【古典邦画】「日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声」

1950(昭和25)年の、戦後初の反戦映画「日本戦歿学生の手記 きけ、わだつみの声」(関川秀雄監督)。

前に読んだ戦没学徒兵の手記(というか遺書)をベースに製作された作品。音楽は「ゴジラ」の伊福部昭だ。

まだ日本はGHQ占領下の時代であり、台本から何から厳しくチェックを受けたという。

それだからか、最初から最後まで、とても悲惨でメッチャ暗い。どよ〜んと気分が落ち込む。材料が材料だから仕方がないけどさ。

太平洋戦争末期のビルマ戦線。
ある兵士が、ジャングルを迷ってやって来た大学の恩師だった兵士との再会を喜ぶのも束の間、その兵士は、大学が嫌いだった上官によって陰湿なイジメを受ける。
程なくして退却命令が出されて、部隊は、負傷者など動けない者を残して移動を開始する。
残された者は次々と自決していく。
しかし、移動する部隊も、敵軍の集中砲火を浴びて全滅することに。
だが、上官だけは先に逃げていく…。

当時、エリートで尊敬された大学生が徴兵され、エリートも何も関係なしに、敵の弾と病と飢えで、次々と死んでいく。

いくらフランスの哲学に学ぼうとも、戦争の前には、学問も無意味になってくる。

理不尽なことばかりを命令して、最後にはトンヅラこく上官らの精神主義とはいったい何なのか。

この後、反戦の映画が数多く作られたというが、それでも過去を賛美する歴史修正主義の連中は後を絶たない。それも学問を生業とする学者から、そんな輩が湧いてくることもあるから、人によっては、学問や知識も、一旦、偏ったイデオロギーを信仰してしまうと、意味をなさなくなってくるものだと思う。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。