイブハート」
メル・ギブソン監督・主演の「ブレイブハート(Braveheart)」(1995・米)。
メル・ギブソンは、「パッション」や「アポカリプト」「ハクソー・リッジ」など、彼のイデオロギーが前面に出た監督作品も多いが、コレもその一つ。
スコットランドの騎士で伝説の英雄、ウィリアム・ウォレスの伝記映画なんだが、史実に沿った伝記というより、メル・ギブソンがウィリアム・ウォレスを題材にして独自の解釈でヒーロー物語を創り上げたものだ。
創作の映画だから、それは全然OKだけど、この映画が、イギリスからのスコットランドの独立運動の機運に大きな影響を与えたらしくて(実際にスコットランドの政党は議席数を増やした)、公開当時、大絶賛の声と事実と違うという批判の声と世論は二分されたらしいのだ。映画が実際の政治に多大な影響を与えたという面白い例だ。
映画自体は、アカデミー賞各賞を受けただけあって、戦争(古戦)映画としても、リアルにこだわるメル・ギブソンらしくて面白かったけど、ウィリアム・ウォレスと他の登場人物の関係や当時の戦闘スタイル、スコットランドの風習など、歴史的史実と大きく違った、メルギブソンの捏造…は言い過ぎ(笑)、創作が多々あるらしい。
主演のメル・ギブソン演じるウィリアム・ウォレスがラストでイギリス国王に反逆した罪で処刑されるのだが、この場面は、まさに後の「パッション」のイエス・キリストじゃねーか。
首を吊られるシーンは死ぬか生きるかでホントに吊られたらしいし。弓矢も本物でケガ人続出だったらしいし。
メル・ギブソン自身は、アメリカの保守的なカトリック教徒だし、実は、敵に残虐に殺されるヒーローを演じるのが大好きなマゾヒストなのじゃないだろうかと思ったね。
幼馴染の娘やフランス王女(ソフィー・マルソー!)とねんごろになるも、純潔運動家なメルギブソンだから期待するものはなし(笑)。
貴族ロバート・ブルースの父がハンセン病患者で地下に幽閉されてるのは驚いた。
ウィリアム・ウォレスに思い入れたっぷりになったメル・ギブソンが、自分が好むヒーロー像を創り上げ、マゾヒストの嗜好をも満足させた映画といったところか。
やっぱり北方の伝説の白人至上主義的なものを感じてしまうのはメル・ギブソンだからかなぁ。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。