【洋画】「チタン」
2021年の、フランス・ベルギー合作の衝撃的な怪作「TITANE/チタン(Titane)」。
監督は、ジュリア・デュクルノーというモデルみたいな女性。
カンヌ国際映画祭の最高賞であるパルム・ドールを受賞した作品(史上、女性は2人目)。
こんなキレイな女性監督が、こんなに過激で凄まじい作品を撮るなんて、さすがフランスである。
主人公の女性アレクシアは、子供の頃、落ち着きがなく、父親のクルマに乗ってた時、運転を妨害して事故、側頭部にチタン製のプレートを埋め込まれる重傷を負う。
成人した彼女は、モーターショーのショーガールになって人気を博すが、ストーカーして来た1人の男性ファンを、自分の髪をまとめてる鋭い金属製のヘアピンを使って刺し殺す。
異様な興奮を覚えた彼女は、意思を持ったと思われるモーターショーのクルマと激しくFUCKする。
以来、アレクシアは、複数の男女を残忍に殺害して、警察に追われる身となるが、駅で目にしたポスターの、10年前に行方不明になった少年に、自分が似てることから、成人した彼に成りすますことを思い付く。
自ら高い鼻を折ったり、テーピングで胸を隠したりして容姿を男に変えて、警察に出頭、自分が行方不明の少年だと虚偽の申告をする。
消防署の署長である少年の父親は、アレクシアを息子と信じて、家に連れて帰るが…。
ストーリーも過激で危うい。
クルマとのFUCKの後に、自分のアソコからエンジンオイルのような黒い液体が垂れて来て、徐々に腹が大きくなって妊娠してることがわかる。アレクシアは、ヘアピンをアソコに刺し貫いて堕胎を試みるが失敗する。
最後は、アレクシアの腹が徐々に裂けていき、子宮が金属になっていて、そこから、遂には赤ん坊が…目を背けたくなる、むちゃくちゃ痛い映画である。
消防署のオヤジもステロイド中毒のマッチョで、狂気が全身から滲み出てる。
ヌードもガンガン出て来るが、全然エロチックじゃない。金属と汚れにまみれた裸であって、裏返った叫び声を、耳元で強制的に聞かされてるような、究極の痛みを伴う映像の連続なのだ。
そうだ、コレはごく初期のブリクサのノイバウテンのベルリン路上でのライブのようだ。打ち鳴らす金属音にリズム、それと痛い叫びだ。
即物的な欲望の果てに見えて来る、苦痛を通して変化する肉体への違和感、そこに倫理や道徳、秩序を超えた狂気に近い根源的なものを見出す。加えて、金属に対するフェテシズムの妖しさ。
多分に嫌悪する観客も多かっただろうけど、このような表現が躊躇なくできる女流新人監督にバンザイだ、俺は。