【古典邦画】「女性の勝利」

溝口健二監督の、1946(昭和21)年の作品「女性の勝利」。

コレも田中絹代の主演で、女性の地位向上をテーマにした作品だ。

溝口監督の思いはわかるものの、戦後民主主義の流れに則った、イデオロギー色が強い感じがして、あまり面白いとは思わなかったが、それでもラストの田中絹代演じる弁護士と封建的な男性検事とのやり取りは見応えがあった。

田中絹代演じる細川ひろ子弁護士は、恋人が戦争中、思想犯として囚われの身にあって、彼は戦後、解放されたが健康を害していた。そして、ひろ子の姉は、封建思想を持つ河野検事の妻であった。

ひろ子は、女学校時代の友人が、夫に死なれて困窮のドン底にあって、悲嘆のあまりに精神錯乱を起こして自分の赤子を死に至らしめた事件の弁護を担当する。

そこで“女はこうであるべき”という封建的な河野検事と対決するのだ。河野検事は、被告が、母としての責任を回避して、女の道を踏み外した行為であるとして懲役5年を求刑する。対する細川ひろ子弁護士は、封建的な家族制度の下、女性が奴隷的な男性依存を強いられて、一旦、主人を失えば、たちまち苦境に陥る現状を説明、この事件は小さな出来事ではなく、日本社会の罪であるとして無罪を主張して、女性に男性への隷属からの解放を訴える。

ひろ子の姉が言う。「女ってものはいつのまにか男の手の中に握られてるものなのよ」。ひろ子は即座に反発する。

河野検事が、パワハラみたいな態度でひろ子弁護士に圧力をかけたり、ヘーキで「所詮、女のやることは…」と話したり…意図的かもしれないが、こういう時代だったのだなぁ。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。