「CRASS:ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ」

英国アナーコ・パンクの始まり、クラス(crass)のドキュメンタリー映画「CRASS:ゼア・イズ・ノー・オーソリティ・バット・ユアセルフ(THERE IS NO AUTHORITY BUT YOURSELF)」(2006年、アレクサンダー・エイ監督)。

初めてクラスを知ったのは、高校生の時で、ラフ・トレードのEPコレクションだったと思うが、モノクロのグラフィックデザインによる強烈な政治的主張を前面に出したシングル盤は、まだ何もわからない高校生のガキでも、オトナが禁じるアブナイものを見てしまった感じで、これが真のパンクなのか!と興奮したのを覚えてる。

最初に買ったLP「ペニゼンビー」も、内容はよくわからなかったけど、反体制・反権力の過激な雰囲気に揉まれて、ヤバいと隠れて、音が漏れないようにヘッドフォンで聴いていたものだ。

映画は、クラスの中心人物、ペニー・ランボー、スティーブ・イグノラント、ジー・バウチャーらへのインタビューで当時を振り返るもの。

音作りからレコード制作、宣伝、流通、販売まで、全てDIYで、決してメジャーの乗ることなくインディーを貫いた。メンバーらは独自のコミューンを作って、基本的に自給自足で集団生活、売れて儲けた金は他の様々なアーティストへの投資や公的寄付などに回した。つまり、音だけじゃなく、生活スタイルもアナキズムを通した訳だ。

ある種、理想的な生き方だろうけど、残念なことに、こうした活動は決して長続きはしないもので、メンバーの疲弊や自己内省、意見の不一致などで1984年に活動停止となる。

スティーブのメッチャ早口の巻舌ボーカルに、地下から響いて来るような歪んだギター、小さいけどシッカリと叩くリズム隊と、クラスならではの個性的な音は全てが“怒り”に満ちている。

そう、パンクとは“怒り”なのだよ。どんな状況にあっても、天に唾する行為であっても、何に対しても、“怒り”を表現するのがパンクロックだ。ファッションやスタイルなんかどうでもいいのだ。

クラスは、当時の英国サッチャー政権に対して徹底した批判活動を展開。インタビューに出てくるが、レーガンとサッチャーの会話を捏造した偽テープをマスコミに送りつけるなどのラディカルな行動を取り、大きな反響があったようだ。

クラスが身を持って示したパンクの精神は、若い世代のアーティストなどに支持されており、音作りはしないが、今も自給自足の生活を送るコミューンのハウスを訪れて来ているようだ。

痩せて過激だったスティーブ・イグノラントがMA1を着たスキンズみたいになってて草www。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。