【映画】「ホームワーク」

好きなイランの映画監督アッバス・キアロスタミのドキュメンタリー短編「ホームワーク(Mashgh-e Shab)」(1989)。

キアロスタミ監督がイランのある小学校の生徒たちに、教師から出される“宿題”について訊いていくというもの。

正面から質問に答える生徒たちの合間に、時折、質問をする監督やカメラマンのショットが入る。

最後までこれだから、最初は、なんだ、つまんね〜と思ったけど、生徒たちの答えや表情、ラストの泣き出す生徒の様子からいろいろと示唆に富む映像だった。

元々、キアロスタミ監督が、自分の息子の宿題に疑問を持ったことから、この企画がスタートしたという。

生徒たちは恥ずかしそうにボソボソッと答え、監督が「もっと声を大きく」と度々いうが、子供らしく感覚のように即答するのではなく、表情からちょっと躊躇して考えていることがわかる。多分、正直に全てを話すと後で怒られると考えているのだろうか。

宿題の件で、ほとんどの生徒ができない罰として親にベルトで打たれているようだ。

文盲(!)の親も少なくないために、兄や姉に宿題を見てもらうことも多い。

宿題の量も多いことがあって、済ませるまでに夜遅くまでかかってることもあるみたい。

多分、テレビでアニメを見たいけど、宿題をやらなきゃいけないために見るのを我慢してることが多いと思うけど、ほとんどの生徒たちがアニメよりも宿題の方が好きだなんて答えており、表情を見てるとムリしてるようで切なくなる。

最後の、落ち着きがなく、友達が側にいないと怖いと泣き出す生徒がいて、「お願いだから友達を呼んでください」と懇願する姿がとても痛々しい。後で親のインタビューもあるが、多分、虐待してるのでは?と思わせる。

途中、親の一人がカメラの前でイランの教育の現状を批判するが、生徒の自殺が多い日本の教育現場のことも話している。

締めは、校庭で「イスラム万歳!フセインを殺せ!」みたいなことを皆で叫ばされて、宗教詩を歌わせられたり、小学校とはいえ、まだまだイランは平和ではないのだなぁと思う。1989年の映像だけど。

全てのベースに(排他的)宗教がある人々に対して、果たして俺は寛容的になれるだろうか?

女の子が一切出てこないのも差別的で気持ちが悪いし。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。